109話【エミリアの準備】
◇エミリアの
昼に差し掛かる時間。
【リフベイン城】の一室で
事前に説明された事を脳内に置き、エミリアは替えの下着やシャツ、【聖騎士】制服を無理くり
早朝、
王城に着いたエミリアは、ローマリア王女に報告と感謝を
その後、
その
ローマリアはローマリアで、姉であるセルエリス王女に「言え」と言われたのだろう。
エミリアはその様子を思い出し「フフフッ」と笑いながら
そして。
「……ぃよしっ!!」
んふぅーと息を
しかし、突如掛けられる声に
「――何がよし!よ――エミリア」
窓の外から聞こえた声に、エミリアはハッ――として
「この声……――ロ、ローザっ!?」
急ぎ窓を開けると、
その姿はうっすらと赤く
「や、エミリア。
現れたローザがヒラヒラと手を
「ローザ……どうやって?」
それはローザが
「――飛んできたわ」
「そうじゃなくてぇっ!」
ローザが飛べるようになったことは、身を
言いたい事はそうではなく、「
ローザは
その翌日に
「ああ……――こうやってよ」
「……!――っえ……?」
エミリアが
バルコニーの外に下りたのかと確認するが、
「……――こっちよ」
「ど、どこっ!?」
声は聞こえるが、その声はまるで心に直接
これがエドガーたちの使う【心通話】だとしたら、凄くくすぐったい感覚だ。
しかも
「――ローザっ!?もう!どこよぉ!」
「目の前よ」
「……はい?」
部屋の中、
エミリアは口を開いたまま、その
一言小さく「ローザ……」と
「――こうやって来たのよ。ん?……エミリア?」
「……」
口をパクパクさせる少女の
「……い、いふぁい……」
「ビックリした?」
「……しふぁ」
「そ。ならいいわ」
満足気に手を離す。
エミリアは
上から下までを確認しても、いつものローザと変わらない。
だが、その
「……そんなに見られても、何も出ないわよ?」
「や……そうなんだろうけど、なんだろ……」
エミリアはペタペタとローザのボディチェックを始める。
「だから何も無いってば」
「そろそろ怒るわよ?」
「――ご、ごめん……」
ローザがエミリアの頭を
そもそもローザがエミリアのもとに来たのは、昨日の夜エドガーと何かあったのではないかと
それでも、ローザが自分で二人を引き合わせた以上、気にならない訳がなかった。
「それより、エミリアはもう平気なの……?」
「――え?うん……元気だよ?」
「そうじゃなくて……その、エドガーと……」
ローザにしては
赤い髪の毛を指でクルクルと
早朝に、エドガーからエドガー
でもそれとこれとは違う。エミリアの方も気になるのだ。
「……あ」
エミリアもピンと来たのか、思い出して
それでも、エドガーに言われた言葉が心を
「ローザでも気になるんだね。そういうの」
「なっ――!」
ローザはビクッと
なんだか
だが、ローザは
「そ、それはそうに決まっているじゃない……
「……あはは。
「笑い事じゃないのよっ、時間無いのだから手短に言いなさいっ!」
「いふぁふぁ……」
ローザは
◇
エミリアが
コポポ――と音を鳴らし、茶葉の香りが部屋に
「エミリアも上手よね、
わざわざ温めたカップに注ぎ、ローザの前に出す。
「あーほら、サクラが教えてくれたんだよ。美味しい
それはメイドの仕事では?と思うも、エミリアの
「なるほどね……嫌でも上手くなる訳か」
「誰を想像したのか……一瞬で
「たはは」と苦笑いするエミリアの
今頃は、エミリアの兄アルベールの
「さてと。それしゃ
テーブルに着いたエミリアは、向かいに座るローザに深く頭を下げる。
ローザは笑顔で。
「……いいのよ。私が感謝したいくらいなのだから」
ローザは、エミリアの心を救いたい一身で、《石》と
長年、【消えない種火】として右手に装着していた《石》を体内に取り入れ、その内に封じられていた
今や“精霊”そのものとなったローザは、肉体と言う
人を
以前の《石》の
見る人が見れば、以前よりも人間らしいと思うだろう。
だが、それは表面上の物だ。
ローザは
「……
真実の名を取り戻した《石》、【
ローザが下町から、ここ【
飛行は
それ以外にも感覚が
今ローザが言った「美味しい」もそう。
だが、それ以前に情報が押し寄せてきて、あまり楽しくはない。
「ローザ。なんか変わった?」
「――そうかもね」
ティーカップをソーサーに置いて
もう、変に意地を張る事も無ければ、
自分自身と向き合い、進む。そう覚悟して、ローザは“精霊”となったのだから。
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