75話【奔走4】
◇奔走4◇
異世界人、メルティナ・アヴルスベイブは一人空にいた。
今朝方から一人で行動し、
「……」
早朝
どこかでその《石》の反応を感じた事がある気がして、メルティナはエドガーに一言だけ告げ、長時間こうして空中
「――何なのでしょう……この感覚は」
メルティナのデータに記録されているのは、ローザの【
それに加えて、最近スィーティア王女の【
「――今朝方の
それを探るため、こうして上空から
今朝感じた反応は、メルティナの意識の中にある。
しかし、データには存在していない。登録のし忘れなど、自分がする訳ないと自信を持っていても、
「ん?……この反応……マスターですね」
ソナーの様に反応を
エドガーだ。メルティナは雲を抜け、【
「ああ、マスターが落ち込んでいます……かわいい」
普段は誰にも見せない
どうもメルティナは、
「はぁ……はぁ……おや?何かあったのでしょうか……」
エドガーは小箱を持ち、とぼとぼと歩いていた。
その小箱の中の反応は、《石》だ。
「反応チェック……完了。中身は、最近マスターが集めていた小さな《石》ですね……マスターが最近収集していた《石》を持ち運んでいるという事は……マークス・オルゴの所からの帰りでしょうか……しかしこの落ち込み様、これは不在だったのしょうか」
エドガーが集めたと言う《石》は、主に
《石》を拾う
最近の成果は、いまいち。だ。
「どうやらマスターが言うように、もう
この世界には、浮遊する島がある。
正確には
正しく
それは、少し前にエドガーから説明されている。
まだ、ローザが王城に行く前、サクラが目覚める前の話だった。
◇
『この国には、【
『ま、また
本を読んでいたローザが、
サクラを元に戻す為に、エドガーは様々な事を考えていた。
その一つが、《石》を集める事だ。
貴重な《石》が
『――え、そうかな?でね、この国の家の屋根って、凄く
『続けるのね……』
『あれ、
『いいえ、いいわ。続けて
ローザが王城へ行くための準備中、ローザの部屋でエドガーは、自分の
『うん!屋根がね、
この言葉に反応したのは、
『そういえば以前、屋根
サクヤが、ポンと手を叩いて
そしてエドガーは更に嬉しそうに。
『――そうなんだよ!だから人の家の屋根を見ると、《石》が落ちてることもあるんだ!それが楽しくてね!』
『……《石》の落下って……怖いわね』
大きな《石》が落ちて来ても大丈夫なように、屋根が
それは分かるが。
『ロ……――むぐっ』
サクヤが「ローザ殿でも怖いものですか?」と言いそうになったのを
『ま、まぁね。でも、【
『つまりはもう少し、ってことね?』
『うん、その通り』
そうすれば、《石》を集める事が出来る。
落ちてくる《石》は
回数自体は少ないが、それでもエドガーに取っては喜ばしい事だ。
『《石》を集める事が出来れば、その中に
『
『……え?』
『飛べるのだから、その【
そんな事を考える事が出来ない程、
それとも自分で集めると言う事が、相当大事な事なのか。
『――イエス。命令を頂ければ、すぐにでも向かいますが』
『あ……うん。その時は頼むよ……』
『なんでやる気なくしてるのよっ!まったく……ふふふ』
『
一気にテンションの下がったエドガーに、その時は皆で笑っていたが。
実際、メルティナがその行動を取れれば、速やかに《石》を回収できるのは事実だ。
それに、【
その時が来れば、いずれは
◇
「今マスターが持っている《石》は、最近ちょくちょく外出して
エドガーを上空から
「人?」
一人の女性が、エドガーの前方で座り込むのを、メルティナは目撃した。
「……様子を
「やはりマスターですね……」
座り込む女性に対して、エドガーは恐る恐るだが話しかけていた。
それが、なんともエドガーらしくてメルティナは喜ばしい気持ちになったが。
「……ノー。ノイズが
メルティナの高性能機器も、最近
近付こうにも、
「……はぁ!?ま、まさか……連れて行くつもりですか?」
少し会話をしたエドガーと女性は、同じ方向に歩き出した。
その方角は【福音のマリス】。エドガーの家であり、異世界人たちの
「マ、マスター……」
嫌な
――その理由は。
「――あの女性……
片手で頭を押さえて、メルティナは必死にメモリーを
何度も、何度も何度も何度も確認するが、結果は変わらず――《
「ぐっ……う、頭が……」
頭の中で、何度もアラートが鳴る。この
「マ、マスター……その女性は、なにか……
苦悩を
メルティナは背後から、
空中で身を
シュイーーーン!!と、レーザー
「くぅっ……!――今のはっ!!」
反転し
背中の《石》【
魔力を感じた位置は確認済みだ、ならばその地点まで、一直線に向かうのみだ。
「――フリーズ!!」
どこぞの誰かの家、その屋根の上。
「――なっ!!……い、いない……!?」
そこには、誰もいなかった。
メルティナはもう一度上空に上がり、
しかし、
もう一度、今度は《石》の
しかしやはり、反応は一切なかった。
「――なんなのですかっ!」
一人、空に
誰かに
その誰かが、この王都内に存在しているのも
不安や
マスターの役に立ちたい、
その思いが空回りをしつつあると――自覚できないままに。
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