65話【再燃《Re:Burn》】
◇
振り向いたローザの目に
先日敗北し、
現在ではスィーティアと名乗るこの少女の、転生前の名をローザは口にする。
「――ラ、ライカーナ……?」
目を
それもそのはず。ローザは王城にいるスィーティアを
それなのに、そのスィーティアが目の前に現れれば、
「ス、スィーティア王女
ローザの前に出たエミリアに対して、スィーティアは一瞬だけ
「はぁ……エミリア・ロヴァルト……【聖騎士】に成ったのなら、
なんとも耳の痛い話に、エミリアは肩を落として。
「……す、すみません……」
「……まぁいいけれど。この【
「そ、その通りです……はい」
ローザを
しかしスィーティアは説明をしている
まるでその説明をローザにするように、
「まさか、
「い、いや……その~。あは、あはは……」
エミリアは自分の持つ
笑って
「……」
「……」
「……う」
気まずい空気感に、二人は無言になる。
しかし、そんな空気に水を差し込んでくれる人物がいた。
「――
スィーティアの背後から、静かに声を
一人の少年騎士が、少したどたどしくも自分の
「あらなに?ケイン、
「――い、いえ……
「はいはい、分かっているわよ。まったく、
「そ、そんなつもりは!」
スィーティアは
「――また
「!!」
ゾクリと
「ほら!行くわよケイン、いつまでわたわたしているのっ!」
「す、す、すみませぇん!!」
スィーティア、そしてケインという少年は用事があるようで、特に
しかし、たった一度顔を合わせただけで、ローザの心を
「……行っちゃったね」
「……」
「ローザ?……ロー……ザ。だ、大丈夫?」
「え、ええ……」
どう見ても大丈夫では無かった。
顔は青く、
手は
(ぜ、全然大丈夫じゃないよ、ないよぉぉぉっ!)
《石》の
そしてそれを何とかできないものかと、今後も
◇
「ローザ……これ、飲んで?」
「……ありがとう、エミリア」
休憩用の
「……口の中が、シュワシュワするわね……」
(……水……よね?)
「お酒なんだ、ソレ。ごめんね……これしか買えなくて」
本当は
「へ、平気よ、
(お酒?これが?)
そう言いながら、一気に酒を
「ちょっと、一気に!……ま、まぁいいか……」
そんな気分なのだとも理解できるので、止めないでおいた。
いや、止める間もなかった。
「……」
声も掛けにくい中。隣に座ってエミリアもその飲料を飲む。
すると。
「……にっっっがぁ……!!」
【
まるで薬ではないかと思いながら、エミリアは「よく一気にいったね……」と感心した様子でローザを見た。
しかし、そんな苦い酒を一気飲みしたローザは、目を見開いて空になった
「……ローザ?どうしたの?」
「……――い、いえ。何でもないわよ……なんでも」
自分がまた――
◇
二人で歩く【
以前、
まだそれ程時が
歩きながら、ローザは。
(……味覚を感じなかった……エミリアはあのお酒を
自覚はある。スィーティアと会ったことだ。
それと、やはり《石》だろう。
この世界に“召喚”されたローザは、身体ごと作り変えられている。
その
今まさに、それを
(
その二つを口にするのに
自覚と共に、
(いや……嫌っ!!)
心は、
この世界に“召喚”され、エドガーに必要とされた。それが嬉しくて、ローザは協力を惜しまなかった。
しかし、それが失われようとしている。
自分にしかできない事が
せっかく取り戻す事が出来た味覚を、再度失い。
ローザの心中は
やがて
そうなるしか道はないのかと、ローザが
「……ザ、ロー……ローザ!ローザってば!!」
「――え……あ……エミリア?」
明るい
「……なに?」
「見てっ!ほらあそこ!」
エミリアが指差すのは、
そこには何かを
普通に考えれば、どう見ても
しかし、ローザにもエミリアにも、その人物には見覚えがある。
と言うか――見覚えしかない。
「……エドガー」
そこに居たのは、ローザの《契約者》でありエミリアの幼馴染。
【召喚師】エドガー・レオマリスだった。
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