64話【小さな祭り】
◇小さな祭り◇
ローザとエミリアの二人は、午から後も汗を流した。
何度も
風が
「ふぅ。そろそろ終わりかしらね……」
「だねぇ……はぁ、はぁ。疲れたー」
エミリアは
ローザもまた、
(……《石》の力が無いと、私もこの程度か……)
体力だけで言えば、ローザは完全にエミリアに負けていた。
今寝転んでいないのは、ローザのプライドあってのものだろう。
しかし
それは自分でも理解している。だからこそ、どうにか出来ないかと考え、こうして前時代の
「少し休んだら、今日は帰ろうね」
「……そうね」
大の字から回復したエミリアは、ストレッチで身体を
ローザは
(
その思いは、“異世界人の中では”と言う意味合いだが。
エミリアを見るローザの
サクヤには、【忍者】としての才と長年
サクラには、《石》以外のギフトがある。
メルティナも、機械という
フィルヴィーネに
ならば自分にあるものは?
しかし、それ以外は?
剣は《石》の《魔法》による
その
それが今、悩ましい程に
ローザはポケットに入れてある《石》をそっと
熱を感じない《石》は、
フィルヴィーネによる魔力の
しかし、それでは戦えない。
いざという時に何も出来ないかもしれないと言う
◇
ストレッチを終えて、二人はミッシェイラ家の
そこに。
「エミリア君」
「……ミ、ミッシェイラ公!」
どこからか戻って来たのか、正装をしたギランツ・ミッシェイラ公爵と
「帰りかね?」
「はいっ。今日もありがとうございました!」
「ははは、
ギランツは
以前は、息子であるコランディルが使っていたのだろう。
しかし今、彼は
「……あ~、は、はは……」
エミリアは、どう言ったらいいのか分からずに
ローザは「私を見ないで」と
「いやなに。すまんね……そんなつもりはなかったのだが。実は今も、城に
「……そうなのですか?」
「ああ。【
同じく、【
(それなのに……
ローザは当然のように
「所で……」
ギランツが、エミリアの後ろにいたローザに
「あ!」と、エミリアもローザを紹介しないのも変だと気付いて。
「すみません公爵……こちら、私と一緒に
エミリアがサッ――と手をローザに向けると、仕方がなさそうに一歩前に出るローザ。
「初めまして、公爵
「ああ、君がそうか……」
ローザが、ローマリアの
「ローマリア
「いいえ。
「ははは、そう言っていただけると……
「え!いいんですか!?」
エミリアがその
「ああ。好きにしたまえ……それでは、私は
「ええ、感謝致しますわ、
「ありがとうございます!失礼いたします、ミッシェイラ公」
二人は頭を下げ、ギランツを見送った。
そして、エミリアが。
「ローザ……あんな話し方出来るんだね」
「
「えへへ、そういう訳じゃないけどね」
「ローザって、エド以外の男の人には結構
「……なんでよ」
「
「私だって、
「ほら行くわよっ」と、ローザはほんの少し照れたように門へ向かった。
《石》を身に付けていない為、
「あははっ。待ってよもぉ~」
エミリアさらに嬉しそうに、ローザを追いかけたのだった。
◇
二人は【
「いい
「だ、だね~……お腹減るよ」
今日は、ここ【
ローマリア王女に
「これは、何のお祭りなの?」
「――え?これは
「【パイル】?」
「うん、あれだね」
エミリアが
大きな実に長い葉、
しかし、
輪切りにしたその実を、
子供たちが
「
「ううん。あれは
ローザは「へぇ」と言いながら、自然と
食べる気満々だ。
「おじさん、その……」
なんだっけ?とエミリアを見る。
「【パイル】だね」
「【パイル】を
キチンとエミリアの分も頼んで。
「あいよ。
ローザは赤い鳥が
「……おいしっ」
「でしょ~?」
程よい
エミリアもその
しかし、その二人の背後から、
「――
「「――!!」」
バッ――と振り向くその先には、【リフベイン聖王国】第二王女スィーティア・リィル・リフベインがいた。
何千年もの
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