63話【修行】
◇
【リフベイン聖王国】の首都である、【王都リドチュア】。
王族が住まうこの国の
数日間続いた雨は、【水の月10日】(7月10日に当たる)の今日、ようやく晴れた。
王城で、
外に出る事もなく、ましてやお
考え事は
そう思って、
どこに行ったのかを
と、言うのも。現在エミリアはローザと二人きりだ。
場所は
ローマリアが探しても見当たらない訳であり、それをローザが口止めしていたりもする。
ローザは、エミリアに
《石》を使わない戦い方を身に付けるために。
◇
「今日も悪いわね、エミリア」
「ん~ん。別にいいよ……ローザの為になるなら
屋根付きの
そして今日はようやくの
ここは、【
その
誰にも見られることなく、ローザが集中できる
「それにしても、本当にいい所ね。雨も防げるし……そんなに人もいないしで
「だね~。ミッシェイラ公爵様様だよ、ありがたいね」
ローザは内心思っていた。(
ミッシェイラの息子コランディルは、ローザがこの世界に“召喚”された
騎士学校を卒業し、その時の【聖騎士】昇格の
その結果として、エドガーに【異世界召喚】という力を
きっとその考えは、同じ異世界人である他の女の子達も同じかもしれない。
「……よしっ。私は準備完了だよ!」
「ええ、私もいいわよ」
ローザは壁に立てかけてある
エミリアも、用意しておいた練習用の
「いくよローザ!今日は一本取ってやるからっ!!」
「来なさいエミリア……精々、私の
◇
カンカン――!ガッ!ガコッ!
木と木がぶつかる音が、何度も何度も
「やぁぁぁぁぁっ!」
エミリアが
それを見越していたエミリアは、わざと
「――っ」
反動で一回転し、すぐさま着地。
「――あだっ!」
しかし、
今度は
「おっ!……と!!」
ローザは
「げっ!」
片足状態のエミリアは、やばいと感じたが一足遅かった。
エミリアの足技を
変な
地に着いているもう片方の足を、ローザに引っ掛けられて。
「う、あ……ちょっ!!」
ブンブンと両手を回してバランスを取ろうとしたが。
バンッッ!と、
――カラカラカラーン。
「「……」」
「……だ、大丈夫?」
「……」
完全に全身を打っている。
「……さ、さぁ……そろそろ休憩にしましょうか」
「……うん」
鼻先を押さえて、エミリアも起き上がる。
血は出ていないようで良かったが、鼻は赤かった。
◇
二人で
これはエミリアが用意したものだが、城のメイドさん
「……宿の食事が恋しいわね」
「――いやいや、城でも
サンドイッチを入れてきたバスケットをパンパン叩きながら、「バレないように作ってもらうの
「わ、分かっているわよ……そこまで言わなくてもいいじゃない……」
「も、
小さな事から、
すると、
「……最近、エドガーはどう?」
「――え?エ、エド……?」
予想外の
ローザは、
メルティナやフィルヴィーネから近況は聞いているが、自分から進んで
そんなローザが、エドガーの事を聞いて来た。
「
「そう」
ローザが少し
でも、言えない。それを聞いてしまったら、ローザが決めた決意を水に流してしまう。
それは仲間の為であり、自分の為であり、そしてエドガーの為だとエミリアは充分に
ローザが城に来てから、
特に、ローザが《石》の力を失くしてしまった時から、それは
エドガーにその事を告げようとした事を、エミリアは少し
結果的に、エドガーは《契約者》として、それに気付いていた。
しかしそれをエドガーがローザに言う事も無ければ、ローザがエドガーに助けを求める事も無い。
痛いくらいにそれが分かるから。エミリアは今、こうしてローザと共にいるのだろう。
風が流れる。ふわりと流れる風は、ローザの長い髪を
それは、決意強く燃ゆる炎のようであり、ローザの
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