61話【羅刹の使者2】
◇
騎士たちの前に立つ青髪の少女は、背中から
その
「な……なんだ……それは……まるで……あ――」
『「――“悪魔”の何が悪い」』
言葉と同時に、
一歩、エリウスが踏み出す。
マシアスはその瞬間に行動を
「――か、
「ちょっ……!」
このエリウスの
先程までは完全に有利だと思っていたこの男は、騎士から強引に槍を
ジャキリと
親指で何かを探り、
その
「――く、くそっ!なんで上手く……くそっ!!」
「マシアスさんは使い方
「う、うるさい
この槍には
その
『「もうよいか?」』
エリウスが一歩前に出る
「く、くるな!くるなくるなくるなぁぁぁぁっ!化け物ぉぉっ!!」
カチリ――と、槍には小さな【
どうやら、正しい
刃に近い場所に
『来るぞエリウス!下位の“悪魔”が
「――分かってる。魔力の波動を感じた」
『「【
槍に
【
しかし、ベリアルの能力であるこの翼は、
そして
「――グッ!!」
ズキリ――と、エリウスは心臓に痛みを覚える。
しかしそんなことは
すると翼は
その瞬間、翼に当たった何かが、バチン――!!と
異世界人である“
『――ふん。そんな“下級悪魔”の
「
バサッ――!!と、翼を広げて、エリウスは魔剣をマシアスに向けた。
何事もなかったかのように。
「――な……なん、だと……」
マシアスには、エリウスが地に
しかし、地に
他の騎士たちも同様に、
それだけ、異世界人であるスノードロップとノインの二人を倒せたことが、自信になっていたのだ。
「……ぶ……」
マシアスは
「――ぶっ
『初めからその
「――命令しないでっ!言われなくてもやるわよっ!」
騎士たちは
向けるのは、
エリウスはその様子を見て「それでいい」と笑顔で言った。
自分は
愛する帝国の騎士たちに立ち
それでも
そうして足を
『「――さぁ、来いっっ!」』
剣を持った騎士が三名、普通の槍を持った騎士が三名、
「……くっ!……うおおおおっ!」
一人の騎士が、
走り、一気に
「――ふっ!はぁっ!」
その騎士に対して、エリウスはオーラを
三つ爪のオーラは騎士が剣を振り下ろす前に、肩口から腹部にかけてを
「ぐあっ……」
騎士は
それは、斬られた騎士の服だ。
肩口から切り
まるで新品同然に、雨で濡れた以外は何も変わらない。
「お、おお!」
「――ぐ……ぐあぁぁぁぁぁっ!!があ、ぐああああっ!!」
斬られた騎士が、斬られた
「お、おいっ!どうした!?傷は無いぞっ!」
騎士たちは当然
異世界人であるノインの
何が起きたのか、まるで
『――クハハハハ。教えてやろう……俺の攻撃はなぁ、物理攻撃ではないのだよっ!!言わば精神攻撃……お前ら人間の
「だから、聞こえてないってば」
エリウスの
その攻撃に、もはや
そして、
エリウスの
『まぁ、コイツ等の
「全員はやらないわよ」
『なに!?
「うるさいわね……
『――関係ないだろ』
「
『……ちっ!!』
エリウスとベリアルのやり取りは誰にも分からない。
しかし、最強の
そして、エリウスは動く。ゆっくりと静かに進む先は、隊長格の男、マシアス。
「――はっ!き、
自分が
だが、苦しむ騎士の
それが分かるから、エリウスはマシアスに足を向けたのだ。
「く、来るな化け物ぉぉっ!」
マシアスは効力の無くした槍をエリウスに向けるが、
エリウスは、黒いオーラの爪を、マシアスの足元に振るった。
「――ひっいぃやぁあ!!」
エリウスはそんなマシアスに向けて、右手に持った魔剣を突き付ける。
「いい?お前が本当に兄に
それは、決別の言葉。
そして、
エリウスは
「――お前達も聞いたわね……!この男が
「「「は……はっ!!」」」
騎士たちは、エリウスの言葉に
敵対すると
しかし、一人納得のいかない“悪魔”ベリアルは。
『いやいや……俺の食事わいっ!!』
「うるさいわね、私の
『……ちっ……面白くねぇ……』
そう言い残して、
同時にオーラの翼や角も消え、エリウスは人間に戻った。
自分の姿を確認して、エリウスは言った。
「――さぁ、この村から
言いながら、エリウスは魔剣を振るった。
フォンッ――!と風を斬った魔剣の
先程地面を
それは
「――ひぃっ!!ひぃぃぃぃっ……」
立ち上がり、
他の騎士などお
(まったく……なんて
他の騎士たちも、傷付いた騎士を
そして誰も居なくなった広場には、エリウス一人が残された。
そして、降り続けていた雨がエリウスの身体を
「……」
もう何も言えないまま、エリウスはゆっくりと後ろに倒れていく。
ドシャリと、思い切り
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