55話【黒銀の翼2】
◇
ノインの放った
火事の
周りを見渡し、騎士たちは
「……ノインはっ!?」
「――来ていません!」
「なっ!?」
一瞬
「リューネ、オルディアさん……森に行くわよっ!」
村長の家は村の一番奥、更にその奥は森林になっていた。
そこに身を隠せば、ノインの様子を見ながら騎士たちの事も見られる筈だ。
そうしてノインを待つ。エリウスはそう考えた。
「で、ですが……いいのですかっ?」
リューネが見るのは、村長の娘オルディア。
彼女は不安そうな顔で、焼け
「……そう、ね」
元はと言えば、自分たちが
けれども、ここでうだうだしていれば、オルディアまで巻き
異世界人である彼女が、
そして、
ノインがどうにかしてくれている可能性もあるが、
それは、
「――まずは身を隠しましょう。リューネはオルディアさんを連れて。いいわね」
「は、はい……!オルディアさん、こっちに行きましょうっ」
「ええ……分かりました」
エリウスは
少し進んで、村の
◇
「炎が、
(今の風って……)
「そうね――!……ノインがいたわっ」
エリウスたちは森の木々に隠れるようにしている。
そこから指をさして、
ノインがゆっくりと歩いて、騎士たちの前に現れたのだ。
「な、なんでこっちに来ないんでしょうか……」
「逃げろって事なんでしょうけれど……」
ノインを置いていくわけにもいかない。自分を助けてくれたのはスノードロップとノインだ、あのまま
(――ノインの様子がおかしい……?)
騎士たちの前に立っているノインの顔には影が差し、暗がりと合わさって
関係性はまだ浅いが、ノインは
しかし今はどう見ても、目の前の騎士たちを
「ノインさん……?」
「……!」
ノインの
◇
誰も、誰も言葉を
それがアタシを、
目の前にいるのは
どちらにしても、コイツ等を引き
エリウス達を逃がすだなんて、きっと
――
◇
ノインの周りには騎士たちが集まり、
言葉を
とても結成間もない騎士団とは思えない
しかし、ノインには関係無い。
「――村長を斬ったのは、誰……?」
静かに、ノインは言葉を
村長の死の
そいつを真っ先に探し、八つ
それが、
ノインの言葉に、一人の騎士が返答する。
「言うとでも思っているのか……
「……」
(アタシを知ってる……?――ああ、そうか……シュルツが
こうなってしまえば、《石》の能力も
現に、ノインと騎士たちの間に一定の
ノインの《石》、【
単純な能力は三つ。
1つ、形状変化(斧と爪)。
2つ、筋力の大幅上昇。
3つ、自信と気力を上昇、もしくは与える事ができる。
の3つだ。
黒いコートの騎士たちは、じりじりとノインの周りを動いている。
一定の
「――ちっ!!」
(やりにくいなぁっ!)
ノインが一歩足を動かすたびに、騎士は一歩
それがノインの
しかし、このままでは
「――はぁっ!!」
自分の能力が知られているかもと言う不安はあるにせよ、この世界の人間に負ける訳がないと言う自信と、今まで戦ってきた“獣人”の部族としての
たった一歩の
「「「!!」」」
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
両手に持った
「ぐわああっ!」
「おわっっ」
「ぐえっ……」
「――なっ!?」
しかし、一番
月が出ておらず、能力も
それなのに、騎士三人は
そう、たったのそれだけで済んでいたのだ。
「……どういう事」
思わず口に出た。しかし、瞬時に
切り
「す、すげぇ!」
「
「これなら張り合えるぞ!」
騎士たちは
自分たちが装備しているコートの性能が
「――ちぃっ!」
帝国の技術を
シュルツがその力を
しかし、ここまでの
ノインは、
「……」
(シュルツの技術だけじゃない……
シュルツ・アトラクシアの“魔道具”の知識、【
その誰かが、この黒いコートを作ったのではないかと、ノインは
そしてその事実を、恐らくシュルツは知っていたのだろう。そうでなければ、敵になりうる可能性を持たせたまま、ラインハルトに
(――あの男は……昔からぁっ!!)
何年も何年も。
それでも、信用していた事もある。
帝国に渡ってからは、彼は別人のように知識を求めた。
最終的に
しかし、目の前にある“
そしてそれは黒いコートだけではないと、この直後に知る事となるのだった。
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