45話【魔道具を求めて1】
◇魔道具を求めて1◇
ローザが、自分の
エドガー達のいる宿屋【福音のマリス】では。
「ごめん!それはそっちに置いてくれるかな?」
「はーい!ここでいいかな?エド君!」
「うん、ありがとう!悪いねサクラ、まだ完全じゃないのに手伝ってもらっちゃって……」
エドガーとサクラは、今日は朝から
サクヤはルーリアの所に行き、メルティナはメイリンの手伝いで外出、フィルヴィーネはローザの所だ。
リザはサクラのポケットにいるが、大人しいので今は寝ているのだろう。
「――ううん、平気だよ。運動不足だったし
サクラは
エドガーは、
「ははは……サクラ。それ、一応“魔道具”なんだよ……正確には《魔法》の素材、だけどね」
「――え!?ご、ごめんね。まだ分かんなくて……」
エドガーの大切なものをゴミ呼ばわりしてしまった。
「いや、いいんだよ。無理もないさ」
この“魔道具”【ソールドウッドの根】は、薬草に使われる【ソールドウッド】と言う木の根だ。その葉は傷薬に使われ、
「あはは……確かに、分からなければゴミかもね」
「――ごめんってばぁ!」
「わっ……ごめんサクラ、違うんだよ」
くすぐったそうに、エドガーはサクラに
「僕達【召喚師】は、この国で
「うん……」
「だからさ、魔力が
「うん」
それでもエドガーは続ける。どうやらこの
「だから僕は、小さなころから《石》を集めてた……
そうなれば、【召喚師】が言われもない
そんな人がいれば、
「……いろいろ言われるのもさ、慣れちゃったんだよ……でも初めは、陰口を言われるだけだったんだ」
それがいつしか、国指定の“不遇”職業と言われ始め、
「――アレもさ」
そう言って、エドガーは
「アレは、
「そ、そう言うのもあるんだね」
「うん。むしろ素材の方が多いんだよ。単独で“魔道具”って呼べるものは
「そういう才能?」
「うん。“魔道具”を作れるんだよ。素材を組み合わせて、その性能を最大限まで高める存在……」
通称【
「――当然だけど、聖王国には存在しない」
「そんな人が……い、いるんだねぇ……」
エドガーと顔の近いサクラは、赤面しながら生返事だ。
話に夢中なエドガーは、サクラの顔が近い事など然程も気にしていない様子だが、それが若干腹立たしいサクラ。
エドガーは知らない。あの日(第1部2章)出逢った
「――あ、でもね。メルティナがそれに近い気がするんだよっ」
「え、メルが?」
意外な名前に、サクラはキョトンとする。
メルティナが“魔道具”を作れるのかと一瞬思ったが、
「あぁ……【クリエイションユニット】だね、あれは――」
「――そう!!それだよっ」
「――わぁっ!」
(近い近い近い!)
食い気味でサクラの答えに
サクラの心の中では、(なんでこんなに女の子と近づいてるのに、赤面すらしないの?)と、残念やら
「メルティナのあの【クリエイションユニット】は、道具を作り出す事が出来るよね。それはつまり、“素材”と“情報”さえあれば、“魔道具”を作り出せるんじゃないかってさ!」
「う、うん……そうかもね」
引き気味に、エドガーの
サクラの世界では、いわゆるオタクに
サクラとはかなり遠い存在だ。
でも、今は目の前にいる。少し顔を突き出せば、
(ど、どうしよう……エド君、気付いてないの?)
「それでね!今度メルティナに色々と頼んでみようかとも思ってるんだよ!」
メルティナの【クリエイションユニット】の
それこそ素材もなしに【ランデルング】と言う乗り物を作り出す事が出来るのだ、もしも高性能な素材があれば、エドガーの
「何がいいと思う?金属はメルティナが作り出せるから、武器なんかも作れるよね!丈夫な服なんかも出来るかもしれないよ!?」
「う……うん、そーだね」
(近い!近い近い近い近いっ!なんでエド君平気な顔してんの!?)
信じられない程に、エドガーは気付いていない。
こんな美少女(本人談)とキスが出来そうな
「そうだ!サクラが好きそうなアクセサリーでもいいね!」
「――ひゃっ!」
そう言って、エドガーはサクラの手を取った。
突然の行動に、サクラの
それでも気にせず、エドガーはサクラの指や手首をまじまじと
「ちょちょ!エド君!?」
エドガーは「ふむふむ」と言いながら指の長さや太さをチェックしていた。
そんなことで何が分かるのかとも思ったが、これは
そう、
(そー言えば、《石》の世界に来たリザが、指輪してたなぁ……)
サクラが逃亡していた《石》の世界。
そこまで追って来たリザは、左手に指輪をしていた。
(ん?あれ……?)
思い出そうとすると、リザの指輪は左手の
(……は?)
その指輪の宝石は、エドガーが
つまり、エドガーから
そして思い出す。その当人が、自分のポケットに眠っている事を。
「――はぎゅゅゅゅっ!!」
「――え?」
突然聞こえて来た
サクラの服の中から聞こえた気がするエドガーは、
そこから更に――「うぎゃぁぁぁぁぁ」と、くぐもった声が
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