エピローグ3【帝国内乱1】
◇帝国内乱1◇
遠く北の地から
休むことなくぶっ続けで走ってきたエリウスの二頭の愛馬が、
「――あっ!」
ガクリと、黒馬レイスが足を折る。
「エリウス様っ!!」
間一髪、隣に
――ドシャアァァァン!!
「……レイス!」
「レイスがっ!」
白馬ヘルゲンから降り、リューネ、そしてエリウスはレイスに
リューネはレイスの前足を見る。
簡易的な
「……
「そんな!レイス……ごめんなさい……ごめんなさい!」
エリウスとリューネが目撃した、帝国首都方面の炎上。
その
ましてや
「
「リューネ、
リューネは、苦しそうに息をするレイスの首を
「
二日
それは、今も炎上中だという事の
「でも……」
エリウスは苦しそうなレイスを見る。
愛馬であるレイスを、このままにしてもいいものか。
エリウスはゆっくりと、レイスに近寄る。
しかしレイスが。
――ヒヒィィィン!!と
「……!!――レ、レイス!?」
「レイス
黒馬レイスの命を
――ヒヒィィン!とエリウスに声を上げた。
「……乗れと言っているの?ヘルゲン……レイスも、行けと……?」
俺はまだ走れると、そいつの代わりに俺が走ると。
「エリウス様、レイスは私にお
「……リューネ。
エリウスはヘルゲンに
「お
「――ええ。分かっているわ!」
走り去っていくエリウスの背を見ながら、エリウスは思う。
本当は、自分も行きたかった。
二人を受け入れてくれた
レイブンに
「……
折れた骨が、体重に乗ったせいで刺さっているのだろう。
「
エリウスにはああ言ったが、恐らくレイスは助からない。
エリウスを
「私は、
馬車を置いてきた以上、
腰に
最終的な行動は、きっと
「……カルストさん……レディルさん……私はっ……!」
こんな時に、レディルやカルストがいてくれたら。
どうしてもそう思ってしまう、リューネだった。
◇
リューネと別れ、少しした先でヘルゲンを休ませた。
水を飲ませ、
そしてまた、走ってもらう。
「ごめんなさいねヘルゲン……無理をさせて。
――ヒヒィィィーン!と、ブルブルと身体を
「ありがとう、ヘルゲン……」
そうして、エリウスが燃える
◇
【
二日後、
「――こ、こんな……まさか……なんでっ……どうして!!」
広く
「――ストップですよ、
ピタリと、背に付けられた槍先。
エリウスはその言葉に
「すみませんが、わたくしの
背後の
身バレ防止用だと
「……それではそのまま前へ。東に少し行った先、緑の屋根の小さな宿。そこの裏手が開いています……そこへ行ったら、扉に向かってこう言ってください『私だにゃん♪開けてにゃん♪』と、両手の
「……」
エリウスは少し考える。
しかしコクリと
そして、ケープを
街並みの様子を見ながらも、小さな宿の前に着いた。
「――では
「……」
「
「――クッ……わ、私だにゃん……あ、開けてにゃん……」
(訳が分らないけれど……
赤面することは無かったが、エリウスは
扉の向こうから「……は?」と、
そして
「――プフッ……フフフ……エリウス
背後で、笑いを
プルプルとエリウスは
◇
カチャリと、
カップに注がれた紅茶の香りに、エリウスは少しだけ心を落ち着かせた。
「――どうぞ。
「ありがとう。えっと……ノイン、だったわよね?」
「ええ、その通りよ。先程はスノーが悪かったわね、許してほしい」
扉の向こうにいたのは彼女だ。
エリウスは幼女だったと記憶していたが、一体どうしたものか。
と、一瞬考えたが、リューネの報告にもあった事を思い出す。
「――
「そうよ。満月の日だけ、この姿になれる……本来の姿は幼い姿だけれど、性格的にはこちらが本当なの……ややこしくて申し訳ないけど」
「いえ……そんな。それよりも、あなた達の
「――シュルツ・アトラクシアは城に行った、
「兄は無事なのですね……では父は、
「「……」」
顔を見合わせる、“天使”と“獣人”。
それだけで、嫌な
「
「エリウス様……冷静に、落ち着いてお聞きください……」
「――
ガタリと立ち上がり、テーブルにぶつけた身体の
ノインが、それを指で押さえ言う。
「
「――!……申し訳ない」
座り直すエリウス。
「エリウス様……
「!!」
カシャン――と、
ノインがそれを片付け、スノードロップが話を続ける。
「今回この
「――は?……え、兄……上が?……ち、父上は!?……
今何を言われたのか、分からなかった。
信じられなかった。信じたくなかった。
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