エピローグ2【私の未来】
◇私の未来◇
王城のとある一室で、ローザは
《石》の
【消えない種火】に
「これでは
自室で
予想だにしていなかった、妹との再会。
その結末は、ローザの心が折れてしまうと言う
エドガーには言うなと
しかし、エドガーがここに来ることはない。
それを加味しなくても、エドガーは来ないだろうとローザは確信している。
今の最優先はサクラだ。
ローザの見立てでも、サクラの身体の限界は近かった。
《石》の
ローザとフィルヴィーネは特に、その事に気付いている。
長年の経験と、その才で。
「エドガー……」
ベッドに座っていた身体を、ボフリと横たえる。
普段はそんな事を考える事など、無いのに。
もし今、この城の誰かと戦えば、きっと
妹ライカーナと戦った時よりも
ローザからすれば、《石》は全てだったのだ。頼り切っていたとも言える。
“天使”ウリエルに
幼少時に
親、兄弟姉妹よりも時間を共に過ごし、師と呼んだ事もあるロリコン“天使”。
今、こんなにも助けて欲しいと思った事はない。
異世界と言う場所を
ローザは初めて、この異世界という事実に、
◇
時を同じくして、王城をコソコソと、まるで
その後ろを、疲れたように
「――うん、今いない。イケる!」
「イエス、行きましょう」
「はぁ……どうして
影の正体はエミリア、メルティナ、フィルヴィーネの三人だった。
三人は、リザがサクラの《石》に入っていったあと、
エミリアは『え!?私も!?』と
『お前が行かずにどうするのだ……
『そ、それもそうだね……』
『では行くぞ。メルティナ、背を貸せ』
『イエス。それではエミリアを
『――えっ!?』
フィルヴィーネとメルティナが、“悪魔”に見えた。
『“魔王”だ』と、エミリアの心を
その後はメルティナが飛行し、城まで飛んで行き今に
三人は
「おっし、ここにも、
「が、がばがばではないか、この城の警備……」
「確かにそうですね」
三人はローザの自室を目指している。
ローマリア王女の
本日二度目にも
それもこれも、スィーティア王女とローザの戦いの
だから、ローマリア王女の
「げっ!」
エミリアが見つけた、スィーティア王女
柱の
「ここはローマリア
「なんだ?あ奴らは……
「ああ、三人の王女の
赤を選ぶところも、そういう事なのだろう。
ローザの妹だけはある。といった所だ。
「
「だろうね。でもここはローマリア
ローマリア
だがローザは、エミリアの言う通り客人だ。
たったそれだけで、スィーティア王女の騎士が
しかも、エミリアが居ない少ない時間の
「仕方が無い、
「イエス、
「うむ」
「――え?なに?どうし――」
フィルヴィーネがエミリア、そしてメルティナの肩を
メルティナの腕の装置から出るホログラムの
◇
「――たの……」
どうしたの?と
「……」
「……」
見つめ合う二人。
金髪の少女は、何が起こったのかが分からないまま、赤髪の女性を見る。
赤髪の女性は、突然現れた三人に
そして金髪の少女、エミリアはこの
「――えええええええええええええええっっっ!?」
「エミリアうるさい!」
「
「うるさいですエミリア」
三人に
その姿に、フィルヴィーネが言う。
「――
ローザはため息
「……そうね。そういう事なんでしょ……エミリア、メルティナ……エドガーに話したわね?」
「うっ……」
「イエス。ですが、マスターはどことなく知っていたのかもしれません。そんな様子ではありました」
ローザの
そしてそのローザの
「まぁそんなに
「それでも……私は」
助けて何て言っていない。まるでそう言いたげな、ローザの
ペシン――ッ!と、不意に頭部に走る痛み。
痛みと言うには
「――は?」
顔を
こんな事が出来るのは、フィルヴィーネだとローザは思っていた。
だが、目の前に立っていたのは――エミリアだった。
「ローザのバカ……エドが一番、ここに来たかったに決まってるじゃない……それくらい分かるでしょ?」
エドガーはエミリアに言った。
僕は行けないと。行かないと。
それは、最優先がサクラの命だったからだという事もある。
エドガーが城に入りにくいという事もある。
だが、もしローザが最優先なら、真っ先に来ている筈なのだ。
いの一番に
「エドがフィルヴィーネに頼んだのだって、
「エミ、リア……?」
「だから、受け入れてよ。エドの答えを……エドの想いを!」
ローザは、叩かれた
意外だったのだ。エミリアがそういう行動を取ったことが。
「……」
エミリアは真剣な
その手はギュッと
「……エミリア。後で覚えていなさい」
「……え!?」
ローザは立ち上がる。
少しフラつくが、
「……メルティナ、エドガーが言ったのはそれだけ?」
『それ』と言うのは、行かない。と言う意志の事だ。
「イエス……そうですが」
「そう。それじゃあフィルヴィーネ、お願いするわ……エドガーの想いを、私は受け入れる」
「ほう」
「ローザ……!」
ローザの《石》の
フィルヴィーネもそう思っていた事だろう。
エミリアは嬉しそうに、ローザの手を
そのローザは顔を赤くして、
もしかしたら今だけかもしれない、こんなローザの、耳まで赤い赤面は。
(まったく……
子供のような
現実的に、こんな
だがローザには、
それは、エドガーが異世界から“召喚”した
ローザはそれを心に言い聞かせて、ベッドに座り直す。
「……エドガーの言葉は絶対だものな、
「そ、そういう事よ」
赤らめるローザに、フィルヴィーネは
もしエドガーがここに来ていたら、ローザは
だが今、遠くにいても、どこか心で
それはつまり、
<……ローザさん、メル、フィルヴィーネさん……聞こえますか?――その……えっと、何て言ったらいいのかわからないけど……率直に。迷惑かけてごめんなさい。色々してくれてありがとう……た、ただいま>
「「「――!?」」」
「……は?え。な、なに……!?どうしたの!?」
心で会話する事が出来る《石》の能力。
三人は、顔を見合わせる。
特に、何も知らなかったローザは
「――うむ。どうやらリザが
「イエス。そのようです」
「え、え?それってつまり……サクラ……が?」
「……サクラ……」
フィルヴィーネ、メルティナ、エミリア、ローザの順に。
そして三人は再度顔を見合わせて、
<――遅いわよ。お寝坊さん……>
<――遅いです!サクラ>
<……遅いぞ、まったく>
帰って来たサクラに、言ってやった。
「――ね、ねぇ。私も思ってるよ!サクラが戻ったんでしょ!?遅いって言ってやって!」
「ふぅ……」
ローザは、嬉しそうにするエミリアを見ながら。
<……おかえり、サクラ。エミリアもそう言っているわよ……後でもう一度、直接言うってさ>
<うん……ありがと、ローザさん……エミリアちゃんも>
「ありがと。だって、エミリア」
「……うん!……うん!!」
サクラが戻って来た。これで問題は一つ解決したわけだ。
「よし。サクラの問題はこれで大丈夫だろう……ではこちらも始めるとするか。ロザリーム、手を貸せ」
ローザは何も言わずに手を差し出す。
右手の【消えない種火】は、
フィルヴィーネは手を取り、
「――完全に魔力が
「ええ、どうやらそうらしいわ……」
ローザの戦意が
最大の問題はスィーティア王女の《石》、【
受けたローザが一番分かっているだろうが、その力は
魔力回復の手立てがない異世界人達には、何とも
「……取り
「ええ、頼むわ」
後ろでは、エミリアがメルティナに「ローザ、そんなに悪かったの?」と聞いている。
ローザ自身はそれほど悪くはない、全ての問題は《石》なのだ。
「――ロザリームお前、《
「……ええ、
ローザが弱気だ、とエミリアは後ろで
しかし。
「けれど、このままじゃいられないわ……私も前に……未来に進まないとね」
エミリアを見て、ローザが照れながら言う。
「ローザ……うん、そうだね!」
そうして、フィルヴィーネによる魔力の
この
だからこそ、ローザも
そしてそれは確かに、異世界人達の成長でもあるのだと、
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