38話【宝石接続《ジュエルリンク》1】
◇
【召喚の間】、中央の魔法陣を
まだその魔法陣の
コノハが眠りにつき、次に目を開けた時、そこにはサクラがいる筈だ。
しかし、そうするためには準備が必要だった。
その
彼女は「すぅ~」っと息を吸い、「はぁ~」っと
どうやら緊張しているらしい。
「――らしくないな。リザよ」
「フィ、フィルヴィーネ様。ははっ……確かに私らしくありませんね、緊張だなんて」
サクラの
痛いとも何も言わず、リザはサクラを見続けている。
「フィルヴィーネ様、私は……上手くできるでしょうか」
こんな小さな身体になって、魔力もほぼ無きに
あるのは、小指の爪程の《石》だけだ。
エドガーから
この《石》が無ければ、そしてエドガーの技術が無ければ、サクラの《石》に入れると気づくことも無かった筈だ。
「……なんだ、自信が無いのか……?」
リザの
すっぽりと
「おいおい……お前は
「――そうであれば、どれほど楽だったでしょうか……」
本当に自信が無いらしいリザに、フィルヴィーネはやれやれと。
それほどまでに、リザはこの小さな身体に、精神的に
「エドガーに見られるぞ?」
エドガーとメルティナ、そしてサクヤとエミリアは、もう一つの解決しなければならない事を話し合っている。
それはローザの事だ。
「……」
四人をちらりと見ながら、リザはポツリと言う。
「……今の私は、こんなにも小さいのです……おそらく、【
「――お前はいつもそうだな」
「……すみません」
自覚は大いにありだった。
リザは、
なのにどうして、一人になるとその自信を一気に無くすのだ。
それは、長年
そしてそれを
「まったく……サクラを連れ戻すのだろう?」
「それは……はい」
自信がなくても、言った事は守る。
ただ、今の姿が自信の
フィルヴィーネは、そんなリザの頭を指先で
「――リザよ。先程のエドガーの言葉……どれほど信じる?」
「……言葉と言うのは、コノハに掛けた言葉ですか?」
「そうだ」
フィルヴィーネの顔を見上げ、その言葉の意味を探す。
「信じる……という言葉は“悪魔”らしくありません。でも、エドガーは真剣でした……きっと、コノハを“召喚”してくれると思います。でもその為には、サクラを元に戻さなければいけません……私が、それをしなければいけません……」
プレッシャーを感じているのだと、フィルヴィーネは
小さくなり、魔力も無くなった。
頼りにする事が出来るのは、まだ
「お前は確か、“魔王”
「……え?ええ……まぁ。そうですね……他の
「だが、こうして
「それは……そこに私しかいなかったからであって……」
フィルヴィーネがこの世界に“召喚”される
“魔王”であるフィルヴィーネには、数多くの《魔族》の部下がいたのだが、フィルヴィーネはその部下達に何も告げずに異世界に旅立った。
「きっと過去の時代では、
「クックック……そうであろうな。だが、サイスやディオナがいれば、《魔界》は平気であろう?」
「それなら、この時代にも《魔族》はいるのでは?」
今いるこの世界は、フィルヴィーネ達がいた時代の数千年後の世界だ。
しかし魔力は
「それを考えれば、無責任に“召喚”されて……よかったのですか?」
リザはジト目でフィルヴィーネを見上げる。
その
「クックック……よくないであろうな。今の
フィルヴィーネにも自覚はありだ。
いずれ、過去の時代に何があったのか、《魔族》や《悪魔》が全滅している理由を、フィルヴィーネとリザは知らなければならない。
「――ディオナがここに居れば、きっとブチ切れていますよ?」
ディオナ・バルバトスは、リザの次にフィルヴィーネに近かった
リザと同じく元は“天使”であり、
「ハーッハッハッハ!であろうな!
「笑い事ですか……」
「ふん。そんなことを言っている
フィルヴィーネの大笑いに気付き、エドガー達が【召喚の間】に戻ってくる。
エミリアは
「――いだっ!!」
「何やっているんですか……エミリア」
「……だ、だってぇ」
かわいそうなものを見る目をして、メルティナがまたエミリアの隣に残ってくれていた。
「うぅ……ごめんね、メル」
「いいんですよ、エミリア」
顔をぶつけてへたり込むエミリアの頭を、メルティナは優しく
◇
エドガーは、横たわるサクラの前髪をそっと
ヘアピンで固定し、《石》を
「
「身体が冷たくなってきてる……もしかして!」
「――時間が無いと言ったであろう?」
フィルヴィーネはエドガーの
そのリザは。
「ま、任せなさいエドガー!わ、私が……サクラをしっかり連れ戻してあげるからっ」
背後から感じるフィルヴィーネの
「……うん。信じてるよ、リザを」
「……!!」
「だ、そうだぞ?リザよ」
「わ、わ……分かっていますよっ!」
リザはすたすたとサクラの頭近くまで歩み、自分の《石》を両手で
「――始めますよっ!?
後ろ姿だが、きっと顔が赤いのだろうと分かる。
「はいはい。ではいいな?エドガー……」
「ええ。よろしく頼みます……」
フィルヴィーネは、サクラの
リザの《石》を指で
「……」
「あ、
サクヤは、エドガーの隣で心配そうにサクラの手を
その手は冷たくなり始め、
コノハが眠った直後だが、こんなにも急に弱るという事は、やはりサクラの存在に危機が
「大丈夫だよ。信じよう」
エドガーは優しく笑いかけ、不安気にするサクヤの涙を
「……はい、
「では始める……行って来いリザ!しっかりと役割を果たして、見事サクラを連れ戻してくるのだぞっ!」
「は……はいっ!お任せをっ!!」
フィルヴィーネとリザは、
「「――【
フィルヴィーネの魔力を
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