39話【宝石接続《ジュエルリンク》2】
◇
「「――【
フィルヴィーネとリザ、二人の声に合わせたかのように。
リザの《石》、【
その名を
その光はリザの精神を
浮かび上がったリザの精神は、ゆっくりとサクラの
残されたのは、ぐだっと眠りに入ったリザの身体だけだった。
「フィルヴィーネさん……これで、リザは……」
「……ぁ、ああ……精神が《石》に入った。時間は、そうだな……
「――っ!?フィルヴィーネさんっ!!」
「フィルヴィーネ殿!」
くらりと、フィルヴィーネは真後ろに倒れていく。
エドガーはその背を支え、受け止める。
サクヤも一緒に背を支えて、フィルヴィーネを横にさせ休ませる。
「クックック……すまぬな……少々魔力
青い顔をしながら、フィルヴィーネは心配いらないと笑うが、エドガーは心配そうに。
「フィルヴィーネさん……これ以上の
その
ローザが大変な
その事をフィルヴィーネに頼んだという事も
「――心配はいらぬと言ったぞ」
エドガーの手を
「……いや、でも」
「リザも時間が
立ち上がり、フラフラとする。
「……けどフィルヴィーネさんが……」
支えるエドガーの声を
フラつく足元。倒れる事はしないが、明らかに
「――いや……ちょっと……ああっ!もう……頼んだよっ!!メルティナ!」
横たわるサクラとリザ、勝手に行ってしまうフィルヴィーネを
その言葉にメルティナは。
「――!!……お、お任せください、マスター!」
「……」
(それでよい、エドガー)
フッと笑みを見せ、フィルヴィーネは【召喚の間】を出ていく。
その笑みは、とても満足のいくものだった。
「……じぃ~」
エミリアがその笑顔を見ていた事に気付き、ビクッとした。
その顔を見てエミリアがニヤリと笑ったことは、二人の中の
それはまた別の話に
◇
何も無い。
光が
「――これが……サクラの世界……?」
リザは、足場も存在しない場所を歩く。
「……サクラはどこに……――ん?」
ふと気になった。自分の身体が。
大き過ぎるくらいだと思った【
「――え、あれっ!
無くしてしまったと思い、自分の身体をペタペタ触って探す、足元もチェック。
しかし、無い。
「……は?」
触って気付く
手が、足が、胸が、腰が。成長している。
尾が、翼が、角が。
無くしてしまった魔力までが、元に戻っていた。
【
「こ、これじゃあ……」
まるでエドガーの妻のようだ。
口には出さずも、心の中で
しかし
「――ば、馬鹿らしっ……速くサクラを探さないといけないのに……」
リザは、
そうして、《石》の世界である異空間を飛び出した。
◇
「一切
リザは戻ったばかりの身体で、《石》の世界を
不意に、ある事に気付く。
「――あ!ああ……《石》をサーチすればいいのね……うっかりだわ」
身体が戻った事に舞い上がってしまい、リザは忘れていた。
それ以前に、リザは《石》の所持者ではない。突然魔力を取り戻して迷う事も、仕方のない事だが。
「……サクラの《石》……サクラの《石》」
目を閉じて、感じる。
《石》の感覚を。
「あったわ……こんな
白き《石》の感覚は、目の前にあった。
正確には、
「私の力に反応して、出て来た?」
リザが身体から魔力を少し放出しただけで、空間が
スタッと着地し、一歩足を踏み出した瞬間。
「――いた」
少し先に、その姿を消していた黒髪の少女、サクラがいた。
眠っていたのか、目を
リザはゆっくりと近付き、そして声を掛ける。
「――サクラ、
「……え……っと、誰?」
小さな姿の“悪魔”リザしか知らないサクラは、目の前にいる真の姿のリザに、気付くことは出来なかった。
「――私よ」
「いや、だから誰っ!?」
起き上がり、
よくよく見れば、リザはオレンジ色のボンテージを着ていた。
「……」
サクラはまじまじとリザを見る。
上から下まで、舐める様に見る。
「も……もしかして……」
「そうよ」
「やっぱり!――【魔界戦場レビデンス】の
「――誰よそれっ!!」
ずるッと
「え、違うの?」
「あなたねぇ……もしかしてワザとやってない?」
ワザとではない。
サクラの世界にある漫画【魔界戦場レビデンス】の主人公リリスに、
リザにとってはなんのこっちゃの話だが、サクラにとっては大事に感じたのだろう。
《石》の世界だからか、夢のような感覚に
漫画のキャラや有名人が出てくる感覚だったのだろう。
リザは魔力を
そこにはサクラも知る、小さな“悪魔”の大きくなった姿があった。
「――リ……リザっ!?」
「そうよ。
差し出す手を、サクラは取らない。
「……リザ、どうしてここに……あたし、
帰らない、ではない。
それを聞いて、リザは笑う。
「なら、帰れる
リザは再び、“悪魔”の
それと同時に、魔力で作り出した巨大な
その
「……リザ。何のつもりなのっ!?あたしは帰れないって!こんな迷惑かけて……」
「――関係ないわね。私は約束したわ……エドガーと、コノハとサクヤに……あなたを連れて帰るって大見えを切った。だから、“悪魔”らしく……無理やりにでも連れ帰るっ!!」
「……!」
いつものサクラなら、
しかし、今のサクラがとった行動は。
「ならっ!……ならあたしにも意地があるっ!」
すると一瞬で、肩には
サクラがいつも持っていた学生
ここが精神世界だと割り切って強気でいられるのか、サクラは
ジャキ――ッとリザに向けられたのは、【アサルトライフル】だ。
エミリアの決闘でも使われた、軍が使用する本物のライフル。
「……
チュイン――!!
「――最後まで言わせなさいよっ!!」
有無を言わさぬ攻撃に、リザは逃げる様に飛び立つ。
空間に飛び立ったリザに、サクラは銃口を向け連射する。
「――くっ……早やッぃ……」
空間は、サクラが銃を
「――この馬鹿っ!」
それに気づいたリザは、これ以上はまずいと判断して空中で急停止。
「なっ!ズルくない!?」
「――ズルくないっ!!」
銃弾を上回る速度で回転して、盾のようになった
防いで
「行くわよっっ!」
リザは、
それこそ、大きな弾丸に見えるような突進攻撃だ。
「――わぁぁぁっ!」
横っ飛びして
サクラはそれを【アサルトライフル】の下部に取り付け、
「
停止しているリザに向けて、サクラはもう一つのトリガーを引く。
太めの銃口から、その弾丸はボシュン!と
弾丸と言うよりは、その
「――!!」
リザは引き続き、回転させた
「……ちっ!これはマズい!」
しかし、
飛んできたグレネードランチャーの
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