20話【疑惑】
◇
【
しかし、それは
そもそも、魔力を持たない聖王国民が、“魔道具”を
本来不可能とされた、魔力
だが、マークス・オルゴの口から
「この“魔道具”……【
それは、サクラの
マークスが一つ、
「……だから、直接の
「おう」
だが、どうしてマークスがそれを
エドガーは
「……」
「――俺がこいつを持ってんのは……あ~、まあいいか……」
マークスは一瞬何かを考えた様子を見せたが、
「こいつはな、【聖騎士団長】、クルストル・サザンベールから貰ったものだ」
「【聖騎士】の団長さんが、どうしてこんなものを……?」
「知らねえ。
「はい?」
「だから
メルティナは意外と
知能が高いはずのAIがそれはどうかとも思うが、今はいい。
「メルティナ。少し
「――イ、イエス。すみませんでした、
エドガーのいつにない真剣な
ふざけた訳ではないが、今のエドガーには何を言っても
エドガーにとってのマークスは、いい兄貴分だと思っている。
それが、どうしてこんな思いをしなくてはならないんだと、エドガーの心は
今、エドガーは
ぐるぐると考えが
「
「……」
「マークスさんっ」
「マークス・オルゴ……回答を求めます。言いにくいですが、今のマスターは
「――メルティナは
「……マスター……」
メルティナに対して。
「……エドガー。女に当たんな……俺に直接言えよ」
エドガーは、とても苦しそうな顔をしていた。
今にも泣き出してしまいそうな、そんな子供の様な顔だった。
「だったら……どうして……!なんでそんなもの持ってるんですかっ!!
マークスが帝国と
エドガーが“魔道具”を集めていたのは、
だから、苦しい。
思いたくない事を、
この人は、もしかしたら帝国の人間なのではないかと。
「……はぁ。久しぶりだな……お前がガキみたいに
「――マークスさんっ!!」
「分かってる。分かってるってエドガー……教えてやるよ。その前に、
立ち上がって、マークスは
考えているのだろう。
数回、一気に
「まず……どこから聞きたい?」
「……マークスさんは、聖王国の人間ですよね?」
「そこからか……まぁいい、そうだな……俺は聖王国の人間だ。それは間違いない……
それはエドガーも同じだ。
「じゃあ、その“
「――さっき言ったのは
先程の言葉は
「――俺は……アイツの腹違いの
「え」
マークス・オルゴは、クルストル・サザンベールの腹違いの弟。そう言った。
「俺の母親はな、公爵家の使用人だったんだ……俺を生んで
「父さん……ですか?」
「おう。エドワードさんは、貴族からの
その
そしてそれをマークスに
「――んで10年前、いきなり俺んとこに来やがったんだよ、クルストルが。俺は10歳、あいつは12歳だぜ?」
「普通、公爵家の息子が、単身で下町のボロ家に乗り込んでくるか?」そう言うマークスは、少し
「でだ、クルストルもエドワードさんに聞いたんだとよ……君には弟がいるよって」
「貴族からの
「だろうな。なんで俺やクルストルに教えたのかは知らねぇが……ま、それが
王女からの直接の
「クルストルさんは、どうやってそれを……?」
「ああ、それはだから
エドガーの考えは
マークスを信用している事も、それが少し
父が貴族からの
【聖騎士団長】クルストル・サザンベールの事も。
「帝国の“魔道具”ですよ……?
マークスは腕組みして言う。
「最初
「……それは……はい」
妹を引き合いに出されて、エドガーは
これは、エミリアやアルベールの名を出されても同じだっただろう。
エドガーは本来、人を
「じゃあ、話はいいな?」
「……はい」
王女からの
長時間の足止めは
「んじゃ、俺は行くから……ルーリア、明日からは休業だ……帰ってくるまでは自由にしていい。その代わり」
「はいはい、
「エドガー」
「え、あ……はいっ――って、わ、ちょっ……マークスさんっ!?」
マークスは二カッと笑い、エドガーの髪をわしゃわしゃ~っと乱暴に
そして。
「エドガー。考えるのはいい事だ……
「マ、マークスさん……」
「――ま、数が多くてどうすんのか見ものだがなっ!」
「――ちょっ!!」
笑いながら、マークスは店を出ていった。
「……メルティナ、さっきは大きな声を出してごめん……僕も少し、カッコよくならないと
「イエス。マスター……ワタシは、どこまでもお供します」
(……もし、マークス・オルゴの言っていた事が
「メルティナ?」
「……いえ、マスター。何でもありません……マスターの謝罪が嬉しかったのです」
メルティナは考えを切り上げた。
もし、考えていた事が的中してしまった場合、メルティナは迷わずマークス・オルゴを撃つだろう。
そうならない事を願い。ルーリアに別れを告げて、エドガーとメルティナは
その
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