19話【労力に見合わぬ進展】
◇
【リフベイン聖王国】・【王都リドチュア】。
【火の月89日】。エドガーが今いるのは、
【
エドガーと一緒にいるのはメルティナだ。
エドガーは、この数日でコノハに古書を読んで貰う事を
それも先日、目を覚ましたコノハが、またあの本を見て気を失ったからだった。
サクラの
理由も分からずに
それが、ここ
マークスとコノハはまだ会っていないので、
エドガーも、コノハに
しかし、マークスは別だ。
今もエドガーとメルティナを、「なんで毎日来てやがる」と
「――ほらほら店長。今日はお城に行くのでしょう?いつまでもエドガー君とメルを
店員であるルーリア・シュダイハに言われ、更に
「るっせ!分ーってるわっ!そもそもお前が勝手に置き場所を
マークスはガタンと
「す、すみません……ルーリアさん……毎日来ちゃって」
エドガーが申し訳なさそうに言う。
しかしルーリアは笑顔で。
「いいのよ。あの人本当は嬉しいんだと思うし……
「それは……まぁ、少なくない付き合いですし……でもまぁ、コレを見たら嫌にもなるかなって」
エドガーの
メルティナと二人で運び出したこの本の山は、まさしく山となっていて、店の空間を
「あはは……それはそうだね~。こんな読めない本ただのゴミだって言ってたもんね、店長」
マークスに取ってはそうなのだ。
“魔道具”でもなく、
「――ノー。それは違いますルーリア」
エドガーの隣で
しかし、なんだか目が疲れている。
「違うって……何が?」
「この書物、サクラの世界の物なのは間違いありません。ですので、マスターの
メルティナが
これは、以前エドガーの“召喚”に使われる魔法陣に書かれた文字をスキャンした時のシステムと同じだ。
まぁ、エドガーには
「凄いね。本に喰いついて見てたけど……それやってたんだ……」
その様子はどう見ても、文字を無理矢理見ようとするおばあさんだった。
「イエス。
エドガー達がコノハに聞いた少ない情報だけで、メルティナが調べてくれた結果だ。
「ただ、この
「う~ん……」
異世界人達は共通して、この世界の文字や言語が、異世界人の能力で
それは見えるもの聞こえるものが自身の世界のものに変わると言うものらしいが、他人の世界のものは別のようで、その効果は、今いるこの世界に限られるらしい。
中でも、このサクラの世界の文字はまた格別
サクヤが言うには、時代が違うだけで言語がかなり違うらしい。
しかも国ごとに言語や文字があるとか。
エドガーは、それらを思い出して言う。
「ローザとフィルヴィーネさんは、ほとんど同じ時代から来たらしいし……サクラとサクヤは時代こそ違うけど、同じ世界。メルティナは……」
「ワタシは、【惑星ニコル】という星の出身者達の手で
「なるほどね。そしてサクラとサクヤだけが……完全にこの世界とは関係ない世界からの【召喚者】……って事になるのかな……?」
ローザとフィルヴィーネは、この世界の約千年前。
メルティナが別の惑星、かつ時代は数百年前となり。
サクラとサクヤの二人が、完全に別の異世界となる訳だ。
正確に言ってしまえば、ローザとフィルヴィーネは過去からのお客様となってしまうのだろうが、千年以上もの時は、世界を大きく変えている。
大まかに言って異世界と言っても間違いではないだろうと、フィルヴィーネ本人も言っていた。
「イエス。そうなれば……
「……だね」
サクラとサクヤの世界、【地球】。
サクヤが知っている
そして、その
だが、それを引き出すことはかなりのリスクになっていた。
「教えてもらう度に気を失ってしまったら……申し訳なさすぎるよ。どうしたらいいか」
ここ数日の
そしてエドガーが、今後の方針を考えようとしていると。
「――ぅおいっ!そろそろ帰れお前ら……わりぃが、急ぎの用が出来ちまった。ルーリア、店閉めろ」
「え、ええっ。急すぎませんか!店長っ!?」
マークスが自室から急いで下りて来て、
この様子だと、
「……でも、城に行くのは変わらないんですよね?」
「おう。第一王女からの
「セルエリス
大臣が収監後、第一王女セルエリスに引き
その王女からの
「……マークスさん」
「あ?……んだよエドガー……急いでんだって」
エドガーは、ふと
「――いつ、
「……!」
マークスが城に行くことは決まっていた。
しかし、初めから王女の
では
「マスター。マークス・オルゴの体温が上昇しました。それに、一瞬でしたが口角がつり上がったのを確認、これは
「……」
しかし、エドガーの無言の
「ああー。わーった。わーーったよ……教えてやる。やるからその目止めろって……」
「何ですかその目って……」
「悪かったって……ほらよ、これだ」
マークスがポケットから取り出したのは
小さな
「……これは?」
「……【
「――!?」
帝国。エドガーの脳内に、エリウス
自分をスカウトしてきた、あの青髪の少女。
「ど、どうしてそんなものをマークスさんがっ!?」
「イエス。正直に
「分かってるって言ってんだろ!
【エリミネートライフル】を
エドガーの
「ちょっと、その前にいっぷくを……」
「「……」」
「……――わーったよ」
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