21話【指南役の噂】
◇
【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデの【
彼女が【召喚師】エドガー・レオマリスの妹だと言う
というのも、それ以上の
「おい、聞いたか?」
「ん?なにを……?」
「おっ!もしかして、ローマリア様の
三人の騎士が、仕事もそっちのけで会話をしている。
それを、二人の少女は白けた顔で見ていた。
一人はリエレーネ。言うまでもなく、ほんの少し前まで
もう一人の少女は、レイラ・エルヴステルン。
リエレーネの学友であり、【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバーの【
「――男って、皆ああなのかしら……」
サンドイッチを
「い、いや~、どうなんだろうね……皆がそうとは
弁当のサラダを少し口に運び、隣でムッとするレイラに
「この前までリエの話をしていたのよっ!?」
警備騎士である身ながら、
真面目なレイラからすれば、そうとう腹立たしい事だろう。
「あはは……でも、
ロザリーム・シャル・ブラストリアは入城の
特に隠す必要は無いのだが、
「でもあの人……リエのお兄さんの知合いでしょ?」
「わ、私は知らないよ……最近会ってないし、帰ってもいないから」
リエレーネはローザに会っていない。
レイラは一度、【福音のマリス】で会っているのだが、会話らしい会話は無かった。
「――帰りなさいよ……騎学の建て直しが完成するまで、学校は休みなんだから……」
「……そ、そうなんだけどねぇ」
フォークでサラダをザクザクと刺し、言いにくそうにレイラの方を向く。
「いやほら……
「ねぇ?じゃないわよ……そりゃ私だって【
騎士学校は、エミリアとセイドリック・シュダイハの決闘の
しかし、“悪魔”バフォメットが大暴れをした結果、校舎が破壊された。
それで現在は
レイラは、その
遠回しだが、ローザと話さなくていいの?という事なのだろう。
「なんだか、お兄さん凄いわよね……ローマリア
「……」
答えはリエレーネの顔に出ていた。
それはもう
あの決闘の日から、
ローザだけではなく、黒髪の少女二人もそうだ。
一人は出場者のサクラと言う少女。もう一人は名前は分からないが、どちらも可愛いかったのだけは分かる。
「……」
リエレーネの顔を見るレイラは、「ああ~、はまっちゃってるわねぇ」と、天を向いて
長い付き合いだからこそ分かる、リエレーネの性格を。
無言で
「おーい、リエー?お昼終わるわよー。食べなさーい」
「……」
ブツブツは止まらない。
「会いに行く」「誰に?」「いやローザ様」「そこはお兄ちゃんでしょ」「それは無理」「なんで?」「
「レイラ、私……ローザ様に会いに行く!!」
「――いやそっちかーいっ!!」
リエレーネの
本来は同じ騎士学生のラルンとピリカも一緒にツッコむのだが、二人は【
そして、
「――行ってくるね!」
「……え、い、今から!?」
「うん。後よろしくね!」
シュバっと立ち上がり、リエレーネは返事も聞かずに走り出す。
レイラは腕を伸ばして
「あ、ちょっとリエ!……昼仕事どうす……んの……行っちゃった……」
伸ばした腕を戻して、レイラは天を
「……ふふ。
リエレーネのこの性格のお陰で騎士学生を続けられてきた事を思い出し、レイラは笑ったのだった。
◇
【
広い城内の中で、第三王女ローマリアの
その一部の部屋から、少女の悲鳴が
「――あぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
部屋の入口を守護する騎士は、その声に一度ビクッと肩を
そしてその室内では、第三王女ローマリアが、第三王女付き
「――
ローマリアの
この前の時とは違い、髪をアップにして
というのも、《石》の力を最低限に
第二王女スィーティアに勘付かれない為でもあるが、これはローザに取っても
「さぁ、もう一度。立ってくださいローマリア様」
スパルタなローザの
今は、立ち振る舞いの作法だ。
ローマリアは秘蔵っ子だったため、公爵家やそれに近い貴族にしか出向くことをしていなかった。
伯爵
「ロ、ローザ……少し休憩を……おでこが火を
前髪を上げ、赤くなったデコを見せる。
確かに赤い。しかし、
つまり、何度も失敗し、何度もデコピンを受けては、全て同じ
「
そもそも
ローザは最近、
初めは医学書だったが、最近は歴史書や
それも、サクラの記憶を取り戻すためだと、
更には、スィーティアが《石》の反応を探って城内を探し回っていると言う危険性もある。
そのせいで、毎日でも
「うぅ……いずれたんこぶに進化してしまいそうだわ……」
「なら、そうされない様に
「――うぐっ」
痛い所を突かれた。ローマリアはこの前、とある公爵家に
そこでミスをして、赤っ
その場に
「ほら、立ちなさい。いや立て」
「――ローザが怖いっ!どんどん
周りに誰もいないからと分かっていても、王女にしていい
そんなローマリアとローザが練習を再開しようとした時だった。
ローマリアに取っては運良く、部屋の扉がノックされた。
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