18話【帝国の異世界人3】
◇帝国の異世界人3◇
一人自室で、指を
優しげながらも、
見えない
「――リューネには悪い事をしたわね……」
異世界人を
「考えるべきだったわね……あの“天使”が数々の“魔道具”を持っていたと言う事を」
それに助けられたこともあると言うのに、目先の情報に目が
しかしそれは、エリウスが置かれた
「レディルもカルストも……ユングも、今はいない……
レディルとカルストは昨日、
ユングは聖王国にて行方不明
今、信を置ける部下はリューネしかいない。そのリューネに
リューネには出来ると思っていたし、実際直前までは出来ていた。
ただ、相手が悪かったのだ。
「……
会議の内容は全て聞いた。
シュルツ達が何をしようとしているのかも、
しかし、
「……
エリウスは考える。
シュルツ・アトラクシアの行動は、無理がありすぎると。
異世界人は強力だが、【
異世界人にとって、一番の
「父からの命があれば、
明日。エリウスもまた、任務に出なければならない。
「北の
聞いただけでもショックを受けた。
あの
「……【ルーノダース】に人はいない。いるのは
今更何をと、エリウスには
しかし、
「リューネが付いて来てくれるだけでも御の字だけれど、これでは割に合わないわね……
しかし、それ以上に。
「……はぁ……嫌な
自分が国を離れる事はよくある事だ、任務であり
今までは、ここまで部下が離れた事はなかったし、ましてや
しかし、それは現実になる。
国を巻き込み、民を巻き込み、他国の少年を巻き込んでいき、果ては世界に広がっていく事になるのだが、それはまだ未来の話だ。
◇
会議が終わった。一体何の為の会議だったのか、リューネは落ち着かない心のまま扉を閉めた。
リューネは、最後に扉を閉めたのが自分だと理解して。
「……はぁ~~~~」
(……あ、でも……あの時は……)
思い出すのは。優しく、けれども自分に
(そっか。エドガー君の家で、《石》を盗み出した時以来かも……こんなに緊張したの)
親友であるエミリア・ロヴァルトを利用して、【召喚師】エドガー・レオマリスの宿に泊まり《化石》を
弟を救う為とは言え、
しかし、最終的に自分と弟を救ってくれたのはエリウスだ。
そもそものきっかけとなったレディルがそのエリウスの部下であり、まさか自分がその
【召喚師】と対になる存在、【送還師】であるエリウスの
親友エミリア・ロヴァルトとも、また
(……エミリア……元気かな……)
騎士学生の時に
(そう言えば、私の騎士学校の
ふと、自分が
実際は、リューネは行方不明
エミリアは何も言ってはいなかった。
聖王国を出る
リューネは歩き出し、もう大分前を歩くレイブンを追いかけた。
コツコツとヒールの音を鳴らす
だが、不意に。
「――ねぇ?」
真横から、声を掛けられる。
暗い、柱の陰だった。
「!?」
リューネは飛び退くように、反対横に
ドン――!と壁に肩をぶつけたが、それよりも
「……ポ、ポラリス・ノクドバルン……さん」
柱の陰からぬぅっと現れたのは、【魔女】ポラリス。
異世界人であり、あまりいい
関係性のないその【魔女】が、まるでリューネを待っていたかのように現れれば、それは
「――あらぁ?どうしたのかしら……お嬢ちゃん?」
「い、いえ……すみません。
「……おっと」
「!!」
ポラリスは、リューネの手首を
「……うふふ」
「――な、何を――!」
「
「――何の事か分かりかねます、ポラリス様……この指輪は、私の母の物です、
もし、この指輪の事を【魔女】が知っていたら、全く意味のない言葉。
そしてそれは実際に。
「――指輪?私は、
耳元で
「……そ、その……」
知っている。そもそも、それが真っ先に思い浮かんだくらいだ。
「お嬢ちゃんも……今晩どう?」
「……っ!!す、すみません!私、
「あん……ふふ。釣れないわね……ねぇ、
ポラリスが
その表情は非常に
「……【魔女】、何が目的なのです……?」
「目的?……何の事かしらぁ?」
「とぼけないでください。わたくし達と離れて、何をしようとしているのですっ……!」
同じ異世界人であり、同じ《契約者》を持っていた仲間。
しかし、それは昔の事。
ここ帝国に来てからのポラリスは、異常行動が多かった。
それは今も変わらないが、特に
「
ポラリスは「あ~うるさいうるさい……」と相手にしようとせず、誰もいなくなった深夜の
「――ま、待ってください!……待ちなさいっ!!」
言葉では
ツーっと
ぺろりと舐めると。
「――気付かないの?あれだけ長くいて、あの存在に……」
「……何が言いたいのです。質問に答えなさい」
スノードロップとて、
「……私の勝手でしょう?
「……そもそも、
スノードロップの顔に、一瞬だが
その
「いつまでも
「――っっ!……このっ!!」
顔を赤くして、スノードロップは槍をそのまま突き出した。
しかし、
「……《転移魔法》……」
苦虫を
「……それを言うなら、貴女だってそうでしょうに……彼の
聞いているであろうポラリスに、
「……――そうね。それはそうだわ……だからこそ、私は追いかけるのよ……彼の、代わりになる男を……それに、気付いているのは
真剣な声だけを残して、ポラリスは消え去った。
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