17話【帝国の異世界人2】
◇帝国の異世界人2◇
本日何度目かと言う程の
「――ホント、
ポラリスは、ドレスの中からあるものを取り出す。
それは、手の平サイズの《石》だった。
「……残ったのはこれが最後……
その《石》の名は、【
聖なる力を
つまり、
ポラリスは、その手に持つ《石》に口付けをして笑う。
今、ポラリスは二人の男を
この国で出逢った未来ある少年か、それとも異国で待つ、運命の男かを。
「――まぁ……答えは見えているかしらねぇ……うふふ、ふふ、うふふふ……」
舌なめずりをしながら、少年の味を思い出して
しかし、何かに
「……はぁん……だめ、ダメよポラリス。楽しみはこれから……16年ぶりに、
この世界に来て、
その成長を見届けると言う夢を
この帝国に身を寄せて1年、運命と言うものは
とあるきっかけがあり、ようやく、16年前の夢の続きを見れる可能性が出来たのだ。
そう思えば、多少の
「――もし、もしも……私を覚えていてくれたら……私と、また私と……
記憶の中の赤子は、茶髪で、優し気な目をしていた事を。
◇
数日後、【魔導帝国レダニエス】。満月の夜。
場所は、【レダニエス城】内の会議場だ。
まん丸い月が夜空で
今この場にいるのは、シュルツ・アトラクシアとその部下達、スノードロップ・ガブリエル、ノイン。そしてポラリス・ノクドバルンだ。
対面にいるのは、帝国に
そして
全員が真剣な表情で一言目を待つが、リューネだけは、
「――落ち着け。リューネ」
「は、はぁ……でも、
レイブン・スターグラフ・ヴァンガードは、聖王国の英雄だ。
反逆の
その
「ははは、レイブン。君もそんな顔が出来るんだね……意外だよ」
声を出したのは、シュルツ・アトラクシア
レイブンは、この
しかもそれを、レイブンは知っていた
まるで
「――
シュルツは、一瞬何かに
「なに、いいさ。ここには誰も知っている人物はいないのだからな……」
「――いいえ、それはいけませんシュルツ様……
スノードロップは、会話を
「……フッ……」
その様子に、ポラリスは鼻を鳴らして笑った。
スノードロップはキッ――!と、ポラリスを
「……【魔女】、
スノードロップは
しかしポラリスは悪びれもせずに、しれッと答えた。
「65人くらいかしら……おすそ分けしましょうか?」
「――
「あらそう?……
「――あ、貴女!やっぱり、
「
「そ、そそ、そういう意味ではありませんっ!!」
二人の言い合いに、話が進まないと感じたのは、意外にもノインだった。
静まり返る二人。二人が見るノインの姿は、いつもの小さい幼女ではなかった。
長く伸びた髪、スラっとした
怖いくらいに
「……そ、そうでした……今日は満月。ノインが
「ふぅ……ここは一時休戦ね。私も、まだ死にたくないもの」
「――仕方がありません。そうしましょう」
二人がまとまるのは、こういう時だけなのだ。
「……さぁ、話し合いを進めましょうか?――シュルツ」
「あ、ああ……相変わらず凄い変わりっぷりだね……ノイン」
「――満月の日だけよ。アタシがこうして未来に行けるのは」
ノインは、長く伸びた髪を
この会議すら
「では、
まさかの
全員が、
「じゃあ、始めましょうか」
ニコリと笑って。何事にも動じない獣人の女性は、会議を進めたのだった。
◇
時間は
「――では、シュルツ殿は……帝国を出るのですね」
レイブンがシュルツに言う。
シュルツは、気さくに答える。
「ああ。近い内にはね、でも今
「確かにこの国にも
「
「……それは、まぁそうですが……」
シュルツとレイブンは、お
居心地の悪そうなリューネが、下を見たり、会議開始直前までは幼女だった筈のノインをチラチラ見たりしている
「――つまらないでしょう?」
紅茶を
「え、い、いえ……私は。ただ、場違いだなぁって思って……それに、いいんでしょうか、私なんかが聞いても……」
「うふふ。いいんじゃないですか?」
「そ、そんな簡単に……」
スノードロップは笑いながら、
ソーサーにカップを置き、飲み口の口紅を指で軽く
「ここに連れてこられたという事は、
スノードロップはリューネに近付き、耳元で
「――この会議の内容。
「――!!」
ゾッとした。
リューネは指にはめられた指輪をサッと触り、
「何の事でしょうか……」
声が
「いいえ、別にいいのですよ?……むしろ
「……え?」
「――おいスノー」
タイミング良くノインに呼ばれたスノードロップは、「は~い」と笑顔でノインのもとに向かった。
そのノインは、スノードロップを
おそらく、スノードロップがリューネに何かを言った事を、気付いているのだろう。
しかしそれから、リューネは会議の内容に集中することは出来なかった。
全て
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