14話【魔女】
◇魔女◇
西国レダニエス。
名を【魔導帝国レダニエス】と
大陸の
しかし、それも数十年前の事。
“魔道具”の開発と、それを生み出す
以前からの
そして、
◇
「――兄様っ!!」
バンッ――!!と
帝国の
帝国で
「……なんだ、
大きなベッドに、一人
エリウスと同じ青い髪をし、切れ長の目を妹であるエリウスに向ける。
国の第一
「なんだ。って……今日は、近々行われる
妹の小言にため息を
しかし、その小言に答えたのは兄ラインハルトではなく。
ベッドに横たわる、もう一人の人物だった。
「……朝から
「――なっ!……【魔女】っ……!!」
「あら怖いわぁ……お兄様は、こぉんなにもお優しいのに」
ラインハルトに
胸元に指を
「兄上……そのような
「あら
「……知っている」
「こちらも
ケラケラと笑いながら、
エリウスは不気味さを感じ、
「――ならば準備をしてください。
兄に一礼して、エリウスは部屋を出ていく。
(【魔女】め……)
◇
パタンと優しく閉められた扉を見つめ、ラインハルトはようやく身体を起こして一息。
引き
【魔女】ポラリスは、その
「あぁ……
少年と大人の
その何とも言えないバランスに、ポラリスは
「ポラリス。約束は忘れないでくれよ……?」
「
「――分かっている。その
近い未来、【魔導帝国レダニエス】は、歴史を
一人の
【召喚師】エドガーが、仲間の為に
しかしそれは、エドガーを歴史の表側に
◇
先程とは違い、
バダン――!!と怒りのまま閉め、
「……エ、エリウス様……?」
部下であるリューネ・J・ヴァンガードは、恐る恐る声を掛けるが。
「――リューネ。水を
「え!?……は、はい……ただいま」
リューネは
聖王国には無い綺麗な飲料水を、
(エリウス様……確かお兄様の所に行ってたはず……という事は)
リューネが、このエリウス・シャルミリア・レダニエス
この少女の性格も、大分
「エリウス様。お水をどうぞ……」
「ええ、ありがとう……んっ、ぐっぐっ……」
エリウスは、リューネから受け取った水を一気に
(あぁ、そんなに一気にいかなくても……)
「――ぷはぁぁぁぁっ!」
飲み切って、エリウスは酒でも飲んだかのように息を
「あの【魔女】……兄様に取り入って何を
エリウスは腕組みして、一人ブツブツと言い出した。
考え事が独り言で出るタイプらしい。
その為、リューネは素早く全扉窓を閉め、
季節は夏直前。聖王国よりも気温の高い帝国は、同じ時期でも更に暑い。
“魔道具”の発展により
使えるのは貴族や、一部の
「……兄様も、どうしてあんな
帝国内に存在する三人の異世界人。
“天使”のスノードロップ。
幼女のノイン。
そして【魔女】ポラリス。
“天使”に【魔女】、
現に一度行った
そして三人の共通点は――《石》だ。
スノードロップは胸元に直接、ノインもへそに直接。
ポラリスは両手首と両足に、ブレスレット、アンクレットとして装着していた。
「……兄様は知っているかもしれない……」
あの【魔女】と身体まで重ねているのだ、もしかしなくても
「……
帝国
どこからやって来たのかも分からない、
こげ茶の髪に
【
「
不安感が
どこか
「油断だけは出来ない……
そう心に
「……よう。もう独り言は終わりか?」
「……レディル。何をしているの?」
エリウスが自分の世界から帰ってくると、ソファで
レディル・グレバーン。
【
ぶっきらぼうで言葉が
だが、仲間には情が厚く、信頼できる男だ。
「勝手に入ってきたわけじゃないぜ?なぁ……?」
レディルは、
「そうですね。エリウス様には何度もお声がけしましたけど、反応なされませんでしたから」
「……そ、そう。それは悪かったわね……」
「いえ。慣れましたから」
テキパキと窓を開ける。
エリウスの独り言が終われば、閉めっきりにする必要は無い。
「それで、レディルは何をしに来た訳?」
「あん?……そりゃお前、
「
「俺もそう思ってたっつーの!」
レディルは脚を思い切り踏み込んで、
「あいつ無茶言いやがって……!腹が立つぜっ、ったく……!」
「はい、どうぞ」
「おう、わりぃな」
レディルも、なぜか普通に礼を言う。
「あいつって、
「おうよ。あのクソ野郎……また出ろってよ」
「――!?……
「それが問題だっつーの!行くのは俺とカルストの奴だけだとよ……」
さすがに
「――
飲み物を飲むレディルは、さらに
それを感知したのか、リューネが再度、扉や窓を閉めるのだった。
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