08話【エミリアとコノハ】
◇エミリアとコノハ◇
荒野の
エドガーはエミリアをサクラのもとに連れていく。
『じゃあローザ、
『――ええ。分かったわ』
ローザに、ここで
残されたのはローザとメルティナ。
そしてローマリア王女とノエルディアだ。
フィルヴィーネがついていった理由は、部屋にリザがいるからだ。
少々
『……ローザ、あの話しと言うのは、まさか……』
『ええ。
ソファーに座り直して、ローザは
『
『そ、そうか……それはよかった』
ローマリア王女は、以前この話しを
『私も、やれることをすると約束したのよ、エドガーと。サクラとサクヤの為にね……』
この世界に来た異世界人の先輩として、姉代わりとして。
《契約者》であるエドガーが、ローザと
その為には、王城にある情報も重要なファクターとなる。
そして
王女に
それに、王城にはエミリアもいる。
何より、多少
エドガーはそれを考えて、ローザが
『ありがとう。ローザ……早速、私は姉上に帝国の事を報告する。そうすれば、近日中には入城できるように
『ええ。頼むわ』
荒野の
⦅姉上にだって……これだけの情報があれば
もう一人の姉。スィーティアだ。
《石》を
それは、ローザ達を指す言葉でもあると、
⦅いや……それでも、何とかして見せる……私が……!⦆
二人の姉の影で、
◇
『コノハちゃん……入るよ?』
コンコンとノックをして、エドガーは部屋の扉を開ける。
すると、目に飛び込んで来たものは。
『――うぎゃぁっぁぁあああぁぁぁっ!!やめ、やめろぉぉぉお!!』
『あははっ。あははっ……あははははっ!』
お人形遊びをする、見た目17歳の5歳児の少女だった。
『あぁ~。なんか
コノハに遊ばれるリザを見て、エミリアはにやける。
あの怒りが
『エ、エミリア……って!それどころじゃない』
エドガーは、笑みを浮かべるエミリアに一瞬だけ
むすっとするコノハ。
壁に向いて、エドガー達を見ようとしない。
『ど、どうしよう……』
『これコノハ……
『だって姉上……』
『だってではないわよ……
サクヤに言われて、コノハはこちらを向いてくれたが、表情はまだムッとしていた。
リザは、エミリアの
『――良いザマね。チビ“悪魔”』
『グゥ……この小娘まで来ているとは!!』
エミリアの
『ま、この
『……うっ。そ、そうだが』
エミリアも、そうそう怒っていた訳ではないのか、リザの暴言を
しかし、エミリアはリザを両手で
それだけで、自分の
『――え、ちょっ!小娘っ!貴様……いや、エミリアと言ったわね。はな、話しをしましょう!ちょっとお願い、頼みます!』
『い~やっ♪』
『―――エ!……エドガァァァァァァァ!!』
リザの悲鳴は、こんな
◇
コノハの手には、お人形と化したリザが死んだ目でエドガーを
エドガーはそれを完全に無視して、エミリアを紹介する。
『コノハちゃん。この人はエミリアって言うんだ、僕やサクヤ、お姉さんの友達だよ』
『こんにちは。コノハちゃん……私のことは、そうだなー、あ、そうだ。エミリアちゃんでいいよ』
サクラがそう呼んでいたように。
コノハにもそう呼んでもらう事で、少しでも切っ掛けになればと、エミリアなりの考えだ。
『……エミリア……ちゃん……?』
『うん。コノハちゃん』
優しく、目の前にいる人形の様な“悪魔”に対する
⦅
⦅
⦅……そうなのですね……感謝します、エミリア殿⦆
小声で、サクヤとエドガーはエミリアに感謝をする。
その後エミリアの一言で、リザもコノハから解放されたのだった。
後ろで見守っていたフィルヴィーネは、疲れ果てたリザを胸の
『――どうだった?……人間に受けた
『
『ほう……では、どうだったと言うのだ?』
『
『――構わぬ、続けよ』
下手をすれば
自分がリザに命じた、
フィルヴィーネは昼間、城に行くメルティナと共に、リザをついて行かせた。
誰にも聞こえぬように、『エドガーの幼馴染を
そして、この夜が答え合わせだった。
『
『……そうだな。それは
『エミリア・ロヴァルトは、
『……』
この国に、
【
『フィルヴィーネ様は覚えていますか?』
『――何をだ?』
『私たちの時代に存在した、
『……ロザリーム・シャル・ブラストリアが【勇者】になり損ねた数年後、
誰が
しかしその者の名は、未来には
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