09話【第二王女】
◇
思い返した恥ずかしい出来事。
エミリアは、隣に座るローザがまだ医学書を読んでいても、お
「――でね。そのコノハちゃんが……」
「エミリアちょっと
寄ってくる虫を
「
「私だって傷付くんですけど!」と、
再度言うが、ここは
「いいから早く仕事に戻りなさいよっ」
「今は休憩中です~、休憩中~!」
「――残念ですけど、休憩は終わりですよ。エミリア様っ」
ローザとエミリアの居る
その声に、エミリアはテーブルから身を乗り出して。
「レミーユ!もう交代なのっ!?」
「ちょっとエミリアっ。はした……はぁ、まぁいいか」
「――んじゃ、またねローザ!私戻るからっ」
「はいはい……お仕事頑張りなさい」
走っていくエミリアに、ローザは息を
何度も言うが、ここは
「さてと……次の
ため息を
「……」
【リフベイン聖王国】の書物類の発展は
医学などの知識の広まりも、同レベル。
何千年も
当時簡単に
(これなら、エドガーの家の書物の方がまだマシだわ……)
国の
「……時間は……まだあるわね。五
エミリアとは違い、ローザは仕事まで時間があった。
そんな合間を
◇
【
「――いいんですか?ノエル様」
「あ~、いいのいいの。どうせ
メイドの
彼女もまた、メイドの
【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバーに。
そして今は、サボっておしゃべり中。
「いや~。
「は、はあ……そうですね。確かにお忙しそうですけど……」
ノエルディアの【
(ローマリア
「――ねぇリエレーネ、
「――え。何ですか急に……昨日は突然
ノエルディアはあの日、ローマリアがメルティナをメルと呼んだ瞬間、自分も
その足掛かりが、自分の【
「変とは何よっ。【召喚師】なんて言われて
【
エドガー・レオマリスと言う少年の戦いぶり。
【召喚師】と言う“不遇”職業に
おかしいと思うのも当然の事でもあった。
「……そんなこと言われても、私にとってはおに……――兄は兄ですし」
顔を背けて、お兄ちゃんと言いそうになった事を
(……この子、もしかしてブラコン?)
ニヤリとしながら、ノエルディアはリエレーネを
むすっ――として、兄の事を考えるリエレーネを目撃した。
「なんです?」
「い~や~……別に~」
「ちょっと、何なんですか一体……ノエル様っ!」
サボっている自覚があるのか、二人は声を隠すこともなく堂々と話す。
しかし、真隣に人がいる事に気付かなかった。
ノエルディアがぶつかりそうになる。
「――おっと。これは失礼……。……。……――って!!スィーティア様ぁぁぁっ!?」
ぶつかりそうになったのは、朱色の髪をぼさぼさにした第二王女スィーティアだった。
「……ん~。ああ、ローマリアのメイド……
「――す、すみませんっ!」
「――申し訳ありません!!」
ノエルディアは頭を下げる。当然リエレーネもだ。
「いいわよ~、別に~」
そう言い残して、フラフラと進んで行くスィーティア。
目元には
もしかしたら、ぶつかりそうになった事すら覚えていないかも。
「クビ飛んだかと思った……」
「……サボるからですよ……副団長に報告しますからね!」
「――ごめん」
泣きそうになる、メイドの
◇
「また消えた……これで何度目だっけ、
感知しては消える、赤い反応。
この城で感知した
もう何日も
しかしこれは、ローマリアが立てた
ローザが入城すれば、時間がかからずにバレるであろうその存在。
それをカムフラージュする為に、
その爆弾は、一定の位置で魔力だけを発生させ、一定の時間で消えるようにしてある。
ローザは
ローマリアと
その
それこそ、ぶつかりそうになった【
「――しんどい……眠い……あ、くらくらする……」
寝不足が行き過ぎて、
くらっとし、足元を何かに引っ掛けた。
「――あ」
ぐらりと、視界を揺らがせて。
向かう先は、硬い硬い
しかし。
「――おっと……大丈夫ですか?スィーティア
倒れる直前、王女の身体をガシッと支えたのは、【聖騎士】アルベール・ロヴァルト。
エミリアの兄にして、エドガー・レオマリスのもう一人の幼馴染。
「……確か、え~っと……アルベール……ロヴァルト?」
顔は覚えていたが、名前を出すのに間を置き。
しかしアルベールは。
「ええ。この
「――!」
ニカッと笑う青年の笑顔に、第二王女の心の壁は
それはもう、見事に
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