01話【代わってしまった日常1】
【代わって】は、誤字ではありません。 you-key。
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◇代わってしまった日常1◇
【火の月86日】。
この世界とは別の世界、【地球】と呼ばれる世界から来た少女、サクラ。
その少女が、命を
だが、その少女自身が戻らなければ、何の意味もなかった。
命がなくなった訳ではない。
身体も、【月の
しかし、目を覚ました少女の口からは、その少女を思わせる言葉は出てこなかった。
そして――現在。
◇
【リフベイン城】。
王城の
「……
赤髪の女性。ローザこと、ロザリーム・シャル・ブラストリアは、この国の第三王女、ローマリア・ファズ・リフベインからの
それから日数も
ローザは今日も、王女の
「――お疲れ様、ローザ……今日は、どう?」
一人の少女が、ローザに声を掛けて、
ローザの手元にコトリと置かれたカップには、ミルクティーが
「……エミリア」
エミリア・ロヴァルト。
【召喚師】エドガー・レオマリスの幼馴染にして、この国の【聖騎士】の一人。
第三王女ローマリアの護衛騎士でもある。
「調べ物もいいけどさ、自分の身体は大丈夫なの?……エドと
エミリアは、エッグゴールドの金髪を
季節は夏目前だ、ローザが髪を
「――分かっているわ。けれど、サクラがどうして
「それは……そうだけど」
エミリアはローザの隣の
小難しそうな医学書に目を通すも、秒で
「……あの日。サクヤに呼ばれて部屋に言ったら……
「……うん。私も翌日、かな。見た時は
◇
~二十日前・【福音のマリス】・夜~
『――
『……サクヤ?どうしたの、もしかしてサクラが……?』
エドガーは、ランプに油を追加している
『――はいっ……目を覚ましました。で、ですが……』
しかしエドガーはハッとする。
『分かった。サクヤはサクラについていて。僕は、皆を連れて行くから』
『……はい。
元気なく、それでも急いで部屋に戻るサクヤ。
エドガーはその背から最後まで
『……どういう事?』
サクラを見るローザの
エドガーだって同じ気持ちだし、フィルヴィーネも
『……あ、
サクラは、ひしっとサクヤの
引き寄せたサクヤの腕に顔を隠し、
『……
“魔王”であるフィルヴィーネ・サタナキアが、
ローザも、
『――ひぅっ!』
一瞬目が合っただけで、サクラはタオルケットの中に隠れてしまった。
中では『姉上!姉上ぇぇ』と、今にも泣きじゃくりそうだった。
『……そ、そこまで
片手で顔を
笑える
『サクヤ。サクラ、いやこの子、もしかして……』
『……――はい。わたしの双子の妹……コノハだと思い……いえ、コノハです』
タオルケットの中のサクラを優しく
◇
話しがまとまらないままサクラは眠ってしまったため、エドガー達は一階の休憩所で話し合う。
エドガーが
『……――わたしの
下を向き、
『……サクヤ……』
『ふむ。一理ある。あの時話したお
『フィルヴィーネ。それは……』
サクヤは、フィルヴィーネの言いたい事を理解している。
『言いすぎだ』と
『――分かっています……
それでも、
『――わたしが、サクラを元に戻して見せます……絶対に、必ず……』
『サクヤ。全部
ローザの言葉にエドガーが
『うん。そうだね……病み上がりになって悪いけど、メルティナが目を覚ましたら伝言をお願いするよ。
頭を下げるエドガーに
『――お願い申し上げます!フィルヴィーネ殿……!』
『……――分かっている。
『ありがとうございますっ』
『感謝しますっ!フィルヴィーネ殿……!』
そう言って、その日の話し合いは終えた。
サクヤは部屋に戻り、エドガーはメルティナの部屋に向かった。
残されたローザとフィルヴィーネは。
『……どう思う?本当のところ』
『そうだな……
『ええ。【ハート・オブ・ジョブ】だったかしら』
思い
なりきった人物のステータスや能力を引き出し、性格まで変えてしまう
『簡単な話し、サクヤの妹に成り代わったのだろう……代わったまま、そうして
『……じゃあ、あれはサクラが思い
『――いや。サクラがサクヤの妹……コノハの生まれ変わりなのは確定であろう。サクヤも
『……そう、ね……』
サクラの記憶が戻っても、コノハが今度は消えてしまう。
サクヤも、きっと理解しているはずだ。今いる妹は――
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