198話【出逢い3】
◇出逢い3◇
「エリウス様……!カルストさん……!」
レディルの名だけ呼ばずに、リューネは心配そうに汗を
エリウスは直前まで、リューネに対して『一人を引き付けろ』と
急に
その為一番動きの速いリューネが、
ローザの炎弾による
それが無くても【
「長い……!
本来ならば約600段、だが。
しかもご
だが、この異世界から来た【東京タワー】は、下部の
つまり、本来よりももっとある訳だ。
「――!下に……誰かいる……!?」
レディルさんの
情報の
リューネはこっそりと下を向き、確かめる。
黒髪の少女が二人に、緑色の髪の女性が一人、
「……さ、三人……私一人じゃ無理だよ、エリウス様……」
腰をかがめて、鉄の
腰に刺した【
「――っ!――!?」
しかし、突然背後に
「――あ、やばっ!」
だが斬撃の
そしてリューネの斬撃を回避したと思われる人物は。
「……あらあら。いきなり
「――だ、誰っ!?……って……う、
背後に立っていた人物の足元は、空中にある。
どうやら
「――ええ、そうですね。わたくしはスノードロップ……シュルツ・アトラクシア様の部下ですわ」
その人物は、背に
白い、まるで
「シュルツ・アトラクシア様……って。確か、
帝国に初めて行った時、エリウスがレイブンを連れ、会いに行っていた、帝国のお
リューネと、弟のデュードは用意された
彼女が、その
「その翼……“魔道具”、ですか?」
「あらあら、それよりもいきなり斬りつけられて、お姉さん困っているのに~しくしく。しくしく」
「え、あ、す……すみませんでしたぁ!」
スノードロップはクスクスと笑い、白い翼をはためかせながら言う。
「うふふ……ここは彼女達からも死角ですからね。あの
「――え、いいんですかっ!?」
「
「つ、ついで……ですか?」
「ええ。ついでです、ついで中のついでですわ」
何それ。とツッコむ
白銀の髪を風に
「……ねぇ何か言ってよ~、お姉さんがスベったみたいじゃない!」
「えぇ!?」
どれがボケだったのか分からない。
あいにくリューネには、そういったものに
「――あら。遅かったみたいだわ……?」
「……へ?」
笑顔が一転して、
ボケっとするリューネの手を取って、自分の側に引き込む。
それは
「――いっ!!」
一瞬で理解した。
空に引き込まれたと。落ちてしまうのではないかと。
しかし自分が立っていた場所に、緑色の衝撃が
◇
上空には、緑色の魔力光を
「……
自分達がいた反対側、その少し上部の階段付近に反応があったことを、メルティナは気付いていた。
ローザに言われたことを早速
「――《
そう言って、メルティナは【エリミネートライフル】を向ける。
白銀の髪と翼を広げて、
メルティナの正面まで上がってくると、その女性は。
「……気付けましたか【
リューネは顔面蒼白でスノードロップにしがみついていた。
必死に、落ちまいと
フードは風ではだけて、顔を
「何者なのですか、
まじまじと背の翼を見て、その
「……困りましたね~、わたくしはただ
「――た、戦う!?私は!?落ちます落ちます!!」
「あらあら~。暴れないでくださいな、それこそ落ちますよ?大丈夫です、キチンとお送りしますから」
まるで信頼関係のない二人に、メルティナは
【心通話】で、エドガーに通信を行おうと
<――マスター!外にも敵がいます……>
<……マスター?>
しかし、【心通話】は通らなかった。
エドガーにも
「――やめておいた方がいいですよ?」
「――!!」
元々
「――
「なっ!――っく……」
それは、サクラが通信能力を持っている事を知っていると言う告白だ。
メルティナは急上昇して、エドガー達がいるであろう
「――知らせなくてはっ……マスターに……!!――っなっっ!?」
空中で急ブレーキ。
目の前に、今この瞬間、下に居るはずの
「こ、これは……」
ローザに言われてから、センサー頼りを抑えていたメルティナだが、この状況になってからは常時発動していたのだ。
しかし、今の今まで、出し抜いて上を目指したメルティナの真下にあった反応が、今は目の前、自分の上にある――いや、居る。
「――だから
「今の……
「あら、ウフフ……ご存じなんですね?」
「……ええ、身近な者が、今と同じことをするもので……」
「あらそうですか……
「――ど、どういうことですか!?」
眼前にいる
「う~ん……では……
“天使”。“神”の使い、天上の種族。
スノードロップは
「……“天使”……という事は、フィルヴィーネが……“神”の時代の……部下!?」
「ウフフ。まぁそんなところですね……――さて、すみませんが上には行かせませんよ。【
そう言うと、右手に一瞬で槍が出現し、空に向けて
「――突破しますっ!!」
メルティナも、両手に持つ【エリミネートライフル】の銃口をスノードロップへ向けて、
◇
「「「……。……。……へ?」」」
地上にいたサクラ、サクヤ、そしてリューネだった。
「――なっ!敵襲だと!?」
「
「え、ええええぇぇ!?」
「な、なんだか……本人が一番
「そ、そうね……」
リューネは、突然自分が地に下り立っていることに
スノードロップが、
(馬車の所まで送ってくれるんじゃなかったの!?っていうかなんで!?なんで目の前にこの子達がいるの!?なんで私は地面にいるのぉぉぉぉっ!!)
内心で大号泣しながらも、リューネは後方にジャンプして、ローブの中から【
どうやら「送る」とは、真下までだったらしい。
「……サクラは下がっていろ……わたしがお前を守る……!」
「……サクヤ……」
こんな不安定な
本人ですら
「……
普段のサクヤならば、リューネの姿が見えた瞬間に、もしくは敵と分かった瞬間に斬りかかっていただろう。
その
そして、まったく
こんな所で死ぬわけにはいかない。
エリウスに恩を返すため、何より、そのエリウスに忠義を果たすために。
こうして、【東京タワー】内外、両面での戦闘が始まったのだった。
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