155話【王女を送る】
◇王女を送る◇
エドガー達が【ランデルング】で荒野を目指している時を同じくして。
王城東部・
「――私は、もうダメだぁ……」
高度な空中
そのメルティナは、
「ノー。プリンセスの状態は正常ですが……ダメとは判断出来そうにありません」
「そ、そうではなくて……」
地道に、
しかし、空の移動など初めてだった王女は、当然のように顔を真っ青にして、
だが、メルティナにそんな事は一切関係なく。
「ではプリンセス。ワタシはマスターの所に向かいます。エミリアによろしくお願いします」
「え、もう……行くのか?」
相手が男なら、多大に効果はあっただろうに。
「――イエス。急ぎますので」
「そ、そうか……」
ローマリア王女に対して何の情も持たないメルティナだったが、背後から不意に掛けられた声、そしてその人物に
「――メル?」
「――っ!――エ、エミリアっ!?」
背後に立っていたのは、前マスターの生まれ変わりであり、親友。
エミリア・ロヴァルト。新マスターであるエドガーの幼馴染で、城に
では
メルティナは、背後にエミリアはいる事に気付けなかった自分に
「
(センサーが
メルティナ体内には、
再構成され、限りなく人間の身体に近づいたメルティナだが、その体内にはナノマシンレベルの機器が
「え?何が?」
「……ノー。何でもありません。エミリアこそ突然出てくるのはやめてください」
「――え、私が悪いのっ!?……って、
「……ああ、エミリア。私の
「それは本当に
今日も今日とて、城を抜け出した王女を探していたエミリア。
まさか【聖騎士】に成った直近の仕事が、王女の
しかしそのエミリアも、ローマリアの
「やっと見つけたと思ったら……だ、大丈夫ですかっ?
ローマリア王女の
「――悪いわねエミリア……私は、もう空に
「……い、今ので何となくわかりました」
飛べない鳥の気持ちを
そこをよく見れば、
「エ、エミリア様ぁ……」と、絶望感を
「……あらレミーユ。やっと追いついた?」
「は、はいぃ……」
レミーユ・マスケティーエットは、公爵家生まれの次女であるが、騎士学生ではなく
正確にはまだ騎士ではないが、公爵の父に頼み込んで、エミリアを
しかし、レミーユは騎士学校にも通っておらず、
基本的にもやしっ子。体力がないのだ。
それを見かねたエミリアは、レミーユを
「……エミリア。こちらは?」
「ん?ああ、この子は……」
エミリアはメルティナにレミーユを紹介する。
「【
ローマリア王女は、そのレミーユを
本当に王女なのかと
「そ。決まりなんだってさ……だから、今度連れて行くよ。エドの所にも……それよりもさ、さっき
「――!?」
メルティナは目を
「やっぱり。そうでしょ?」
「え、ええ。ですが意外です、エミリアがそこまで気付けるとは」
エドガーの幼馴染なのだ。異世界人の契約の事を知っていてもおかしくは無いが、メルティナの現状までを
「ま、ローザがね……似たようなことを言ってたからさ。エドガーと離れれば離れる程……力は弱まる……ってさ」
「……そうですか、ローザが。ということは、現状ワタシはドンドン性能が下がっていくことになります――急がなくては」
そう言い、メルティナは
「プリンセス、ワタシはこれで。それとレミーユ。ワタシの友達をこれから
「あ、ああ……メルティナ殿」
「……え!?というか、私は紹介されてませんけどっ!」
メルティナは下がり続ける《石》の性能を感じながらも、【
「――な、な、なんですかっ!?」
「――痛っ!」
レミーユは
「あぁ!すみません!!」とレミーユは
「ではエミリア。また今度」
「うん、またね。エドにもよろしく、落ち着いたら遊びに行くからっ」
「イエス。では……テイクオフ!」
舞い上がる緑色の
そしてエミリアは。
「――あぁ……エド、エドに会いたいなぁ……」
立った数日会っていないだけで、エミリアは遠くにいる恋人を思わせるような口ぶりで
◇
数分飛行していくと、
それを感じ、メルティナは一人
「やはりマスターの
もう
そして
「――あれは!ローザの炎ですか……それにしても温度が……――2200℃!?」
街中で使えば、
センサーに
「……ローザ。弱まっていながら、まだこれ程の力が……ですが、あれではマスター達まで巻き込んでしまいます……――まさか、そんなことまで
急停止し、ローザが置かれた状況を
もし【
「フィルヴィーネが“召喚”された事で……ローザは、
弱くなった。身体の弱まりは、精神をも弱くする。
逆も
「急ぎましょう……」
背部ユニットの
メルティナは、エドガー達のもとに急いだ。
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