154話【ローザVSフィルヴィーネ2】
◇ローザVSフィルヴィーネ2◇
ローザが放った《魔法》【
街一帯を飲み込むような極大の炎の檻は、やがて静かに魔法陣を消し、その炎も消失した。
そして、消えた炎の中に“魔王”フィルヴィーネの姿は無かった。気配もない。
勝利の二文字が頭を
ローザの全身には、大量の汗が
「……はぁ、はぁ……もう、これ程の魔力しか残ってないと言うの……?」
ローザは本来、【消えない種火】の効果で
その《魔法》の性能も相まって、汗は
しかし、ローザ自身の魔力は底を
その状態で、《石》に
「こんなにも魔力を使う《魔法》だったかしら……まったく、気に食わないわね」
気に食わないのは、それを使わせたフィルヴィーネか。
それとも弱まった自分自身か。
きっと、両方なのだろう。
ローザは
「ふぅ」と一息つき、《魔法》によって無くなった、雲の無い天を
「――!?」
異常な気配に、ローザの
◇
赤い、世界の終りの様な
「「「……」」」
遠くで
少しして、
「――あたし達、夢を見てるわけじゃないよね……?」
ポカンとし、炎が
エドガーは右手を見ている。そこには赤と紫の
「うん。多分……――でも、戦いもまだ終わってないよ……」
エドガーの言葉に、
「当たり前よっ!……フィルヴィーネ様が、あんな
――あんな弱まった?
今のローザの炎を見てそんな事を言えるなんて、“悪魔”の
「……そっかなぁ。ローザさんの事だから、本気で殺しにかかってそうだけど……」
「確かに。わたしもそう思うぞ……それでも、へるびいね殿の
「――マジで!?どうやって
「……そ、それは知らぬが……」
同じ大きな岩に仲良く座るサクラとサクヤの二人は、会話をしながらフィルヴィーネが無事だと
ただ、かなり
フィルヴィーネが空中にいた状態なら、ここから確認できたのだが。
「……フィルヴィーネ様には、
「
「ええ、ここだけの話よ。それは……――」
嬉しそうにピョンピョン
◇
自分の足元の
その
「――ひゃっっ!」
――バッと
大きな胸の下にある心臓を抑えて、ドキドキを
ローザらしからぬ可愛らしい悲鳴を上げ、目をパチパチさせる。これはどうやら本当に
「……――ま、“魔王”!?なんて所から出てくるのよっ!?――し、心臓が止まるかと思ったじゃない!!」
生え出た両腕は、
「――ぶはぁ!!――はぁ……はぁ……し、死ぬかと思った……」
「こっちの
「ふ、ふふ……
「《転移魔法》……“魔道具”も無しで使えるなんて――本当に【
ローザはいつもの長剣を造り出して、
「おいこらちょっと待て!
「“魔王”が何を言っているのよっ!それに【勇者】なんて知らないわ!」
完全に斬首するつもりで。
しかし、空を切るローザの長剣。
「くっ……《転移魔法》――いっっ!!」
赤い刀身が首に触れる
そして
「――このせっかち娘!おのれは無差別攻撃をするアンデットか!!」
「うるさいっ!このペテン神!!」
「――ななっ!誰がペテン神だ!この
「……誰がっ!!【
手をかざして、ローザは
そして、手に持つ剣と合わせて四本の剣を
「この、わか、らず、やがっ!!」
フィルヴィーネはローザが持つ長剣、
しかしローザは、転んだ
「まったく……本当に、
フィルヴィーネがかざした両手の上空から紫の線が降り注ぎ、炎の矢を一本残さず撃ち落としていく。
「……ちっ!!【
「――ん?何を……――うおっ!?」
ローザは
その状況に、フィルヴィーネは一瞬考え止まるも、その考えを
手をかざしたのはフェイクだった。
本命は、地面に
火種は生きている。その火種から、ローザは炎の矢を放った。
だがしかし、それも
「……はぁ……はぁ」
「ふぅ……なんだ?――息が上がっているではないか、息巻いた割にはあっけない……」
ポタリポタリと、汗を
「……まだ、これからよっ!!」
ローザの魔力は残り少ない。流している汗がその
ローザの魔力が0になれば、【
しかし、【消えない種火】に
ローザ自身を“魔人”化させて、魔力を全快させる。それは最終手段であり、強制手段だ。
だが、それを打ち捨ててまで《魔法》を使ったのは、ローザの
この魔力の
《魔法》に大量の魔力を消費したのも、計算外れだ。
ましてや、“魔人”になりたくない理由もある。
目の前にいる“魔王”フィルヴィーネは、“魔人”の親玉なのだ。
「……まだ……まだっ!」
「
「――う、
剣を向けるローザ。
図星と言うよりも、それを知られたくないような、
「クックック……まぁそうでなくてはなっ!……――だがな、
「――なんですって……?」
空を見上げるフィルヴィーネ。
それにつられて、ローザも見上げた。
――そこには。
「ワタシも混ぜて頂きます……ローザ、フィルヴィーネ」
緑色の魔力光を
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