150話【思い揺られて、回る】
◇思い揺られて、回る◇
流れる
その隣では、サクヤが気分悪そうに顔を上げていた。
時に早く、時に
ローザの運転する装甲車【ランデルング】は、非常に
出発して
その間、リザが目を覚ましたことは全員が知ったが、
“魔王”の
そのフィルヴィーネに
「もっとスピードを出したいわね……」と、メルティナに言われた事に
もう
そしてその考えは、助手席に座るサクラも
「右、右です!そこは左ぃ!ああ、岩があるよローザさん!気を付けて!」
「もう!!うるっさいわよ、サクラ!」
「だって!怖いんですけど!」
「私だってそこまで言われたら不安になるでしょう!もっとどっしりと構えなさいっ」
「ああぁ!今
「うっっっっっるさいっっ!!」
と言う会話が、後部の部屋に
サクヤはそれに嫌気がさしたのか、後部の部屋に逃げ込んでエドガーの隣で
「――大丈夫かい?サクヤ」
「うぅ、あ、はい……
エドガーはサクヤの背を
サクラに貰ったエチケット袋なるものを
しかし、エドガーに顔を向けた瞬間。
「――うぷっ!おえぇ~~~~っ!」
エドガーはサッ!とエチケット袋を差し出し。
セ-フ、間に合いました。
「ふふ……
泣きながら笑い、
絶望感に襲われながら、サクヤは自分を情けなく思っていた。
(
自分の背を
本当に、情けなくて涙が出て来る。
(わたしは、こんなのばかりだ……
ルーリア・シュダイハを助けると
それはサクラが出場してくれたおかげで事なきを
その後の、セイドリック・シュダイハ――バフォメットとの戦いでは、《石》の
そして何より、自分の
ローザ、サクラ、メルティナ、そしてフィルヴィーネ、同じ異世界人でありながら、サクヤは全く話についていけていない時が多々あった。
自分は学ばなければならない。それは
心配してくれた
「大丈夫」だと、「心配いらない」と。
本当は、とても苦しい。とても悲しかったのに。
「……――!?」
(……これは……も、紋章が……)
サクヤの背を
ローザの紋章とフィルヴィーネの紋章が合わさった紋章は、光とともに形を変えて、円形状だったローザの炎の紋章は赤い
その三日月皿には、炎が揺らめくように描かれている。
【
(これって……サクヤの、感情?なんだよ、どうしてこんな……)
そう、筒抜けなのだ。
サクヤの大丈夫だと言う
「……大丈夫?」
「は、はい……すみません。
それでもエドガーは、気丈にするサクヤの想いを
サクヤがエドガーの力になりたいと言う思いは、痛いほどに
その思いがから回っている時も、力不足な時も、十分
だが、サクヤが
ルーリアを助けた。
【
逃げ回る《石》を捕まえた。
その前には、乱暴されそうになっていたエミリアを助けてもいる。
細かく数えても、サクヤはエドガーの役に立てている。それでも、自分の思いとは決定的に違うのだろう。
サクヤは、必要とされたい。エドガーに。
サクヤは、誰よりもエドガーの一番になりたかった。
きっとエドガーは言うだろう。「順番なんて関係ない」と「みんな大事だ」と、でも違う。
サクヤは、ローザやサクラを抜いて、一番になりたいのだ。
エドガーの中では、きっと無意識にローザに
サクヤはそう感じているし、実際そうなのだろう。頼りになるし、とても強い。
完璧だった。まさにサクヤの理想。
そんなローザを、サクヤは
だからこそ、そうなりたいと思って
無言で、只々
元の世界でそうしてきたように、サクヤの
そうして
それと同じように、サクヤはローザから
しかし、それは違うのだと、
(分かっている……わたしがローザ殿になれるはずなどない……それでも、わたしは……)
サクヤが、考えと
前方のドアがパシュゥゥ――と開き、運転席の方からサクラがやって来た。
「え、何?どしたの【忍者】……ダイジョブ?」
サクヤの苦労など知る
しかし、自分の魔力を使う
食べ物は意味がない気もするが。
そんな事を思うエドガーの
「……エド君も食べる?チュパ」
「え、あ……うん。じゃあ貰おうかな……」
「それは
「効かないわよっ!って何、
サクヤの顔は「そんなものがあるのなら早く言ってくれ!」と言う顔をしていた。
サクラは
アメの包みを開けてエドガーに渡し。薬も開けて、コップに水を入れる。
魔力を使う動作も無かったので、アメも薬も、もう
「――あたしはもう飲んでるから」
サクヤが
しかし、サクラには現代の
「あんたの時代にも似たような薬はあったんでしょうけど……やっぱり現代医学様様ねっ」
「ほら、水」と、サクラは
メルティナが事前に【クリエイションユニット】で作成してくれていたタンクには、並々と水が入っていて、小さな
「……すまぬ」
ごくりと、
「苦くない……」
「そりゃね……あんたの時代は、
「そ、そんなにかっ……?」
「うん。だって本来、乗り物に乗る前に飲むものだから、その薬は。
「……」
無言で
「え!?そ、そうなの?」
「うん。あたし、それを言いに来たんだよ。今
「……そっか、ありがとうサクラ。ローザにも、言っておいてくれる?」
「……そんなの自分で――や、うん……分かった。
エドガーはサクヤの背を
それを見てサクラも
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