151話【臨戦態勢】
◇
サクヤが
今は、またローザの運転を
窓の外を
「……」
(紋章が形を変えるなんて……でも、
しかもその皿の上には炎が揺らめいでいる。
どう考えても、ローザとフィルヴィーネの紋章だと理解できた。
「――着いたみたいだな。エドガー」
「――え、あ……そうですね」
フィルヴィーネに言われて、考えを中断する。
これも新しい力だと割り切り、エドガーは心に
「この力は、異世界人を
◇
水の
しかしもう
「……ここが、【ルノアース草原】、いや荒野か……」
「……だだっ広いな。これなら、多少暴れても確かに平気であろうな、ふぁぁぁぁ~~あ」
フィルヴィーネが、言い終えると同時に
背伸びをして、眠る(気絶)リザをつまんで胸の谷間に入れた。
それでなくても大きいのに、フィルヴィーネの胸は、サクラが用意した服で更に強調されていた。その隙間に、見事にハマるリザ。
「ぼ、僕はちょっとサクラ達を見てきますね」
「……うむ」
パシュゥゥ――と自動で開かれた扉を抜けると、ぐったりとしたサクラとサクヤが居た。
「……ふ、二人共、大丈夫かい?」
「……だいじょーぶだよ。疲れただけ……」
「はい、
ローザが運転中のここは、どのようだったか。
二人の
「ローザも、お疲れ様……」
「ええ。これはいいわね……気分が晴れるわ」
ローザは【ランデルング】のハンドルを
なんだかとても
結果的に、ローザのストレス
約二名ほど、精神的に
「そっか、それなら良かったよ」
エドガーは運転席の窓から外を見る。
後部の部屋から見る
フィルヴィーネの言う通り、多少の戦いでは影響もないだろう。
それにしてもこの【ランデルング】は、よく無事に走ったと思う。
普通の馬車だったら、絶対に
サクラとメルティナに感謝だ。
「これで、今度からは
背筋を伸ばすローザは、楽しそうに言う。
これは、相当【ランデルング】の運転をお気に
「――はは、それはいいね……」
「でしょう?」
それよりも、エドガーはまず他の街や村に行ってみたいと思っている。
王都から出たことがないのだ。当然の
「……でもさ、本当になーんもないんだねぇ」
サクラが助手席で言う。
「本当だな……わたしの
「――いやいや、日本は全然
自分の地元を思い浮かべて、サクヤにツッコむ。
日本の古き良き
「どうだろうか……わたしの知る【ミカワノクニ】は、まぁまぁな
「ほらね!
「――!!――!?」
「え――なに?あたし変な事言った?」
「……あ、いや……わ、わたしも思っていたのだっ」
二人はこの世界に来てから、あえて
お互いに
そういえば、自己紹介の時も名前だけだった気がする。
二人は、特にサクヤは自覚する。やはり自分達は、同じ存在なのだと。
出身地も、
「「……」」
少なくとも、いがみ合っている訳ではなさそうだ。
「……」
(やはり……同じ。このサクラは、わたしの……)
サクヤの心に
「――ほら二人共……そろそろ降りるわよ。ここに来た目的は、私があの“
サクラは首をブンブン
サクヤは少し考えて。
「――いや、今回は……
自分なりの考えがあるのか、サクヤは
ローザは「そう」と一言だけ言い残して、先に運転席を後にした。
「……僕たちも行こうか」
「うん」
「……はい」
これから起こるローザとフィルヴィーネの戦いに。
エドガー達は、不安に
◇
エドガーがローザの後をついて【ランデルング】を降りると、
フィルヴィーネは大きな岩に腰掛けて、リザと会話をしていた。デコピンから目覚めた様だ。
「……」
無言でフィルヴィーネを見るローザ。
ローザはもう、
「ローザ、もう準備しているんだね」
「ええ、いつでも行けるわよ」
「き、気が早くないかな?」
着いて早々だ。正直言って少し見て回りたい気持ちがある。この【ルノアース荒野】を。
ローザの思いも、それはもう十分に理解しているが。
エドガーのそんな気持ちを感じたのか、ローザは。
「……
「い、いや……そういう事ではなくてね」
苦笑いを浮かべて、ローザの背中を押す。
「――ん……ありがとっ……」
ストレッチをしながら、ローザはドンドン気合を入れていく。
エドガーとローザ、その二人のその様子を見ながら。
「――見てよ【忍者】……あれがエド君の、
「た、確かにな。
二人は見合って笑う。結構
「……
フィルヴィーネが
――ピキッと、ローザの
「……ふんっ。大丈夫よ、エドガーに心配は掛けないわ」
しかし、事前にエドガーに言われた事もあるので、ローザはフィルヴィーネの
「ふぅ……」
(よかった……)
ローザが思いとどまってくれたと、この瞬間だけは思っていた。
まさかローザが、自分を
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