146話【充填】
◇
大型装甲車【ランデルング】。
今し方完成した、この兵器と
魔力が
ローザは、「私がやるわ」と言い出し運転席に入り込んで来た。
ズイッと前に出て来て、ついついメルティナが席を
だがもう一人、サクラは言う。
「――いや、ローザさん。車の運転できないでしょ?」
「そうね。でも、魔力が関わっているのなら――話は変わるのではない?」
「――そういうものじゃ……はぅ!」
「――ノー。出来るかもしれません」
サクラが、運転と魔力の
手で顔を
「……どうやって?」
「
「――確かにな」
メルティナの言葉に、フィルヴィーネが小さく
どうやら初めから知っていたのだろう。口を出すつもりは無かったのか、
「つまり、あたしでも運転できるって事?」
「イエス」
サクラは、
そしてローザは、早く早くと気が
「……教えなさい」
「な、
教えるも何も、ローザはもう出来る気でいる。
メルティナは、先程ローザに
「では手をかざしてください――そう、このハンドルです」
「――えぇ!あたしは!?」
「
「
「……ええぇ」
ローザはともかく、フィルヴィーネにまで
フィルヴィーネは、運転方法に
方法と言うよりも、その魔力の使い方に、だろうか。
「少しだけお待ちを」
メルティナはハンドル周りと、《石》の装置を調べている。
メルティナがこのコックピットを作ったのは、自分が
メルティナだって、【クリエイションユニット】の使用で魔力を使っているのだから。
「アクセルとブレーキは……どうやら《石》とは
メルティナがサポートAIとして
しかしそのエネルギーの代わりを魔力で
「やはり、魔力が
メルティナ的には空を飛びたいと言うのが、正直なところだが。
しかしそれは、
「これを
ローザは、かざすだけにしていた両手でハンドルを
「イエス。ですが少しずつにしてください……」
「そ~っとですよ、そ~っと!」と、メルティナはローザに魔力をセーブするように言う。
「分かってる」
「……」
ローザは弱まっている。言われずとも少量しか注ぐことは出来まい。
しかしそれでも、その馬鹿にならない魔力は素の状態で
「……」
ローザだって、メルティナの
メルティナが自分の
地下での言動は、それを確認するための物だったのだろうと言う事も。
「分かっているってば、そんな目で見ないで……気が
モニター付近にある、メーターのメモリの数値はゼロだ。
“M”と書かれたそれは、
ローザの魔力に反応して。
少し、また少しとメモリが上昇していく。
「そうです!その調子!」
「――ああもうっ、うるさい!」
冷や冷やしながら、メルティナはローザを応援する。
気が
そして、その瞬間に魔力は大きく注がれてしまい。
「……――あっ」
ギューーーンと注がれたローザの魔力は、ギリギリでメーターを満タンにした。
「……ほっ……」
「セ、セーフ……」
サクラとメルティナは、息をついて
フィルヴィーネだけは
「……取り
(あ、
「で、ですね……
「そ~っと。と言ったではないですか!」
「
「――えっ、そうなんですか!?」
ローザの一言に、サクラは本気で
ローザくらいの人でも、
「……当たり前でしょう。私を何だと思っているのよ……」
「あふぁふぁ……いふぁいれす」
(あたた……いたいです)
ローザはサクラの
自分がまるで人外だと言われたようで、気に
サクラも、小さな失言だと分かって、
みょーんと伸びるサクラの
「それで、次は?」
サクラの
「イエス。もう大丈夫です……あとはゆっくりと走らせるだけ、ですが……」
メルティナはモニター付近や装置を確かめながら
メモリは満タン。《石》も異常なし。
「なら……」
ローザは再びハンドルを
「ストップ!ストーップ!まだ
「……」
目を
これは、余程
「ふふん」と、フィルヴィーネが笑っていた。
「――あれ、もう終わったのかな……?」
どうやら、一通り見終わったようだ。
「……そうよ」
「――いや、まだだってば!」
「まだです」
「まだだな」
「……ローザ殿」
「ははは……ローザ……」
「自信たっぷりに……ローザ、凄いわっ!」
エドガーとサクヤは
ローマリアは自身満々に言うローザを感心していた。
王女の
「それで、あとはどうするのかな……?手伝えることがあるなら、手伝いたいんだけど」
エドガーは苦笑いを浮かべながら言う。
この装甲車【ランデルング】に
「ノー。もうすることはありませんので大丈夫です」
「あ……そ、そう」
メルティナの、マスターに
「メルティナも人の事言えないでしょうに……」
座席に身体を預けて、ローザは
そしてエドガーは、
「でもさ、こんな大きな車体……どうやって
エドガーの言葉は、少女達の
ローザやサクラ、メルティナは
「え?」
「……はぁ!?」
「……
「フハハハハハッ!!……お
涙を流して大笑いする“魔王”様。
どうやら気付いていたな?
「――気付いていたなら言いなさいよっ!!」
逆に、ローザが気付いていなかった方が
それほどまでに
「クックックッ……それでは面白くないであろうが、
「……ぐっ……」
「あたしも
フィルヴィーネは
メルティナは、エドガーから目を
エドガーが“召喚”した少女達、は完成された存在ではなく、それぞれがバラバラな程に、不完全で、何か様々なものを
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