147話【真実の天秤】
◇
「じゃあどうするのよっ!?そのなんとか荒野って場所――どうやって行くの!!」
「――い、一応【ルノアース草原】が正式な名前なんですけど……もう、荒野かなってだけで」
ローザが座席でフィルヴィーネに
そのローザの言葉を、ローマリアが
【ルノアース荒野】。
元・草原の広大な地だ。【ルド川】の北東にある、絶大に広い大地。
この草原、いや荒野があることで、北国から来る
ローマリアの記憶によれば、数年前まではまだ草原だったはずだ。
エドガーは行ったことはないし、母が生前
謎の
しかし、その住民たちのその後は――不明。
王都に
それなのに、聖王国は
だから、エドガーやロヴァルト兄妹も
広大な敷地
その事実を知るのは、王族の人間と、外の人間だけだ。
外、つまり国外の人間は、それをわざわざ言いに来るわけではない。
そもそも北にある隣国【エルタント公国】の人間が、数日も
「そこに行くにも、この馬車……じゃなくて装甲車をどうにかしないといけないよね……壊すしかないのかな……?」
エドガーは、名残惜しそうに車内を見渡す。
そうなる可能性が高いだろう。こんな人通りの多い場所に、こんな大きな車体を置ける訳が無く。自然と、片付けなければならない話は出てくるはずだ。
「ええっ!?
「――って言われても……門を通れないんじゃ、どうしようも……」
空でも飛べれば、とはメルティナの考えだが。
それも、下町民の
人一人ならともかく、こんな大きな物体が空を飛ぶ時代ではない。
ましてや、【召喚師】
「……そうだ。フィルヴィーネさん、何とかなりませんか?」
「――無理だな……どうして
「マキナの……って、メルティナのことですよね?その事も
「エドガー……」
素で
エドガーが、自分の
「そ、そんなに
「……やめよ。
「――でも、フィルヴィーネさんはローザと戦うのを楽しみにしていたんですよね?このままだと、ローザは本気で戦えませんよ?」
「――な、なにっ!?
それにはフィルヴィーネも
エドガーの予想通りだった。フィルヴィーネは、結果がどうであれローザと戦うつもりでいたのだろう。それは場所など関係なく。
しかしローザは違う。
「本当ですよ。ローザは僕と約束……をしています。炎を使わないって……それは、街に火が回る心配を、僕がしているからですから、外に出なければローザは全力を出しません」
「……何だと!?力を持っているのに、今まで空撃ちしていたと言うのかっ!」
フィルヴィーネの
コクリと、縦に首を下ろすローザ。
「そうね。約束、したから……」
「くっ……ならば、
「それはやめてって言ってるでしょっ!!」
声を
「ダ、ダメですよ。僕がいないと、ローザもフィルヴィーネさんも……潜在能力が
「……意外と
「いえ。違いますよ……僕はただ、
笑顔で右手を見せる。赤と紫の紋章を。
エドガーの右手の紋章は、しれッとパワーアップしていた。
それはエドガーにしか分からないものだったが、先程この【ランデルング】内を
【
エドガーが
ローザの赤の紋章と、フィルヴィーネの紫の紋章が合わさった事で
それは、
代わりに、その対象は異世界人に
言わば、身内内の
身内に裏切られたローザと、身内を愛しすぎるフィルヴィーネ。
同じ世界からやって来た、二人の紋章が合わさってもたらされた力。
エドガーはフィルヴィーネに向けてにこりと笑う。
もう、エドガーに
「……仕方がないか。全く、とんでもない《契約者》だ……その代わり、
「ええ。
初めからそのつもりだ。エドガーは
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