130話【ブラストリア】
◇ブラストリア◇
ロザリーム・シャル・ブラストリア。
【ブラストリア王国】第二王女。
しかし、乱心し先王を殺す。その罪で
――それが、ローザがあの日と言う(90話)、ローマリア・ファズ・リフベインの口から語られた、【
エミリアの結婚の話をして、決闘をする流れになった後にこの話をしたのだが。
目の前が真っ暗になったサクラがこの話を覚えているかはかなり
同じくエドガーも、かなりサクラを気にしていたので、全部を全部覚えているかと聞かれれば、答えはいいえ。だろう。
二人共、自分の事で
「……はい、どうぞ」
朝に作っておいた(エドガーが)アイスコーヒーをコップに入れ、ローマリア王女に出す。
「あ、ありがとう……その、ミルクとお
どうやらブラックは飲めないらしい。
かく言うローザも実は甘党なので、ローマリアに負けじと
「……ロザリーム殿、わた――」
「そのロザリームって止めてくれない?……ローザでいいから。殿もいらないし……わたしはもう王女じゃない、エドガーの“契約者”で、エミリア達の仲間なのだから……いいわね?」
ローマリアの固い呼び方に、ローザはかぶせる様に言う。
「あ……は、はい!では、ローザ……と、呼ばせていただきます!」
「ええ、それで――っつ!」
突然来た胸の痛みに、ローザは左手で胸を抑える。
その場所は、謎の空間で赤い光玉を受け入れた場所だ。
この痛みも、これで五回目、
一度目は、【月光の森】でグレムリンと戦っている時、二、三回目は、サクヤとサクラが“召喚”された時、四回目は、メルティナが“召喚”された時だ。
【孤高なる力】が発動した――という事は、新たに誰か“召喚”された。
もしくはローザが、ローマリアを仲間と認めたという事だろう。
「――ローザ?」
反対側の
「……なんでもないわ……コーヒーが熱かったのよ」
アイスコーヒーが熱かった?
ローマリアが、
そりゃそうだ。
毎回痛みを
もしかしなくても、痛みへの
「それよりも、この前の続きを話しましょうか」
ローザは笑顔で
変なことを言ってしまったが、無しにしてもらわねば。
「は、はぁ……分かりました」
「私の名前がこの国の歴史書に
「ええ、そうなりますね。それもローザ、
「……この場所が、【
ここ【リフベイン聖王国】は、かつて【ブラストリア王国】があった場所なのだろうと。
そして、この国の王族の髪色は、
【ブラストリア王国】の王族の髪色は、赤。
長年の時を
「でも、あれ以降【ブラストリア王国】が
存在しない名前になっている以上、ブラストリアという名前が【リフベイン聖王国】の王家にしか知られていないという事は、情報は外に出ていないという事。
もしくは、相当昔に
「……おそらくは千年以上前だと思われています。古すぎて、正確な年数が分からないのですよ」
「――千年……」
そんなにも長い時間を駆けたのならば、例えここが未来であれ【異世界】だと言われても仕方が無い。
しかし、これでローザが“魔道具”の名前を知っていることの説明はつく。
ローザは、
別に感傷に
「ローザ殿……いや、ローザは気に食わないとは思うけれど……」
「――?……何が?」
「え、いや、え?……あれ?」
本気で
ローザは別に、未来の世界でブラストリアがどうなっていようが、始めからどうでもよかった。ローマリアの考えとは、そもそもから違っている。
「気にし過ぎよ……私は、未来に
どこか嬉しそうに、でも切なく感じるローザの笑顔を、ローマリアは忘れないだろう。
「そう言えば、ローザの時代の王家はどうだったのですか?本当に
「そうね、大体合っているわ。父を殺したのも、
ローザは正直に答える。ローマリアの
本当に国を思い、過去の様にしたくないと思っての発言だと思えた。
その
話は、結構盛り上がった。
ローザが“召喚”される前に起こった事件。
それらをつなぎ合わせて考えられた
正直、結構楽しかったとローザも思っていた。
「はぁ~、楽しかった……ローザ、ありがとう!おかげでいい
「……
「……あっ」
しまったと口を
「あ、あはは……」
「まったく……近くまで送っていくわ……――ぐ……ぅっ!」
立ち上がろうとしたローザだったが――ガタン!!と、急に
胸を抑え、
「――ローザ!!どうしたの!?大丈夫ですかっ!?」
あわあわと、ローザのすぐ
壊れそうなものを触る様に、優しく背を
「平気よ……立ちくらみが……しただけ、だから」
「とてもそうは見えないわ!そ、そうだ、エドガー達を呼んで――っ!?」
ローザは、ローマリアのスカートの
今出る、最大の
「!?」
ローザの手は、ローマリアに簡単に
指を一本一本、優しく
「――っ!!」
(……そう、ここまで落ちたのね……私は。戦いの“たの字”も知らないような女の子に、簡単にあしらわれてしまうくらい……弱く)
「ローマリア。お願いがあるわ……私の、ブラストリアの子孫なら、聞いてくれるわよね?」
「いや……でもローザ……この状況は」
ローザの手を取りながら、ローマリアは
しかし、ローザの手の熱と
「――っ!……わ、分かった」
そうして、二人の王女は
――ローザの炎が、消え去る時まで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます