129話【王女と王女】
◇王女と王女◇
不機嫌な気分に
ずずずっ――と、底まで一気に吸い上げてやって、あっと言う間に
「……はぁ……最低だわ……」
自分の最低な行動に、私は
自覚はある。私は、確実に弱くなった。
さっきも、《石》の飛び出しに反応もできずに、頭突きなんかを
「……自分の決めた道……か」
自分自身を言いくるめた言い訳に、
本当に嫌になった。
しかも、私は逃げ出した。
怖かった?違う、絶対に違う。
負ける可能性は、もう分かっている。
今の私では、確かにメルティナには勝てないわ。
もし、【
でもそれは、言っても仕方のない事。あの時、私が言い出した事だ。
◇
~謎の空間~
『こ、ここは……――!!』
少年の願いに答え、私は自身の炎で焼き
そう思っていたけれど、どうやらその前準備って所かしら。
何もない
そう感じて、私は前に
『――!』
気配を感じ、炎の魔力で後方を
魔力に任せた、軽い一撃。だが、人間を焼き
けれど、
『ヒドイコトヲスルモノダ』
ポンポンと、肩に付いた
『貴様……何者?
“天使”?“悪魔”?それとも“神”?“魔王”?
全身を光に包まれた真っ白い
『キミハエラバレタンダ、ロザリーム・シャル・ブラストリア。キミニハ、コレカライセカイニイッテモラウ』
『選ばれた?異世界?』
異世界――この世とは違う、他の世界。
この光の
いや、私はあの少年の言葉に
『ソウダ、ソレニトモナイ、キミニ【イノウ】ヲサズケヨウ……サァ、ドレガイイ』
並べられる、【異能】とやらの光の玉。
赤、青、黄、緑、様々な色の玉は、どれもが
どれもパッとしないわね。正直言って
そうして、私は何を思ったか。
『
右手に
『ソウカ……ソレモセンタクノヒトツナノダロウ。シカシ、ソウモイカナイノダトイワネバナラヌ。ワタシモ、コレガシゴトデネ……カッテダガ、コチラデエラバセテモラオウ』
勝手に選ぶとか、それはもう押し付けではなくて?
そんな事を考えながらも、光の
『ウム……コレニシヨウ。【ココウナルチカラ】……キミニピッタリノハズダ……』
『じゃあ、それで』
私は効果など聞かずに、その赤い光玉を受け入れる。
光玉は、私の胸に吸い込まれるように入り込み、すぅっと
『イイノカナ?タメサナクテモ……』
『いいわ。使わないから』
私は、出口?と見られる赤い魔法陣に向かう。
『ホウ、ヨクワカッタネ……』
『あの少年が描いていたものと、同じだったから……』
この空間に入ってすぐに、気付いてはいたのよ。
貴様が出てこなければ、そのまま向かっていたわ。
『ヨイイセカイライフヲ……――ンド……ドガ――イッ……ザ……』
そうして私は、エドガーのもとに旅立っていった。
背後で光の
そしてまさか、使わないと言った能力が、
◇
「……ちっ」
思い出して、舌打ちをする。
すると、その舌打ちに反応する人物がいた。
「――ん?」
気付かなかった?私が?
ああ、そうか、感覚も
「何をしているの?……
私は今、宿の一階、食堂に隣接する休憩所にいる。
先程、
そこに、こっそりと私の反応を
「や、やぁ……ロザリーム殿、お久しぶりになるわね……」
この国の第三王女ローマリア・ファズ・リフベイン、どうしてこの子が?
「何をしているのかしら……
この子がいるという事は、エミリアもいると思ったけれど、どうやら本当に一人のようね。
第三王女付き【聖騎士】、王女
それがエミリアの肩書らしいけれど、今いないんじゃ意味なくないかしら?
「実は、散歩をしていたの……それで、ここが目に入ったから、エドガーの様子でもと思って……見に来たの。でも、いない……のよね?」
絶対
第一、ひとりで
「エドガーは地下ね、他の子たちも一緒よ……
なんだか行きたそうな顔をしているので、先に
「そ、そうなの……残念だわ」
何をしに来たのかしら、この子。
そもそも【聖騎士】は何をしているの?
前回訪問してきた【聖騎士】は、確かこの子の
確かメイド服を着た、ノエルディアだったかしら。
「だから早く城に戻りなさい。騎士達が心配しているわよ?」
多分ね。この王女がこの王都の民に姿を見せたのは先日が初めてらしいし、まだそんなに
そんな事を考えていたのがいけなかったのか、ローマリアは左右の指をツンツン合わせながら。
「それなのだけど……私、ロザリーム殿ともお話をしたくて……」
「……」
私は、ため息を更に
けれども、こちらからも聞きたいことはあった。
「……私の部屋でいいかしら。ついてきて」
そう言って、私は二階に行く。
二階の客室の一つ、202号室。そこが私の部屋。
――仕方がないから、相手をしてあげる。
この王女の話は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます