98話【大きなウサギと小さな犬】
◇大きなウサギと小さな犬◇
【
正確な場所を言えばまだ第五区画だが、【
もぞもぞと、
ルーリア・シュダイハは、追手である
無理矢理に身体をねじ込み、強引にその
見る人が見れば、乱暴されたのではないかと
「――もうっ!何でこうなるのよっ……私は、私はただ……」
ルーリアを追っている
「……やばっ!」
ルーリアは
隠れる所が少ない【
子供の頃によく
少し走って、どうなっているかと振り返った
ドゴォォン!ガラガラ――と音を立てて、
男達には、
穴から出てくる
「へへ……まだあんなとこに居やがる」
「……早いもん勝ちだぜ?」
「おぉし、行くぜっ」
と、ルーリアを
「ふざけないでよっ!……確かに死にたいとか思ってたけど、私にだって死に方くらい選ぶ
しかもその命令を出したのが、ルーリアの実の父と弟、だと言うのがおぞましい。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ルーリアは走り、何度も転びそうになりながらも、小さな建物に隠れた。
ちらりと
「――は~い。見ぃつけた!」
ガシャン!と音を立てて、
「きゃあっ!!」
頭から
「おいおい~。まだこんなところにいたのかよ……探し
「――ぐぅっ!」
ルーリアを見つけた男は、ルーリアの傷付いた腕を
「お~いいねぇ……そそるぜその顔。おいっ!お前ら、早く来いよ……おっぱじめるぞ!」
男は外にいるとみられる仲間の
「――つぅっ!」
「おい!!何やってんだぁ……お前……ら……」
仲間の男達は、もれなく全員が
「――お、おいっ!!どうしたっ!誰にやられたっ!?……なっ!――し、死んでやがるっ!?」
心臓を一撃で
首を斬られた男。
「……く、くそっ!」
男は反転してルーリアのもとに戻る。
――しかし。
「――がぁっ!!……か、身体が……動かねぇ!」
急に全身が
「――無理に動かそうとすれば、
誰に言われることもなく、男に助言を与える。
その声の主は、ルーリアの横にいつの間にか居た。
【赤い仮面】を付け、眼を
「刺かっ――」
「な、なんだっ!お前っ!!」
ルーリアは
「ほう……意外に
サクヤは一人で
この男が【
サクヤ的に言えば
男は、サクヤの【魔眼】に
「やれやれ……
サクヤは、血を流す腕を押さえるルーリアに
そして男の
「……命が惜しいか?……す、しゆ?すだ?須田家?……この娘の家の
サクヤはシュダイハ家と言いたかったのだろうが、
どうやら
「……ちっ!俺もゴウケンのリーダーだ……
「――すまぬな……初めから生かす気はなかったよ。それに、口を割るとも思ってはいない……」
サクヤは左眼を
「初めから、殺すつもりだったのだからな」と。
「――
「むおぅ――っっぶ!?」
背の高いルーリアが背の低いサクヤに
苦しそうに
――降参だ。
「ああっ!ご、ごめん
「――ぶはっ……こ、殺す気かぁぁ!」
ブルンと揺れる
まるでエミリアがローザの胸に腹を立てたように、サクヤもルーリアの胸にキレかかる。
「お
暗い
「そ、そんなに怒らなくても……私、抜け出してきて疲れてるのよぉ……?」
「抜け出した!?あの
「私にも色々あるのよっ!ほら、今度
分かるもなにも、サクヤは
そう言えばルーリアには説明していなかったか?
サクヤを
「分かる。須田はお主、
「……?」
ルーリアは「は?」という顔をする。そりゃそうだ。
サクヤはまだ横文字に
須田はシュダイハ、老婆はロヴァルトだ。
お互いに
「ま、まぁいいとして、とにかくね、私はやめろって言ったの。貴族として
「……
シュダイハ家は、三日後の決闘を完全に勝てる気でいるらしい。
ルーリアはそうは思わず、覚悟をしたうえで
「父上と弟君の怒りを買った。と」
「……そうね」
「しかし、それだけで娘を殺そうとするとはな……」
それだけではなく、
まともな家族のやる事ではない。それどころか、人間としてまずい
「でも……おかしいわね」
う~ん。と考えて、ルーリアは
「なにがだ……?」
サクヤも少し疲れてきたのか、
「うん……
「――は!?……ば、
つい、サクヤは大きな声を出してルーリアを
「――ええっ!ごめん!」
サクヤは
「……ちっ!……どうやら、今すぐにでも逃げねばならんな……」
「……ごめん」
「わたしとした事が、気付かぬとはなっ……あの数を相手にするには【
「――う、うんっ!――あ、痛ぅっ……」
「ルーリア?どうした?――お
足首に近い
「
走ることは無理だろう。
サクラは近くにいるが、戦いに
「ごめん
「――ええい
「は、はい……」
「……ちっ!来ているな。ルーリア!
「――え、わっ!」
サクヤはルーリアを
「ぬぅぅぅぅぅぅ……!」
「ご、ごめ~ん……重くてぇ」
「……ここまでとは、思わなかったぞ。ルーリア」
背後から見れば、完全にルーリア一人。
サクヤはすっぽりと隠れている。
(サクラとメイリン殿のいる方に逃げるわけにはいかぬ……という事は……【
シュダイハ家の取り仕切る貴族街と
(正面を抜けるしかない……
エドガーは、現在どこにいるのだろうか。
エミリアと会う約束があるのは分かっているが、場所は聞いていなかった。
「【心通話】を……」
(
【
「……
サクヤは考えを
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