現場

次に連れてこられた場所は、璃茉の通学路の途中にある大きな横断歩道。

違和感があった。

道行く人が素通りしていく。

隣に璃茉の腕を掴んだままのナナカがいる。


「あんたは

「え? 学校に行く途中の一番大きな道……」

「分かってないようね」


璃茉の言葉を遮る。

ややあって。


「……あんたがした場所よ」

「───あ、ああ! 」


忘れていた記憶がフラッシュバックする。


……そうは、璃茉は由弥のお葬式の帰りだった。

虚ろな状態で、思い出の最後に見たネックレスを握りしめ、フラフラと帰宅しようとしていた。


───ブーブーブーブー!!!


車のクラクションが大音量で耳に入るも、認識したころには、振り向く余裕もなく、

声を発することなく空中に浮き、地面に叩きつけられた。

まるでスローモーションのように景色が変わっていく様が鮮明に蘇る。

……がちぎれ飛んでいくのを絶望の眼差しで見つめていたから。

あれは、2のプレゼント。最期のプレゼント。

そして、暗転した。


「ああ、ああああ……」

「思い出して悲観してるとこわるいけど、どんなものか思い出して」

「あ、う……」

「あんたがダブルショックで忘れていたことはわかった。だったら、絶望プレイバックする時間があったら、わよ」

「さ、がす? 」

「あんたが覚えてないのも無理ないワ。あんたにはにいたようにみえるけど、で地縛霊みたいに突っ立ってたのよ。抜かったワ。死んだ場所に居座るパターンテンプレ過ぎて。話す気力ないなら、飛んでった方指すだけでもして」


璃茉は混乱しながら、震える指を向けた。

曖昧でしかない。

しかし、ナナカは不確かな方向を探し始めていた。

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