天使の愚痴

「天使にランクがあるのはあんただってしってるでしょ? 能力与えられたり、隊の天使長になったりよ。ノルマをちまちまやってたって上がらないのよ。なんでかわかるぅ?

……騙し合いなの。如何に騙して取り分横流ししてもらうかで変わってくんのよ。頭いいやつが得するシステムなの。いい子ちゃんが損するってわけ。如何に信用をさせるかが要ね。優しい顔して物腰柔らかいやつほど稼いじゃうの」


説明をしているようで、愚痴だった。


「あたしは後輩の取り分をちょーっとだけ分けてもらっただけなのよ。ほんのちょっと足らなかったから! あたしを気に食わなかったのか、いい子ちゃん過ぎる後輩が天使長予定の糸目女に絆されてペラペラ話したもんだから……」

「はぁ……」

「根こそぎノルマ持ってかれてランク落としたのよ、後輩は! あたしだけじゃないのに擦りつけられてさ、鞭打ちされた挙句に堕天よ? やるならカモにしたヤツみんなやれって思うワ! 」


自分が悪いとは思っていないらしい。

連帯責任で罪を軽くとボヤく。

解決策にはならないだろう。


「天使も人間も何だか、似てますね」

「当たり前よ。格が違うだけでコミュニティだもの」


急に黙り込み、ジーッと璃茉を見つめる。


「……着眼点は間違ってないと思うのよ。は関係しているはずだワ」


ナナカは愚痴ったかと思うと、突然真剣に考えだす。

もしかしたら、根は真面目なのかもしれない。

頭はよくないかもしれないけれど。


璃茉は腑に落ちないことがあった。

どうもナナカは何かを隠している。

所々不自然な部分が見受けられた。

色々守秘義務じゃないかと焦る内容や、夢を壊すような発言をするものの、肝心な部分が欠けているような気がするのだ。

何かを隠すために多分に喋っている気がしてならない。

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