return days
姫宮未調
思い出巡り
「
「
「遅くまでお疲れ様」
「うん、ありがとう。でも、無理しないで帰っちゃってもよかったんだよ? 」
「璃茉を一人で帰せるかよ」
くしゃっと頭を撫でられる。
ああ、なんて幸せなんだろう。
───ベリベリベリベリ!
突如空間が、音を立てて破れた。
すべてが制止する。
「なん、で……」
「『なんで』じゃないわよ! あたしはあと何十回、何百回こんな過去を見せられつづけるのよ! 」
空間を破って出てきたのは、金髪ウェーブの美少女。
白と黒の一対の翼があり、左目が黒い。
人間じゃない。彼女は元天使の堕天使らしい。
「あんたさぁ? 見込み違いじゃなきゃ、確実にあたしが天使に戻れるだけの何かがあるはずなのに……なんでノロケエンドレスなのよ! 」
「そんなこと言われても……」
璃茉はこの堕天使を名乗るナナカに声をかけられてから、ずっと過去を戻り続けている。
人生のUターンと言うやつだ。
何でも、ヘマをしたから願いを叶えて天使に戻らなきゃならないらしい。
しかし、理由がとんでもなかった。
「あんた、天使はみぃんな純粋無垢だなんて思ってなぁい? ンなわけないっしょ。人間に個性があるように天使にも個性ってもんがあんのよ。みんなおなじだったらつまんなぁい。気持ち悪いぃぃぃぃ! うぇっ」
舌を出して吐く真似までした。
「上手くやってるヤツらもいりゃ、あたしみたいにヘマするヤツもいるワ。……ダメダメなヤツの末路なんか最悪ぅ。キレイなままは無理だったけど、あたしは一回目だからまだチャンスはあるの。あたしの悠々自適ライフのコヤシになるのよ、わかったぁ? 」
天使が聞いて呆れる。
「何したんですか、一体……」
「……うるさいわね。ンなこたいいのよ」
歯切れ悪く、話をぶった切る。
「それよりも! あんたが戻るべき過去探し再開するわよ! 」
そしてまた、過去を遡ってゆく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます