間話Ⅴ 「私は私として、生きていきます」


「……明日だね」

「え、え……そう、でしてよ。

 明日、私は婚約を破棄されますのよね?」

「うん、ゲーム通りにいけばだけど。

 ………………ねぇ、ミーラ。約束してくれる?」

「……最期、だからですの?」

「……うん。

 きっとわたし、今日でミーラとお別れだから。……たぶん、ミーラにわたしの記憶だけ遺して、それで。

 だから、お願い。最期に約束。


 ミーラはミーラとして生きるって。

 そう、約束してほしいの」



「……分かりました。

 私は私として、生きていきます」



 うん、約束だよ、と微笑んだ【彼女】と、【彼女】との約束を呑み込んだ【私】は、あの日の前日、


 『私』となりましたの。





 ☆☆☆





「……さて、そろそろかし……あら」

「お嬢様、卒業パーティーのお時間です」

「そう、今行くわ」

「かしこまりました」


 そして私は、婚約を破棄したあの場へ、向かいましたの。


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