第28話 決着
ルリは邪悪な笑みを浮かべて飛び跳ねた。それに真由と鈴丸は身構える。だが、彼女達の予想に反して、ルリはまったく別の場所に着地する。そこには二人の若者が居た。彼らはルリに魅了され、ただ、そこに立ち尽くしている。ルリは彼らの股間に両手を当てる。そして、器用にチャックを下ろし、イチモツを出した。すでにある程度、大きくなったそれを彼女は摩り、更に大きくする。すると、彼らはそれぞれ、聖剣へと変化して、ルリは両手に剣を持った。
「二刀流だと?」
鈴丸はそれに驚く。
「姫騎士の中には数本の刀を同時に使いこなす人も居るとは聞きますが」
真由も驚きながら、昔聞いた話を思い出す。
「それって・・・つまり乱交するってことじゃろ?」
鈴丸の言葉に真由は顔を赤らめる。
「おいおい、余裕だな?」
ルリは両手に持った剣を前で交えて、構えながら二人を睨みつける。
「お前こそ・・・余裕たっぷりじゃねぇか?」
鈴丸も鉄棒を構えて、睨み返す。
「あぁ・・・興奮してきたよ」
ルリはニヤリと笑った瞬間、疾風ように鈴丸へと飛び掛かった。二本の刃が躍る。
鈴丸は金棒で防ぐが、一の刃で弾かれ、二の刃が金棒を断ち切った。
「ぬぅ!」
宙を舞う金棒。鈴丸は咄嗟に後に飛び退き、薙ぎ払われた刃を躱す。
「はははっ!逃げろ!逃げろ!」
ルリの刃が鈴丸を追う。だが、その刃を横から飛び込んで来た真由の刃が止める。
「ほぉ、邪魔をするか?」
ルリは真由を見て、構え直す。
「もっと・・・もっと、堅く・・・堅くなって」
真由は優しく・・・だが、強く刀を摩る。それに呼応するように刃はより黒光りし、堅さを増していく。
「小娘・・・まともに人間も殺した事の無いお前が・・・この二人の人間の命を奪えるか?」
ルリは二振りの刀を見せつけるようにする。その言葉に真由は眉間にしわを寄せる。
「外道が・・・いや、悪魔だったな。そもそも外道でしたね」
真由はニヤリと笑う。
二人は少しづつ、間合いを詰める。
真由はゆっくりと息を吐く。
「全集中」
そして、大きく息を取り込む。
「エロの呼吸・・・壱の型」
「ちょっと待て・・・なんじゃそりゃ」
真由の言葉に鈴丸が呆れたようにツッコむ。
「最近、映画を見て、覚えたのです」
真由はサラリと答える。それを聞いたルリも茫然とした。
「いやいや・・・この場面で使うの?」
「使ってみたかったんです」
「何もこの場面で使うことじゃないわな」
シラけた雰囲気になる。ルリは改めて剣を構える。
「仕切り直しだ」
「そうね」
真由も構え直す。その間に鈴丸は適当な所から金属バットを手に入れて来た。
ルリと真由が同時に飛び掛かる。
ルリの壱の刃を真由は一閃して、切り落とした。
「ぬうううう!」
ルリは手にしていた剣が折られ、人間の形に戻ってしまい、それが身体に当たる。一瞬、体勢が崩れた。真由は真っ二つになった男の身体に刃を突き立て、貫通させた。男越しに放たれた突きがルリを襲う。目の前に迫る切っ先をルリは紙一重で躱す。微かに額に傷が出来た程度で何とか躱し、転がるようにその場から離れる。
「やり損ねたようですね」
真由は刃を死体から抜き、構え直す。
「はぁはぁはぁ・・・前とは違うという事か」
ルリは焦りを感じつつも余裕を見せるかのように笑みを浮かべる。
「はははっ、押されているな。悪魔!」
鈴丸がそこに飛び掛かった。振り下ろされる金属バット。
「五月蠅い。鬼!」
ルリは打ち込まれた金属バットを躱しつつ、鈴丸に斬り掛かる。
「ふんっ!」
鈴丸は金属バットでその刃を叩く。
「軽いが・・・振り回しやすいな」
金属バットをクルクル回す鈴丸はルリに連打を食らわす。全ての打撃を防ぎ切れず、腕や足にダメージを受けるルリ。
「おのれぇえええええ!」
ルリは怒りの形相で刃を振るう。鈴丸も懸命にそれを防ぐ。
ルリが降り終えた瞬間を狙って、真由が飛び掛かる。ルリは斬られると思って、飛び退く事を優先した。だが、真由の狙いはルリでは無かった。振り終えたばかりの刃に一撃を浴びせる。一瞬にして、刃は折られ、真っ二つになった人間に戻る。
「くぅ・・・」
刃を全て失ったルリはまずいと思ったのか、飛び退きながら、逃げ出そうとする。だが、それを易々と許す鈴丸では無かった。
「おらぁああああ!」
渾身の一撃がルリを吹き飛ばす。くの字に折り曲がった身体は10メートルは飛んだ。そのまま、アスファルトに叩き付けられる。
「今だっ!」
鈴丸が叫ぶ。今の一撃なら確実に骨のニ、三本は折れている。簡単には立てないはずだった。
「死ねえええ!」
真由は刀を大きく振りかぶり、倒れたルリに突き立てるべく飛び掛かる。
「やられるかぁあああ」
ルリは苦痛に顔を歪めながらも真由の一撃を躱さんと這いずるように動き出す。
だが、それはあまりにも遅かった。
真由はルリの背中から心臓を突き刺す。
ルリの身体を貫いた刃の先からは血が多量に噴き出す。
「ぬあああああ、身体が、体が・・・」
ルリは激しくもがき苦しむ。数十秒程度、彼女が苦しんだ後、動きは停まった。
「鬼を滅しました」
真由はルリの身体にすでに悪魔が居ない事を察した。それから刃を抜く。
「やっとやったか・・・」
鈴丸も溜息をつきながらルリの死体を眺める。
「今回はかなり苦戦しましたね」
真由は柄を舐める。すると射精を終えた俊哉が姿を現す。
「お、終わったんだね」
俊哉の身体にも多く傷がある。
「ご、ごめんなさい。かなり無理しちゃって」
真由はその姿を見て、謝る。
「い、いいよ。真っ二つになったわけじゃないし」
俊哉は真っ二つになって内蔵をぶち撒いている死体を眺めつつ、そう答える。
「何にしても早くしないと、警察が来るぞ。厄介だ。行くぞ」
鈴丸に言われて、二人はその場を後にした。
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