第13話 悪魔っ子はマジでヤヴァめなんだけど・・・

 制服を着崩し、スカートを極端に短くし、褐色の肌のスラリとした脚を晒す。

 金髪に青い瞳のギャルはケラケラと笑いながら街を闊歩する。

 まさにギャルだが、その美形に街行く男は誰しもが彼女を見る。

 無論、ナンパだって、よくあるし、彼女はそれを拒まない。

 軽い女。

 そう言えば、そうかもしれない。

 だが、それは決して、男にとって、都合の良い女じゃない。

 彼女に魅了された男は全てを失うまで吸い尽くされる。

 それは命だって。

 何故なら、彼女こそが悪魔なのだから。

 彼女はが男を拒まないのは単純に生命力を奪う為。

 性行為でこそ、最大限に生命力を奪う事が出来る。

 そして、そうする事で彼女の傀儡に成り下がる男を次々と作る。

 生命力も金も奪い、無くなれば捨てる。

 それが彼女である。

 名を小金井・D・真知子。

 アメリカと日本のハーフとなっている。

 都内の高校に通い、彼女の周囲にはギャルの仲間が集まる。

 皆、性に開放的で、快楽の為なら、どんな悪い事でもやっちゅうような輩ばかりだ。その考えの全ては悪魔である真知子が広めている。彼女の魅了の力は人間を堕落させる。

 酒も煙草もセックスも・・・彼女は全てを想うがままに楽しめばよいと人間達に広める。

 余程の精神力が無ければ、彼女の魅了からは逃れられない。少しでも心の隙があれば、そこに彼女の力は入り込み、心を奪っていくのだ。

 「ははは。もう、超たのしー!」

 女子高生でありながら、酒を煽り、男を手あたり次第、咥え込む。煙草も薬物も楽しければ、全てやる。

 イジメや犯罪も面白ければ、何でもやる。

 まさに悪魔だった。

 そんな彼女が嫌うのは当然ながら、姫騎士である。

 「さて・・・この辺りに姫騎士の学校があるって聞いたけど」

 彼女の目的は姫騎士の殲滅。

 世界中で悪魔と姫騎士の戦いは苛烈となっている。

 この極東においてはまだ、その戦いは燻っている状態だ。

 だが、姫騎士を統括する聖ロアンナ騎士団はこの地に姫騎士を派遣した事を悪魔達はネットワークを通じて、知っていた。

 姫騎士の多くは10代後半から20代まで。30代以上も居るが、姫騎士の力は子を授かる事で失われる為、極僅かである。

 

 「あなた・・・悪魔ですね?」

 仲間を引き連れて遊び回っている真知子の前に立ちはだかる男女。

 「てめぇ!なんだ?」

 真知子の仲間の悪そうな男子が怒鳴る。

 「黙れ」

 真知子は一言で彼を黙らせる。

 「ふふふ。探す手間が省けた。まったく、姫騎士は我等の事が解るのに、こっちは人間の区別がつかないのは不便ねぇ」

 真知子は制服の上着を脱ぎ棄てる。その瞬間、空間が歪んだような感じになる。

 「結界を張ったわ。さぁ、殺し合いましょう?」

 真知子は豊満な胸元からペンダントを取り出し、それを手にした。ペンダントは光を発し、棒状に変化する。

 「この槍でその身体を八つ裂きにしてあげる・・・どんな声で啼いてくれるかしら」

 真知子は恍惚の笑みを浮かべながら、黒い三又の槍を舐める。

 彼女の前に立ちはだかった赤髪の白人女子は隣の金髪の白人男子の股間に手を伸ばす。すでにチャックは開かれ、それなりに大きなモノが剥き出しになっていた。

 「滅してやるわ」

 女子が男子の股間を掴み、擦ると、彼の身体はロングソードへと変化した。彼女はそれを構える。

 「ははは。いつものエロエロな鎧は着なくていいのか?」

 真知子は面白そうに茶化す。

 「ふん・・・鎧など無くても、お前のような悪魔一匹・・・問題は無い」

 女子は一気に真知子に向けて飛び掛かる。

 「バカな女だ。剣が槍に勝てるか」

 真知子は軽々と細身の黒い槍を構え、素早く突き出す。

 女子はそれを剣で受けるも次々と突き出される槍に躱し切れず、身体の彼方此方を刃が掠める。制服はボロボロになり、白い肌が露出していく。

 「ははは。段々、エロくなってきたか。お前の剣も堅くなってきたぞ?」

 槍を受け止めた剣は確かに堅さを増していた。

 「ここからが勝負です」

 ボロボロになりながらも彼女は真知子を睨みつける。

 「怖い怖い。殺すのも惜しいが・・・こっちも事情があってね。悪いが、この辺りの姫騎士は皆殺しにさせて貰うよ」

 真知子は笑いながら左手を槍から話、掌を女子に向けた。刹那、黒い塊が生まれ出す。

 「なぁ!」

 女子はそれが危険だと感じたが、刹那、黒い光は女子に向けて放たれた。

 一瞬で女子の身体は吹き飛ばされた。

 彼女の手から離れた剣は地面に落ち、変身が解けた男子が転がる。

 「ふん・・・他愛もない。死んだか。薬漬けにして遊び倒しても良かったがな」

 転がった男子は震えながら逃げ出そうとする。その尻を真知子は蹴り飛ばす。

 「ははは。お前はまだ、使い道がある。じっくりと聖剣を味わせて貰うからな」

 男子は彼を踏みつけながら笑う真知子に恐怖した。

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