第11話 いつでもヤレそうなのに、まだ童貞って・・・

 鈴丸と真由の睨み合いで昼休憩は終わり、午後の授業も終わった。

 「俊哉さん!」

 真由が慌てて、教室に駆け込んできた。

 「ほぉ、生娘がやって来た」

 鈴丸がおもしろそうに真由に言う。

 「あんたみたいなビッ」

 何かを言おうとした真由は周囲を気にして、顔を赤らめる。

 「ビッ?ビツがどうした?」

 鈴丸はそんな真由を面白そうに揶揄う。

 「とにかく・・・不純な事はしてないでしょうね?」

 真由は鈴丸に詰め寄る。

 「不純とは?」

 それを更に揶揄うように鈴丸は投げかける。

 「ふ、不純・・・とにかく、俊哉様に手を出さないでください」

 真由の荒げた声に教室に残っていた生徒達が興味津々に見ている。

 「あ、あの真由さん・・・ちょっと・・・」

 俊哉はオドオドしながら真由を落ち着かせようとする。

 「はははっ!お前の言う不純とはこういう事だろ?」

 鈴丸は俊哉の左手を取って、胸元へと滑り込ませた。

 「なっ!」

 その行動に驚く真由と俊哉と一部の生徒達。

 「す、鈴丸さんっ!何をっ!」

 俊哉は慌てて、手を抜こうとするが、鈴丸の握力は圧倒的に強く、外せる感じがしない。

 「はははっ、ただの人間が私の手を外せるわけが無い」

 それを見て、鈴丸は楽しそうに笑う。

 「やめなさいっ!」

 真由は鈴丸に喰って掛かるが、単純に力だけでは敵うはずも無く。

 「はははっ。まぁ、冗談はこのくらいにしようか」

 鈴丸が満足してやめるまで、俊哉の股間は弄られ放題であった。

 「こいつの巨チンを弄るのも面白いが、悪魔の話をしようと思ってな。ここじゃ、話がし辛い。どこか他人の目の無い所は無いか?」

 鈴丸に言われて、真由は自宅を提案するが、俊哉はあの母親の事を考えて、近くのカラオケ屋に行くことを提案した。

 真由は何故かカラオケ屋に行くことを渋るが、鈴丸もカラオケ屋と聞いて、嬉しそうにしていたので、そのまま、決まった。

 

 駅前にあるカラオケ屋に到着。

 鈴丸は駅前の雰囲気に興味津々のようで、彼方此方を見て回っている。反対に真由は何だか、恥ずかしそうに挙動不審になっている。

 「あの・・・二人共、入りますよ?」

 俊哉は二人を連れて、入店する。

 そのまま、指定された部屋に入ると、鈴丸が部屋の中を興味深く見渡す。

 「ここはエッチするにはピッタリだな」

 「何を言っているんですか?」

 鈴丸の一言に真由が真っ赤になって叫ぶ。

 「あの・・・ここ、ちゃんと監視カメラがありますから、あんまり無茶をすると追い出されますよ」

 俊哉が冷静に答える。

 「なんじゃ・・・まぁ、人に見られていると言うのも・・・」

 「変態です。変態!」

 何だか五月蠅い二人を他所に俊哉はドリンクバーのグラスを持って、外に出た。

 

 不意に二人きりにされた鈴丸と真由。

 「俊哉様も居ませんし・・・ここであなたの真意を聞かせて貰うわ」

 真由は制服のジャケットの懐からお札を取り出す。

 「真意?昨日、話しただろ?この地の悪魔を滅するだけ」

 「だけど・・・悪魔はあなたと同じ存在でしょ?」

 「そうだ。だが、お前らだって、人種や外国人に対して、別だと感じる事があるだろ?我々だって、同じだ。同じ存在だと言われても本来なら言葉も違えば、考え方も違う。人間の生命力を食うことは同じでも、その食い方なども違う。我々、鬼からすれば、悪魔は荒くれものじゃよ」

 「あらくれ・・・とても、鬼が言う言葉じゃないわね」

 真由は呆れたように言う。

 「何にしても・・・あいつらがこの国にまで手を伸ばしてきたのは気に入らない」

 「しかし、悪魔はどうやってこの地に?」

 「簡単じゃ。お前らと同じ、飛行機や船に乗ってだよ」

 「はっ?」

 一瞬、真由は頭が真っ白になる。

 「ふむ・・・私がこうして、人の姿をしているのと同じで、悪魔も高位になれば、人の姿もしてるし、知性も高い。しかも、結構、金持ちも多いのらしい」

 「そ、そうなんですか?」

 「あぁ、悪いが、長い寿命と人の意識を操る魅了の力があれば、幾らでも成功などは出来る。まぁ、贅沢な生活も楽しいが、一番は人の生命力を喰らう為とその痕跡を隠す為に必要な力だからという事だよ」

 「なんか・・・納得が出来無いわね。じゃあ、財政界に鬼や悪魔は深く入り込んでいると?」

 「そうじゃ。私達みたいな高位の鬼や悪魔は古よりもそうやって人と付き合ってきた。まぁ、やり過ぎて、人に始末された者も多いがね」

 「と、当然です。本当ならば、あなただって・・・」

 「私は穏健派じゃ。その気になれば、相応の所から私を滅せぬように指示が出る手筈なのだよ」

 「何ですかそれは・・・。意味が解らない」

 真由は少し混乱した様子だった。そこにグラスを持った俊哉が入って来た。

 「あの・・・皆さんはドリンクバーは?」

 「そうじゃな。こういう所は初めてだから、堪能しようかね」

 鈴丸はグラスを持って、出ようとした時、真由も慌てて、グラスを持って、ついて行く。

 「ま、待ってください」

 「なんじゃ、連れションじゃあるまいし」

 「ど、どこにあるか解らないので一緒に行きましょう」

 恥ずかしそうに真由が言う。

 「おや?なんじゃ。お前もカラオケ屋は初めてか?」

 「こ、こんな不良のお店・・・」

 「不良じゃと。ははは。やっぱり初心じゃな。そんなんじゃ、俊哉とヤルんじゃ?お前がヤル前に私とヤッちゃうぞ?」

 鈴丸は大笑いしながら真由を揶揄う。あまりに下品な揶揄い方に俊哉も恥ずかしくなる。

 「ヤルヤル言わないでください!早く、ドリンクバーに行きますよ!」

 バタンと扉が閉まり、俊哉は一人残され、寂しく、タブレットで曲を選び出した。

 「ヤレるって・・・そうなのか」

 不意に手を止めたが・・・改めて、グラスの中の炭酸飲料を一口、含み、曲を選んだ。

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