第4話 白いノート

さて、家に帰ってきて何かやることはあるかと考えたらさっきルナフ化していた時の師匠の話の通り箒だなと思った


「お母さん、ちょっと買い物したいんだけど」

「何を買うの?」

「箒とランタン」

「魔法使いだしね、お小遣い足りる?」

「貯金が趣味だから余裕」


ちなみに鑑定の結果は家族に話した。やっぱり魔法使いというところに食いついてきた。


いつも通り自転車で行こうとして気づいた。身長が20cm低くなっていることに。サドルを下げてから出発した。


************


ただいま


何にも問題なかったよ

強いて言うなら俺と同じように箒を買いに来ていた人がチラホラいたぐらいだ。ランタンを買う人は俺以外いなかった。夜間飛行はどうするつもりなのか?


《さて箒を調達してきたね、ところでなぜ箒で飛ぶと思う?》


ルナフの記憶の中の師匠が箒に立ち乗りをして聞いてきた


なんで箒で飛ぶかって……なんでだろう?


《うん答えられなくていいよ。世の中の98%の魔法使いがその答えを知らないから。答えは地面に書いた魔法陣を消すために箒を使っていてそれを利用して空を飛び始めたから》


魔法陣を消す? なんのために?



《最近の魔法使いは設置型の魔法を使わないから箒で消すということもない。ちなみに魔法陣を消す理由は魔法陣が残っていると本人特定されちゃうからね。残留魔力や魔法陣の書き方で流派から特定してくるから注意すること》


はーい


《よし、早速箒を加工しよう。できるなら箒も自作したかったけど無理だと思うし。まずは魔法を流し込む》


脊髄から左手を経由して掴んでいる箒に魔力を押し込む


《最初は通りが悪いから強めにね》


記憶とはいえ目の前にいるような感覚で師匠に教わる


《魔力を通して抵抗がなくなったら第1段階終了、次は箒に空を飛ぶ魔法をかけるよ。全属性共通の飛行魔法はこの前魔法式を渡したよね》



あーあれか



《あれは使わない》



なんで渡した!


《あんな簡単なので飛んだら面白くないから、ただ風を起こして飛ぶなんて。宇宙空間に出たら使えないよ》


ごめんなさい、行く予定がありません


《というわけで教えようと思ったけど、まだ教えるには早いかな? じゃあね》


立ち去った



は?


************


軽く混乱している。


ルナフの記憶の中にいる師匠は教えてくれなかった。


黒歴史ノートの小説では教えたことになっている筈だ


慌てて自室に行き机の引き出しからノートを出す。5冊ある中で一番古いノートを開き思考が停止した。


途中まで……ルナフが師匠に箒の加工を教わっているシーンの途中、第1段階までしか書いてなかった。

それより先は白紙だった。


他のノートに関しては何も書いていなかった。


ただ白いページが広がっているだけ。

今まで書いたものが全て消えてしまっている。


全部のノートを何度も見返してもなかった

そして記憶からも無くなっていた。

ただぼんやりと何かあったようなぐらいしか分からない。

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想像の世界〜自分のオリキャラになりました〜 旧天 @kyuuama

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