第3話 語り手
空那も眠ったことだし、そろそろ私についての話をしようと思う。お前誰だって思ったな?だからそれを今から説明するんじゃないか。・・・空那の話をするべきなのは分かってる。でも、ちょっとだけだから。ね?ちょっとだけ。私も寂しいんだ。話し相手がいなくて。お、聞いてくれるのか?では、自己紹介を始めよう。
まず、私はevaという。私たちevaは、特に実体はなく、意識だけの存在だ。1つの平均寿命は約600年ほどで、ほとんどが短くても400年は存在する。かくいう私ももう500年ほどになる。
私たちevaと生命は深く関わりあっており、例えば人であれば、80年という体の限界があったとして、80年を迎える前にevaの寿命が来てしまえば、それがその個体の命の終わりとなる。evaが老いぼれてくると、個体が病気になりやすくなったりもする。だから、できる限りそうならないように新しいevaに引き継ごうとはするものの、あまり解明されていない病気にかかったりすると、時間が足りず、引き継ぎに失敗することも多々ある。幸い私はそういう場面に遭遇することはなさそうだが、もしそうなった時のシュミレーションは、毎晩空那が眠っている間に行うようにしている。本当だ。決して空那の記憶に干渉して漫画を読み漁ったりなどしていない。
空那は、私が結びついた9つ目の生命である。1つ前も人間の雌で、とても健康な身体だったのだが、交通事故に遭い、死んでしまった。事故に遭ってしまうとevaにはどうすることも出来ない。何年も見守ってきた生き物の死を目の当たりにするのはやはり辛いものである。だから、空那にはこれからの人生も事故に遭わないでいて欲しいと、初詣の際に神に願っておいた。空那は、クラスのことばかりであったが。
長くなってしまって申し訳ない。次からはちゃんと空那の話をするから、ため息なんてつかないでくれ。これで自己紹介は終わりだ。最後まで聞いてくれた方々に感謝する。
さて、今日もヒュミ、グフンゲフン、シュミレーションをするとするか。(誰も、聞いてないよな?)
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