第2話 忘れ物常習犯
優花と同じクラスになれずに落ち込んでいる空那だが、もともと人に好かれやすい性格なため、このクラスにも友達はいる。代表的なのは、小学校の頃からの友達である、
「世奈、昨日更新されたの見た?」
「見た見た見た!G掴んだ手で顎くい、からの」
「「いつでもオレを頼れって言ったろ?」」
「しかもドヤ顔だし(笑)」
ついこの間まで落ち込んでいたのはなんだったのかというくらい、楽しそうにキャハハと笑っている。最近は、来月の修学旅行の話で盛り上がることが増えた。
「修学旅行沖縄じゃん?絶対海綺麗だよね」
「2日目だよね。バナナボートめっちゃ楽しみ!水族館も行きたいなー」
「それは3日目の自由行動でだね。
「大丈夫、大丈夫。予定はあたしらに任せるって言ってたし。好きにしよーぜ」
奥村と名倉は、空那と世奈と同じ班の男子たちである。
奥村は色白で背が高く、頭が良い。顔もまあまあ良いのでモテそうなのだが、結構な不思議くんなため、そうでもなかったりする。
一方の名倉はというと、運動神経抜群で頼れる、サッカー部のキャプテンである。きりっとした眉毛と、いつも笑顔を絶やさないことから、女子にモテモテである。
「そーいえばさー、世奈、奥村のこと好きって言ってたじゃん?告るの?」
「修学旅行でってこと?嫌だよ。振られたら後が台無しじゃん」
「まあそうだけどさ、奥村、割と脈ありだと思うけどな。それに、早くしないと誰かにとられちゃうかもよ」
「うっ、それはそうだけど・・・。あ、ほら、チャイム鳴るって、急げ!」
「あっやばい。何も準備してない」
慌てて準備を始めた。5時間目の準備はいつもこんな感じである。これのせいで準備し忘れるものがあったりということをもう2年も繰り返しているのに、いまだに学ぶ気配がない。
5時間目に良く授業がある国語の先生にとって、空那は忘れ物常習犯である。学校には持ってきているが、ロッカーに入れっぱなしということが、3回に1回のペースで起こるのである。この話を他の先生にしたところ、話した全員にきょとんとされて首をひねっていた。空那は、5時間目の忘れ物さえなければ完璧な優等生なのである。といっても、私語することなく授業を受け、提出物を期限通りきちんと提出し、地頭の良さを生かして学年でもまあまあ上位の成績をとる。それだけである。それだけで、何でもできそうという過大評価を受け、そのせいで大変なこともあるが、まあ第一印象は良いに越したことはない。
ああ、やっぱり今回の授業も何か忘れたようだ。慌ててロッカーに取りに行っている。この計画性の無ささえ改善できればなぁと、いつも思う。
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