第46話

 ようやく七階層をクリアしたことで、家に帰って来た俺は、ドロップアイテムを確認してる際、あることに気づく。


「そうだ! このテイオウイカ、契約するなら七階層に行かないと!」


 今回の戦利品の一つである、テイオウイカの魔石。

 ボスの魔石であることから、おそらく今回も普通の契約が成功すると思うのだが、簡易契約をするにしろ、家ではとてもできない。

 チャージフィッシュは家の風呂場で簡易契約できたが、ケンガの時も七階層で行ったのだ。


「どうする……? 今日は疲れてるけど、どうせなら今日中に終わらせた方が楽ではあるよな……」


 それに、解放された八階層に挑む際、そこがまた水の中とは限らない。


「……仕方ない。契約だけして戻って来るか」


 そう決めた俺は、再び七階層へと向かった。

 そして、テイオウイカの魔石を手にすると、契約を行う。


「オォオ」

「やっぱりボスは成功するんだな」


 難なく契約に成功し、テイオウイカが仲間に加わった。

 しかも、初のBランクである。


「名前は……そうだな……カイザーはどうだろう?」

「オォオ」


 本当にセンスの欠片もないが、せっかく『テイオウ』って付いてるんだし、いいだろう。

 無理やり納得した俺は、テイオウイカの能力を確認した。


【テイオウイカ(カイザー)Lv:1】

≪超回復≫≪水属性魔法Lv:8≫≪近接戦闘術Lv:6≫≪擬態≫


 カイザーの能力を確認したところで、俺はアインスたちも召喚する。


「みんな、俺は次の階層に向かうんだが、次の階層に水辺がなければ、みんなを召喚するのは当分先になるかもしれない。ごめんよ?」

「オオ」

「きゅい!」

「シュッ」


 前もってそう伝えておくと、みんな快く頷いてくれた。

 果たして次の階層がどうなっているのかは分からないが、また水中での活動になれば、アインスたちの力を借りよう。

 アインスたちの召喚を解除すると、今度こそ家に帰還するのだった。


***


「さて、契約は終わったし、残りのドロップアイテムを確認するか」


 基本的に探索を優先し、魔石だけ確認しては契約していたので、他のドロップアイテムは放置気味だったりする。

 俺は一度、七階層で手に入れたドロップアイテムを並べていった。


【突撃魚の口先】……チャージフィッシュの口先。非常に鋭く、加工すれば武器になる。

【突撃魚の身】……チャージフィッシュの身。白身。淡泊な味わい。栄養価が高く、非常に美味。

【格闘蝦蛄の堅殻】……バトル・シュリンプの殻。非常に硬く、防具の素材として優秀。防具に加工すると、水に対して様々な効果を得る。

【格闘蝦蛄の身】……バトル・シュリンプの身。引き締まっており、非常に美味。

【帝王烏賊の皮】……テイオウイカの皮。弾力性に優れ、打撃に対して高い効果を発揮する。防具に加工することができる。

【帝王烏賊の吸盤】……テイオウイカの吸盤。非常に強力な吸引力を持つ。

【帝王烏賊の身】……テイオウイカの身。独特の食感が特徴的。大味だが、美味。


「う、うーん……」


 並べたドロップアイテムを前に、ついつい唸ってしまった。

 というのも、食料になりそうなアイテムはともかく、他は現状使い道がないのだ。

 武器や防具に加工するにしても、その技術が俺にはない。

 誰かに頼むとしても、そんな伝手もなければ、まだランクの低い今、色々問い詰められるのがオチだ。

 解決策としては、俺が加工できるようなスキルを習得することだが……まだ神髄系のスキルを獲得できていない以上、優先度は低い。

 本格的に闇市みたいなところの利用を検討したほうがいいかなぁ……。

 ため息を吐きつつ、俺はドロップアイテムを倉庫に収納した。

 とはいえ、食料系が有難いのは間違いない。テイオウイカの身はともかく、バトル・シュリンプもチャージフィッシュも結構倒したからな。

 ドロップアイテムの確認を終えたところで、俺はBPなどを振り終えたステータスを確認した。


名前:神代幸勝

年齢:22

種族:人間Lv:36→40

職業:召喚勇士Lv:30→34、トレジャー・マスターLv:20→24、ネクロ・ロードLv:20→24、武闘戦士Lv:20→24、オリジン・スペラーLv:5→9、アクア・マスターLv:1→5

MP:466→546(+620→1520)

筋力:227→279

耐久:227→279

敏捷:230→262

器用:228→280

精神:227→279

BP:80→0

SP:3→23

【オリジンスキル】

≪鬼運≫≪不幸感知≫

【ユニークスキル】

≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:MAX≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:2≫≪高性能マップ≫≪時属性魔法Lv:4→6≫≪経験値獲得量増大≫≪適応体≫

【スキル】

≪精神安定≫≪解析≫≪同化Lv:1→3≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪偽装≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫≪受けLv:8≫≪魔物図鑑≫≪強制起床≫≪即時戦闘態勢≫≪脱皮≫≪無詠唱≫≪完全詠唱≫

【武器】

≪中級棒術Lv:1→5≫≪投擲Lv:2≫

【魔法】

≪火属性魔法Lv:3≫≪水属性魔法Lv:5→8≫≪風属性魔法Lv:5≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:4≫≪神聖魔法Lv:3≫≪空間魔法Lv:5→6≫≪生活魔法≫≪召喚術≫

【称号】

≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫≪ユニーク・ハンター≫≪無名の兵≫≪魔法の創造者≫≪死に挑みし者≫≪水人≫

【装備】

身代わりのペンダント、流水棍棒

【所持G《ゴールド》】

4G

【契約】

ブルーゴブリン×1、レッドゴブリン×1、ゴブリン×6、スケルトン・ソルジャー×1、スケルトン×8、メタルスライム×1、ダーク・バット×1、白狼×1、グラスウルフ×10、ゴーレム×3、キックバード×2、ハイ・リザードマン×1、リザードマン×5、バトル・オルカ×10、バトル・シュリンプ×1、チャージフィッシュ×5、テイオウイカ×1


 新たな職業【アクア・マスター】が、筋力と器用が伸びるせいか、耐久が他より低くなるようになった。

 そこで、BP80のうち、20を耐久に振り分けて他のステータスと数値が近づくようにした後、残りのBP60をMP以外のステータスに均等に振り分けた。

 アインスたちと契約した影響もあって、MPは本当にめちゃくちゃ増えたからな。

 それと、どうやらBランクの魔物と契約すると、MPは100増えるらしい。かなり大きいな。

 また、いくつかの魔法スキルがレベルが上がったことで、新たな魔法を習得した。

 それが以下の通りだ。


『タイムストック』……対象の時間をストックし、別の対象に付与することが可能。

『エンチャント・スロー』……無機物にスローを付与する。

『エンチャント・アクセル』……無機物にアクセルを付与する。

『エンプティシールド』……空間を遮断し、空の空間を生み出すことで、相手の攻撃を防ぐ。

『エンチャント・アクア』……無機物に水属性を付与する。

『アクアバレット』……水属性の弾丸を撃ち出す。

『アクアランス』……水属性の槍を撃ち出す。

『アクアブースト』……水属性魔法の威力を倍増させる。他者へ付与可能。


 いくつか前に習得して使っていなかったものも存在する。

 『タイムストック』なんかは、効果がよく分からなかったので、使ってない。

 一応確認したところ、例えば車が走っていたとして、その車から時間……つまり速度を奪い、別の何かにその車の走っていた速度を付与するといった感じの効果だった。

 これを使って自分を加速させる場合、普通にアクセルを使うより魔力の消費量が少ないのだが、俺は元々全体的に魔力消費量が少ない上に、魔力回復量も多いので、普通にアクセルやスローを使う方が楽だった。ワンクッション動作をはさまない分、応用がきくしな。

 それとエンチャント系だが、今までの魔法は仲間にかけたりすることはできても、無機物……武器などに付与することができなかった。だが、これを得たことで、武器や防具にも付与可能になったのだ。

 それ以外としては、自分の強化だったり、新たな攻撃魔法だったりと、まあ使っていけば色々分かるだろう。

 俺に関してはそんな感じで、今回の探索でネクロはソウガたちを超えるレベルになった。


【ネクロLv:15→19】

≪剣術Lv:中級剣術Lv:1→5≫≪中級盾術Lv:1→5≫≪頑強≫


【アッシュLv:13→15】

≪液状化≫≪金属化≫≪溶解≫≪形状記憶≫


 アッシュは戦闘に参加できていなかったものの、その場にいただけで多少の経験値はもらえたらしく、二つレベルが上がっていた。

 そして、アインスたちは……。


【アインスLv:7→11】

≪連携≫≪反響定位≫≪水属性魔法Lv:7→8≫≪近接戦闘術Lv:5→8≫


【ケンガLv:1→5】

≪近接戦闘術Lv:9≫≪超視覚≫


【チャージフィッシュLv:1→3】

≪突撃≫≪連携≫


 【経験値獲得量増大】のスキルを手に入れたわけだが、それでも簡易契約したチャージフィッシュたちのレベルの上りは遅かった。


「順調に成長できてるな。この調子で次の階層も行けるといいんだが……」


 まだ次がどんなところなのか分からないので何とも言えないが、明日、しっかりと準備して挑もうと思うのだった。

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