第22話
家に帰ってきた俺は、いつも通り回収したドロップアイテムを確認していった。
【魔石(メタルスライム)】……ランクDの魔石。魔力の結晶。この魔石にはメタルスライムの情報が刻まれている。
【メタルスライムの核】……メタルスライムの核。スライムの核とは異なり、非常に硬い。
【スライムメタル】……メタルスライムの体の一部。金属でありながら、スライムの特性を持つ。
「相変わらず素材系は何に使うのか分からんな……」
普通のスライムの体液は物を溶かす特性があるようなので使い道も何か考えられそうだが、このメタルスライムの素材は何に使えばいいのか分からない。もしかしたらゲームみたいに鍛冶とか錬金で使うのかな? てか、錬金スキルなんてあるんだろうか? ……今は欲しいスキルがあるので調べるのは今度にしよう。これで欲しくなっても困るし。
それよりもメインはやっぱり魔石だろう。やはり初回クリア報酬みたいな感じで、ボスの初回討伐では魔石は必ず落とすのかもしれない。
ただし、その魔石で普通の契約ができるかどうかは話が別である。
「……簡易契約にしてもいいが、本当に育つのが遅いんだよな」
リョーガを見ていて思うが、本当にレベルの上りが遅いのだ。これを考えると、数を揃えるのには向いているが、純粋な戦力強化には簡易契約は向かないのかもしれない。
失敗する危険性はあるが、初めての種類の魔物は普通の契約を試したいよな。
「というわけで……契約!」
さくっと普通の契約を発動させると、魔石は輝いていき、無事、契約が成功した。
俺の目の前にはあのボスの部屋にいたのと同じメタルスライムがいる。
ひとまずステータスを見る前に、名前を付けることに。
「そうだな……アッシュ、なんてどうだ?」
「――――」
俺の問いかけに、メタルスライムは体を震わせて答えた。てっきりスケルトンのように意思疎通が難しいかと思ったのだが、意外といけるらしい。名前の由来はいつも通り見た目の色から付けている。
ただ、メタルスライム……改めアッシュはこの名前が気に入ったようで、特に問題なさそうだ。なのでネーミングセンスについては受け付けません!
誰にともなくそんなことを思いつつ、アッシュのステータスを確認した。
【アッシュ(メタルスライム)Lv:1】
≪液状化≫≪金属化≫≪溶解≫≪形状記憶≫
「おお!」
どれも初めて見るスキルだが、何だか色々応用が利きそうなものが揃ってるように見える。実際どんなことができるのか調べてみたいところだ。
改めてアッシュの確認を終えた俺は、自分のステータスも確認した。
レベルアップのメッセージはなかったが、職業の方で上がってるかもしれないしな。
名前:神代幸勝
年齢:22
種族:人間Lv:19
職業:召喚勇士Lv:13、トレジャー・マスターLv:5、ネクロ・ロードLv:5、武闘戦士Lv:5
MP:135(+100→110)
筋力:96
耐久:96
敏捷:92
器用:90
精神:96
BP:0
SP:0
【オリジンスキル】
≪鬼運≫≪不幸感知≫
【ユニークスキル】
≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫≪時属性魔法Lv:1≫
【スキル】
≪精神安定≫≪鑑定Lv:5≫≪気配遮断Lv:6≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫≪受けLv:3≫≪魔物図鑑≫
【武器】
≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫
【魔法】
≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:3≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:3≫≪神聖魔法Lv:3≫≪空間魔法Lv:4≫≪生活魔法≫≪召喚術≫
【称号】
≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫≪ユニーク・ハンター≫≪無名の兵≫
【契約】
ブルーゴブリン×1、レッドゴブリン×1、ゴブリン×6、スケルトン・ソルジャー×1、スケルトン×8、メタルスライム×1
「残念、アッシュぶんの魔力が増えただけか」
やはりレベルを上げすぎたのかね。五階層は準備期間みたいなものもあるし、今までと違う可能性が高い。
いきなり超強力な魔物がたくさん出現されても困るが、レベルが上がらないのも困ったものだ。
「さて、確認できるものは全部終わったし、ひとまず冒険者協会に登録する前に色々調べておくか」
そう決めた俺は、早速パソコンを立ち上げると、冒険者協会や冒険者について情報を集め始めるのだった。
***
翌日。
昨日、ある程度調べ終えた俺は、車で冒険者協会まで向かっていた。
今の俺が住んでいる山は、本当に人里から離れており、いつも買いに行っているスーパーやホームセンターでさえ、車で一時間以上かかるのだ。
しかもそのスーパーやホームセンターがある場所でさえ田舎なので、いつも人は少ない。
しかし、今回向かう冒険者協会がある場所は、人の多い場所に設立されているため、車の移動だけで三時間もかかる計算だった。
「こういう時は不便だよなぁ……まあ、こんな状況になるなんて思わなかったし、仕方がないんだが……」
できれば都会や人の多い場所は避けたかったわけだが、冒険者の法律ができてしまった以上、仕方がない。
かれこれ半年ぶりに都会へと向かうわけだが、何か変わってるのかね? いや、ダンジョンが出現したんだし、十分変わってるか。
そんなことを思いながら車を走らせ、目的地付近にたどり着くと、あることに気付いた。
「あれって……」
冒険者協会に近づくにつれ、やたらと派手な髪色をした人たちの姿が視界に入るようになったのだ。
その髪の色は、青や赤、緑と様々で、意外にも金髪はいない。
髪の色が派手なのなんてこの時代別におかしくもなんともないが、この場にいる彼らの場合、髪は染めていないのだ。
「……あの話、本当だったんだな」
というのも、こうして冒険者協会に登録に来る前まで、俺は特に他の冒険者たちについて調べたりしてこなかった。せいぜい朝やってるニュースでどこのギルドがダンジョンを攻略したとか、その程度の話しか知らなかったのだ。
しかし、今回登録するにあたり、調べた中で、興味深い内容を見つけた。
その一つが、冒険者の髪の色についてだった。
どういうことかと言うと、何と冒険者になった人間は、その瞬間から髪の色が変わるらしい。
どうやらその髪の色は、その人の魔法の適性を示しているそうなのだ。青色であれば水属性といった感じで。
そして普通はその適正属性以外の魔法を扱えないそうなのだ。中には二属性を操る人もおり、その人はその属性の色が混じった髪色になるらしい。
……この情報を目にしたとき、俺は初めて自分の【原初の魔術師】の効果の意味を正確に理解できたのだ。
あの時の適正属性の制限解放ってのは、このことを表していたのだと。
そのせいか、俺は髪の色が変化することなく、黒色のままだった。
ただ、別に冒険者の中で黒髪がいないワケじゃないようなので、その点は安心だ。まあ黒髪の冒険者の立ち位置が分からないので安心するには早いかもしれないが……。もしかしたらどこぞのラノベみたいに黒髪は無能の証的な展開もあるかもしれないし。
他にも、昨日調べた内容としては、協会に冒険者として登録する際、どこまで情報を知られるかという点を重点的に調べた。
これは俺の称号だったりソウガたちの存在を知られないようにするためだ。
ダンジョンの出現から半年は経過してるし、俺と同じように魔物を仲間にしてる人がいてもおかしくないが、そこは用心してのことだった。
その結果、どうやら登録の際に調べられるのは登録者のレベルだけらしい。
というのも、まだ技術的に登録する人の情報すべてを冒険者カードに記載することができないようで、今の技術ではレベルを見るので精いっぱいだそうだ。
ちなみに【鑑定】スキルを使えば人のステータスを見ることはできるが、【鑑定】スキルはかなりレアらしく、持っていることがバレるとかなり大ごとになるらしい。正直隠し事の多い俺からすれば目立つのは避けたいところなので、カード登録の際にバレる心配がないのは助かった。
さて、そうなると残る問題としては登録の際に表示されるレベルだ。
普通であれば、どうやら冒険者として覚醒――レベルが2になり、ステータスが表示されるよういなった状態――した段階で、登録を行うのが一般的なんだそうだ。
だが、俺のレベルは20目前である。
一応、法律が制定される前にレベル上げをしたと考えればおかしくはないが、俺は他の冒険者と協力してこのレベルになったわけではないので、もし俺がレベルを上げるまでに協力した冒険者がどうとか調べられると非常に困るのだ。
一人でレベルをここまで上げたとバレても、それはそれでそこまでどうやって戦ったのかとか、何か割のいいダンジョンを見つけたのかとか、本当に色々と面倒なことが出てくる。
――――だが、これもどうにかできそうだった。
というのも、習得したものの使い道がいまいちよく分かっていなかった【隠匿】スキルが効果を発揮するようなのだ。
このスキルは俺が【鑑定】されたとき、それを隠すだけでなく、どうやら俺が望んだ情報を相手に見せることも可能らしい。実際にそう見えるかどうかは俺だけでは確認しようがないので、ぶっつけ本番にはなるが……。
ひとまず俺はレベル2に見えるように表記を変えたのだ。
ただ、他の人のレベル2のステータスを見たことがないので、ステータス値についてはかなり適当である。【鑑定】持ちが冒険者協会にいないことを願うばかりだ。頼むぜ? 【鬼運】さんよ。
到着早々、昨日調べたことを思い出して早くも帰りたくなった俺は、何とか持ち直し、冒険者協会へと向かうのだった。
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