第21話
――――第三階層を挑戦し始めてから、三か月が経過した。
だが、これだけ時間が経過したにも関わらず、俺はまだ、現在も挑戦中のここ……第四階層までしかたどり着けていなかった。
これには理由があり、まず第三階層から登場した魔晶石の存在だ。
これをすべて回収しようと掘っていると、かなり時間がかかるのだ。
あまりにも時間がかかるので、人手を増やすためにも一階層や二階層にも再び向かい、そこでゴブリン5体とスケルトン5体を新たに簡易契約し、採掘を進めたのだが、それでも時間が膨大にかかった。
何ならゴブリンとスケルトンの仲間を増やすだけで時間がかかったくらいだ。
ちなみに、一階層のボスは倒してからちょうど半年経過したというわけで、改めてレッドゴブリンに挑戦したものの、残念ながら魔石や秘薬、スキルオーブは落とさなかった。もしかしたら、二度目の挑戦はあまりドロップアイテム的に美味しくないのかもしれない。これが他人の攻略したダンジョンでもそうなのかは分からないので何とも言えないが。
とにかく、そうやって人手を増やしたり、採掘したりしながら進んだものの、何と三階層はボスが存在せず、そのまま四階層へと続く階段が出現しただけだった。
しかも、四階層も三階層と同じく『鉱石の間』という名前のようで、相も変わらず採掘しながら進んでいたらこんなにも時間がかかってしまったのだ。
そんなわけで、現在の俺やソウガたちのステータスはこんな感じである。
名前:神代幸勝
年齢:22
種族:人間Lv:17→19
職業:召喚勇士Lv:11→13、トレジャー・マスターLv:4→5、ネクロ・ロードLv:3→5、武闘戦士Lv:2→5
MP:104→135(+50→100)
筋力:80→96
耐久:80→96
敏捷:79→92
器用:77→90
精神:85→96
BP:40→0
SP:30→0
【オリジンスキル】
≪鬼運≫≪不幸感知≫
【ユニークスキル】
≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫≪時属性魔法Lv:1≫
【スキル】
≪精神安定≫≪鑑定Lv:4→5≫≪気配遮断Lv:5→6≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫≪受けLv:1→3≫≪魔物図鑑≫
【武器】
≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫
【魔法】
≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:2→3≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:2→3≫≪神聖魔法Lv:3≫≪空間魔法Lv:4≫≪生活魔法≫≪召喚術≫
【称号】
≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫≪ユニーク・ハンター≫≪無名の兵≫
【契約】
ブルーゴブリン×1、レッドゴブリン×1、ゴブリン×6、スケルトン・ソルジャー×1、スケルトン×8
【ソウガLv:3→5】
≪棒術Lv:6≫≪受けLv:5→6≫≪模倣≫
【コウガLv:3→5】
≪棒術Lv:4→5≫≪二刀流≫≪怪力≫
【ゴブリンLv:2→3】
≪棒術Lv:2→3≫
【ネクロLv:1→3】
≪剣術Lv:1→3≫≪盾術Lv:1→3≫≪頑強≫
【スケルトンLv:1】
≪採掘≫
【ゴブリンLv:1】
≪棒術Lv:1≫≪採掘≫
俺のステータスは基本的にBPを満遍なく振り分けた後、余ったBPをステータスの中で低い二つの項目に振り分けるようにシフトした。
これのメリットは満遍なく鍛えられることで、逆に言うと器用貧乏になりがちだということ。
だが、これはゲームみたいに何度もやり直せるわけじゃないし、何でもできた方が応用が利くだろう。
それよりも、特筆すべき点が一つある。
そう、ついに【時属性魔法】を習得できたのだ!
この時属性魔法のスキルレベル1で使える魔法は『スロー』という対象の動きを遅くする魔法だったが、それでも十分強い。
しかも、習得したらユニークスキルの欄に追加されており、あのSPの高さも頷けた。次はぜひとも【魔の神髄】や【武の神髄】を狙っていきたいところである。
他にソウガたちのステータスに関してだが、コウガがレベル5になった段階で【怪力】というスキルを獲得していた。どうしていきなり獲得したのかは分からないが、強くなるのは歓迎なので、非常にうれしい。
ちなみにリョーガ以外のゴブリンやスケルトンはレベルが1のままである。というのも、彼らには採掘の手伝いしかさせていないからだ。
そのせいか、リョーガ以外のゴブリンとスケルトンに【採掘】スキルが追加されており、驚いたのは記憶に新しい。
何故リョーガやソウガたちは覚えなかったのか分からないが、ソウガたちは基本的に俺と一緒に戦ってもらうので、無くても問題なかった。
三か月もあって、レベルが2しか上がっていないのは、ここや三階層で登場する魔物のランクがE級であることと、さらにレベルが低いことが挙げられる。やはり一階層でのレベリングは効率が悪かったのかな。初めてレッドゴブリンと戦った時は強いって認識だったが、そもそもダンジョンを一人で攻略する方がおかしいわけで、皆で協力して倒すとなるとそうでもないのかもしれない。
それに、気のせいじゃなければ、三階層や四階層ではほとんど魔物に遭遇しなかった。
「何ていうか、俺たちを見つけると逃げていくんだよなぁ」
最初のうちはスライムの魔石を狙って追いかけていたが、そのうち魔晶石に集中し始めたので、スライムと戦うこともなくなった。こちらから戦闘を仕掛けることもなければ、相手も逃げていくため、スライムの魔石は一度も手に入っていない。
そんなスライムだが、一番最初は棍棒で直接殴りつけ、棍棒をダメにしてしまうということが起きたが、どうやら魔法が有効らしく、それが分かってからは風属性魔法と雷属性魔法を駆使して倒すようになった。
この二つの属性、かなり使い勝手がいいんだよなぁ。風属性は目に見えないから相手は避けにくいし、雷属性は速いのでこれもまた避けにくい。
そんなこんなで採掘を続けながら四階層を進んでいくと、ついにボスの部屋らしき場所にたどり着いた。
「いやぁ……本当に長かったな」
「ギャ」
三階層と四階層だけで三か月もかかってしまったわけだが、その間に日本というか、世界でも大きな動きがあった。
まず、日本で正式に冒険者に関する法律が制定されたことと、そして海外でもついにダンジョンが出現したらしいのだ。
確かアメリカとかロシアとか、結構いろんな場所に出現して、その場所が大惨事になってるとか何とか……。
すぐに救援要請が日本にも届いたが、海にいるクラーケンが厄介で助けに行かれない。
だが、海洋生物を研究してる偉い人が、クラーケンの行動パターンを解析した結果、ついに日本から抜け出す方法が判明したのだ。
これにより、日本はすぐさま海外のダンジョンに日本の冒険者たちを派遣。
現地の住人や兵士たちと協力し、ダンジョンを攻略したそうだ。
さらには日本ではもはやダンジョンや冒険者というものが馴染んでいたので、日本の制度や組織を参考にして、海外もこの状況に適応し始めたらしい。
「俺も早く冒険者登録しないとな」
日本が定めた法律の中に、冒険者は冒険者協会に登録することを義務付けるというものがあり、俺はまだ登録をしていないので、忘れないうちに行かないと。まあ引きこもってるから登録しなくてもバレないとは思うが、何かあったら怖いので、素直に従っておく。
「さて、今はそれよりもボスだな。ここはボスがいるんだろうか?」
三階層の時は、意気込んで突入したはいいものの、待っていたのはボスではなく、上に続く階段だけで、拍子抜けしてしまったからなぁ。
ここはどうなるやら……。
「……よし、行くか」
早速ボスの部屋へと足を踏み入れる俺たち。
すると今までのボスと同じく、部屋の中央に一体の魔物がいた。
その魔物は、今まで遭遇したスライムの色が青色だったのに対し、目の前のスライムは鈍色をしている。
俺たちは武器を構え、【鑑定】を発動させた。
【メタルスライムLv:2】……ランク:D。弱点:雷属性魔法。耐性:打撃、斬撃。
説明:スライムが様々な鉱物を体内に取り込み、進化した存在。鉱石を体内に取り込んだことにより、スライムの核を含め、非常に体が硬質化している。ただし、スライムの特性である溶解性の体液や、粘性は失っておらず、硬さと柔らかさを兼ね備えた液体金属のような存在へと変貌している。体が金属に変化したことにより、通常の移動速度はスライムに比べて遅い。体の強度はメタルスライムの魔力などにより、変化する。
「メタルスライム……!」
某ゲームのせいで、コイツを倒せば経験値がたくさん手に入るような気がしてくる……!
ただ、説明文にそんなことは書かれてないし、あのゲームの様に素早い動きをするわけじゃなさそうだ。
しかし、耐性に打撃と斬撃とあるが……これ、ソウガたちは無理じゃないか?
効かないってワケじゃないのかもしれないが、近づくにはリスクが高すぎる。あの溶ける体液は健在みたいだし。
となると、ここは俺が戦った方がいいだろう。
先手必勝ということで、俺は右手を突き出すと、魔法を唱えた。
「『サンダーボール』!」
雷の球体が俺の手の中に生まれると、すさまじい速度でメタルスライムへと飛んで行った。
そして――――。
「――――!」
メタルスライムは激しく痙攣すると、そのまま光の粒子となって消えていった。
「…………え?」
思わず呆けた声を出す俺。
ま、まさか、一撃? そんなバカな……。
しかし、そんな俺の思いとは裏腹に、ドロップアイテムが散乱したのち、メッセージが出現する。
『【鉱石の間】の攻略に成功しました。五階層が解放されます。完全開放まで一週間かかります』
「本当に終わったのか……てか、完全開放ってなんだ?」
今までにないメッセージの表記に首を捻りつつ確認していると、何と五階層は今すぐ挑戦できないようになっていた。
つまり、あのメッセージの言う通りであれば、挑戦できるまで一週間はかかるらしい。
「……ちょうどいいな。その間に冒険者登録してくるか」
本当なら五階層がどんなところなのか楽しみだったが、挑戦できないのであれば仕方がない。ひとまずやらなきゃいけないことを済ませてしまおう。
その前にドロップアイテムとかを落ち着いて確認するために『アポート』でドロップアイテムを回収しつつ、『リターンホーム』で家に帰るのだった。
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