第17話
二階層の攻略に成功した俺たちは、あの後すぐに家まで戻った。
もちろん、三階層に顔を出してみたい気持ちもあったが、特殊個体と戦った直後であることと、戦力を整えたいという二つの気持ちから、帰ることを優先した。
しかも、今回はいつものように帰ってきたわけではなかった。
そんなわけで、レベルが上がった俺のステータスは以下の通りである。
名前:神代幸勝
年齢:22
種族:人間Lv:15→16
職業:召喚勇士Lv:10→11、トレジャー・マスターLv:2→3、ネクロ・ロードLv:1→2
MP:76→91(+40)
筋力:62→72
耐久:61→71
敏捷:65→70
器用:64→69
精神:77→82
BP:20→0
SP:15→20
【オリジンスキル】
≪鬼運≫≪不幸感知≫
【ユニークスキル】
≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫
【スキル】
≪精神安定≫≪鑑定Lv:4≫≪気配遮断Lv:5≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫
【武器】
≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫
【魔法】
≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:2≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:2≫≪神聖魔法Lv:2→3≫≪空間魔法Lv:3→4≫≪生活魔法≫≪召喚術≫
【称号】
≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫≪ユニーク・ハンター≫
今回初めてネクロ・ロードのレベルが上がったわけだが、何と、一つレベルが上がるだけでMPが10も増えていた。
なので、召喚勇士と合わせて15もMPが増えたことになる。
他にも職業レベルが上がったことによる恩恵で、筋力と耐久以外は勝手に上昇するため、他との差を埋めるためにも筋力と耐久にBPは振り分けた。それでもMPと精神が突出してるけど。
他にスキルレベルの方は、神聖魔法と空間魔法のレベルが上がっているだけだった。
ただ、神聖魔法はレベル3になったことで、『ヒールオール』という全体回復魔法を習得できた。
だが、今回はそれ以上にすごいものを習得できた。
それは……。
「『リターン・ホーム』……これがあれば、探索後が楽になるな」
そう、空間魔法のレベル4で覚えた魔法……『リターン・ホーム』という魔法だった。
これは【危機脱出】スキルの様に、あらかじめ特定の場所を登録しておき、そこに一瞬で転移してこれるという魔法だ。
ただし、【危機脱出】と違ってMPの消費が大きいことと、魔物との戦闘中には使えないなど、色々な制約はある。
とはいえ、この魔法があるだけで、今まで来た道を引き返すか、ボスを倒して転移魔法陣を使うかの二択だったものがより簡単に帰れるようになったのだ。嬉しくないはずがない。
「何ていうか……最初のころは訳も分からず混乱しっぱなしだったけど、こうして慣れてくると少し楽しいな」
もちろん命の危険性があるのには変わらないので、油断できるわけじゃないけど、楽しいという気持ちも嘘ではない。
ソウガたちのような仲間もできて、一緒に冒険していく過程はとても有意義な時間だった。
「変な話だよなぁ。人付き合いが嫌で、こんな山に引きこもってるのに……」
ソウガたちが人間じゃないからとか、そういう理由じゃなくて、俺一人を利用しようとするんじゃなく、お互いに支え合いながら生活できていることが好きなのだ。
「……さて、そろそろ新しく手に入れたものを確認していきますか」
ドロップアイテムから見ていきたい気もするが、一つしかない称号から見てしまおう。
【ユニーク・ハンター】……世界で初めて特殊個体を殺した者。
効果:特殊個体との戦闘時、ステータスが2倍になる。
「これ……かなりいいな」
効果はシンプルだが、その分強力だ。
俺は【未知との遭遇】なんていう称号のせいで、特殊個体との遭遇率が高いらしいのだ。この称号の効果に助けられることもあるだろう。
「んじゃあ、称号も確認できたし、次は戦利品を確認しよう」
見慣れないアイテムも複数あったので、少し期待していたの。
そう思いながら早速【鑑定】スキルを発動させる。
【魔石(スケルトン・ソルジャー:特殊個体)】……ランクDの魔石。魔力の結晶。この魔石にはスケルトン・ソルジャー:特殊個体の情報が刻まれている。
【錆びた鉄剣】……錆びた鉄の剣。
【錆びた盾】……錆びた盾。
【スキルオーブ『受け』】……スキルが込められた宝珠。使用するとスキル『受け』を習得できる。
【職業ボード『戦士』】……使用すると職業『戦士』を獲得できる。
【骸骨兵の骨】……スケルトン・ソルジャーの骨。非常に頑丈。
「骨って」
俺は思わずツッコんだ。いや、見るからに骨ですけど。
それよりも、職業ボード! 称号以外にも職業を手に入れる手段があるんだな。ボスからしか手に入らないのかは分からないけど、ドロップアイテムとして手に入るなら積極的に魔物を倒す理由ができた。……でもこれ、職業の制限がないっていう俺だからの感想だよなぁ。普通はどうなんだろう? もう職業についていて、別の職業を手に入れたら、転職みたいな形で変わるのだろうか?
ここで考えても分からないし、どうせ俺には関係のない話なので、今度はスキルオーブの確認に入る。
ここに書かれているスキルは、ソウガも持っている『受け』だが、普段のソウガを見ていると、非常に優秀だということが分かる。いや、スキルじゃなくてソウガが優秀なんだろうが、このスキルがあれば俺も衝撃を多少は受け流せたりするようになるはずだ。
職業ボードとスキルオーブは使わない理由がないので、さっさと使用した。
『称号【無名の
「なんで?」
どこに称号を獲得する要素があった!?
驚きながらもすぐさま効果を確認する。
【無名の兵】……世界で初めて、近接戦闘職を獲得していない状態で近接戦闘のみで魔物を100体以上倒した者。
効果:職業『戦士』から職業『武闘戦士』に変更。
「……倒したなぁ」
それこそレベル10や15にするためにひたすらレベル上げしたときなんかは軽く100体を超えるゴブリンは倒したはずだ。
それに思い返してみれば、確かに魔法より棍棒で倒した魔物の数の方が多い。しかも、称号の説明に書いてある通り、今『戦士』の職業を獲得するまでは基本魔法職でしかないのだ。『トレジャー・マスター』は近接戦闘職でも魔法職でもなく、特殊職の枠なんだと思うが。
とにかく、俺は今までそういった状況で棍棒を使い、魔物を倒し続けてきたわけだ。
「ま、まあいいか。悪いことじゃないし……それよりも契約だ」
「ギャ!」
俺が契約の話をした瞬間、帰ってきて早々に風呂に入っていたソウガたちがちょうど風呂から上がり、駆け寄ってくる。
「おい、ソウガ! ちゃんと体拭けてないだろ!」
「ギャ?」
「ギャ? じゃねぇよ……」
恐らく契約という言葉が聞こえたので、ビシャビシャのままやって来たのだろう。
コウガとリョーガはちゃんと体を拭いて戻ってきたのに、ソウガときたら……。
俺はリョーガにタオルを持って来てもらうと、ソウガを拭いてやった。
「これでよし。次はちゃんと拭いてこいよ?」
「ギャ!」
「……本当に分かってるのかよ……」
ソウガの返事にため息を吐きつつ、改めて魔石に向き直る。
確実性を求めるのであれば、絶対に簡易契約がいいだろう。
だが、今回手に入れた魔石は、Dランクの上で特殊個体だ。できることなら普通の契約を結びたい。
こんな時に限って【不幸感知】が働かないな……って思ったが、逆に言うとどちらを選択しても問題ないってことか? 簡易契約はデメリットがないし、契約の場合は成功する、と。
「……よし、ここは【不幸感知】と【鬼運】を信じるぜ」
特に【鬼運】は仕事をしろよ?
そう思いながら、俺はついに言葉を紡ぐ。
「契約――!」
俺の言葉に反応し、魔石は光り輝くと、徐々に形を成してきた。
そして、あのボスの部屋で戦った、漆黒の骸骨がそこに立っていた。
「せ、成功した」
「ギャ!」
「ギ」
「グゲ」
ソウガたちもこの瞬間に興奮している。
すると、黒い骸骨は声を出すことなく、恭しく頭を下げた。
「――――」
「あ、ど、どうも……」
俺もつられて頭を下げる。……って、コイツめっちゃ礼儀正しいな!
他のスケルトンは意思を感じられなかったが、コイツは意思どころか個性すら感じられる。
「っと、そうだ。名前だ」
感動していても進まないので、俺はすぐに名前を考える。
うーん……ソウガたちは安易に色と鬼を合わせてつけたわけだが……。
「――――ネクロ。お前はネクロだ」
「――――」
俺の決めた名前を受け、ネクロは再び頭を下げた。
ちなみに名前の由来は、『骨』が『黒』いから、『ホネクロ』のホを抜いただけである。俺にネーミングセンスを求めないでほしい。許して!
少し気まずく感じながら、逃げるようにネクロを【鑑定】した。
【ネクロ(スケルトン・ソルジャー:特殊個体)Lv:1】
≪剣術Lv:1≫≪盾術lv1≫≪頑強≫
「おお、何か強そうだな」
「――――」
剣術と盾術を持ってるってことは、攻守ともに優れてるってことだろう。もう一つの【頑強】ってスキルは効果が分からないけど、雰囲気的に守りに大きく貢献しそうだ。
となると、スケルトン・ソルジャーからドロップした剣と盾は、そのままネクロに渡した方がいいな。どっちとも錆びてるが、棍棒よりは使えるだろう。ていうか、この錆びって落とせるのかな? 今度試してみるか。
というわけで、ネクロを加えた俺のステータスは以下の通りである。
名前:神代幸勝
年齢:22
種族:人間Lv:16
職業:召喚勇士Lv:11、トレジャー・マスターLv:3、ネクロ・ロードLv:2、武闘戦士Lv:1
MP:91(+40→50)
筋力:72
耐久:71
敏捷:70
器用:69
精神:82
BP:0
SP:20
【オリジンスキル】
≪鬼運≫≪不幸感知≫
【ユニークスキル】
≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫
【スキル】
≪精神安定≫≪鑑定Lv:4≫≪気配遮断Lv:5≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫≪受けLv:1≫
【武器】
≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫
【魔法】
≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:2≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:2≫≪神聖魔法Lv:3≫≪空間魔法Lv:4≫≪生活魔法≫≪召喚術≫
【称号】
≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫≪ユニーク・ハンター≫≪無名の兵≫
順調に強くなれているようで、非常に満足だ。
それで、ほぼすべてのアイテムは確認したわけだが、残るこの骨はどうしたもんか……。
「……頑丈なら、武器として使えないかね?」
今俺が使っているのはゴブリンから手に入れた棍棒なワケだが、この棍棒、リーチは非常に短い。
ソウガたちからするとちょうどいいのかもしれないが、俺からすれば太鼓のバチ程度の長さしかないのだ。
それに対して、今回手に入った【骸骨兵の骨】とやらは、野球のバットくらいの長さで、非常に持ちやすいのだ。
しかも、材質は元々骨なのでそこまで重くなく、片手でも振り回そうと思えば振り回せそうだが、それ以上に両手で握り込んでそれこそバットのように振れるのが大きい。
「……そうだな。次の三階層で、棍棒を最初は使いつつ、行けそうならこの骨に切り替えてみるか」
次の予定も決まり、今日も非常に満足いく結果に終わった俺は、そのまま晩御飯を皆で食べ、眠りにつくのだった。
――――ちなみにネクロも普通に食事をしていた。どこに食事は消えたのか、謎である。
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