第15話

「ハァッ……!」

「――――!?」


 スケルトンの頭蓋骨目掛けて棍棒を振り下ろすと、スケルトンは避けることができず、そのまま直撃し、頭蓋骨が砕け散りながら光の粒子となって消えていく。


「ギャギャ!」

「――!」

「ギ」

「――――!?」

「グゲ!」

「――――」


 ソウガとコウガもそれぞれ一体ずつスケルトンを相手にしているが、特に危なげなく倒せている。

 リョーガはまだレベルが低いため、一匹でスケルトンを相手にするのは少々厳しく、ソウガたちのサポートに回っていた。

 しかも、ソウガたちの邪魔にならないような絶妙なタイミングで攻撃を仕掛けるため、見ていて感心する。


「ふぅ……みんな、お疲れ様」

「ギャ!」

「ギ」

「グゲ」


 皆に声をかけながら一応【鑑定】を使用してみるが、やはりレベルは上がっていなかった。

 今のスケルトンの群れとの戦闘だけでなく、もう何度かスケルトンとは戦っているのだが、レベルは上がらない。やはり、一階層でレベルを上げすぎたんだろうか?

 ただし、獲得したばかりの『トレジャー・マスター』の職業レベルは一つだけ上がっていた。


名前:神代幸勝

年齢:22

種族:人間Lv:15

職業:召喚勇士Lv:10、トレジャー・マスターLv:1→2

MP:76(+25)

筋力:62

耐久:61

敏捷:60→65

器用:59→64

精神:77

BP:0

SP:15

【オリジンスキル】

≪鬼運≫≪不幸感知≫

【ユニークスキル】

≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫

【スキル】

≪精神安定≫≪鑑定Lv:4≫≪気配遮断Lv:5≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫

【武器】

≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫

【魔法】

≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:2≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:2≫≪神聖魔法Lv:2≫≪空間魔法Lv:3≫≪生活魔法≫≪召喚術≫

【称号】

≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫


「へぇ……トレジャー・マスターはレベルが上がると俊敏と器用が上がるのか」


 俊敏が上がるのはありがたい。強い敵が出てきたとき、逃げることができるからだ。

 正直、未だに器用の項目がどういった面で作用しているのか分からないので、何とも言えないが、まあ上昇するのであれば、別にいい。もしかしたら攻撃の命中率とかに繋がってるかもしれないしな。


「こうしてみると、筋力と耐久だけがBPを振らないと上昇しないのか……」


 今までの流れで考えるのなら、次のレベルアップの時にBPを筋力と耐久にそれぞれ10ずつ振り分けてもいいだろう。

 だが、それはそれで他のステータスと差が大きくなりすぎるようにも感じる。


「まあ一回くらいなら別に問題ないか……」


 次の一回だけ振り分けるのは大丈夫そうだし、深く考えるのは実際にレベルが上がってからにしよう。


「さてと……『アポート』」


 俺はそう魔法を唱えると、手元にスケルトンのドロップアイテムが現れた。

 最初こそ手で拾っていたのだが、途中で「これ、魔法で拾えるんじゃね?」と思い、早速空間魔法の『アポート』を使ってみたところ、大成功。

 【倉庫】の入り口は色々なところに出現させられるので、ドロップアイテムのところに開ければ一瞬で回収できるかと思ったが、ドロップしたばかりのアイテムはまだ誰の所有権もないようで、【倉庫】での回収は不可能だった。

 まあ結果として『アポート』の回収が使えたのでよしとする。というのも、MPを消費するものの、空間魔法を使う頻度が高くなるので、スキルレベルが上げやすいと思ったのだ。しかも、一度手元に集めるので、【鑑定】しながら収納することもできるしな。


「やっぱり骨ばっかりだなぁ……って、あ!」


 ドロップアイテムを収納していると、一個だけ魔石が混じっていることに気付いた。


【魔石(スケルトン)】……ランクEの魔石。魔力の結晶。この魔石にはスケルトンの情報が刻まれている。


「スケルトンの魔石だ!」


 ようやく、ここの階層に来て初めての魔石を入手した。

 ただ、俺の予想ではDランクかなって勝手に思っていたが、意外なことにEランクでリョーガと同じだ。どうりでレベルが上がらないと思った。


「やっと魔石を手に入れたわけだけど、やっぱり称号の補正が効いてるんだろうか?」


 称号の効果により、ドロップ率が上昇しているだろうから、可能性は高い。

 俺はちらりと腕に付けていた時計に目を向けた。


「んー……そろそろ戻り始めないと遅くなっちゃうな……」


 もちろん、野宿できるだけのセットを【倉庫】の中に用意しているが、帰ってゆっくり休みたい。


「……まあ急いでいるわけじゃないし、帰るか」

「ギャ」


 ソウガたちに声をかけ、帰る準備を始める。

 その道中、再びスケルトンとの戦闘をこなしながら戻っていると、さらに二個の魔石を入手することができた! すごい、順調に称号の効果が出てるぞ。

 そんなこんなで無事に家まで帰ってきた俺たちは、すぐに風呂の用意などを済ませ、ソウガたちに先に入るように告げると、俺は手にした三つの魔石を取り出す。


「さて……せっかく手に入れたわけだし、戦力強化しますか」


 現状、ソウガたちだけで特に不便していないが、この先どうなるか分からない。

 それに、仮に召喚しないとしても、俺のMPが増えるので、契約するメリットが大きかった。


「ショップで使うために還元しても、ランクEだと1Gだしな」


 あれから【ショップ】は確認していないが、還元するならランクD以上でありたい。しかし、現状ランクDを手に入れる機会がないので、完全に死んでる機能だ。


「普通の契約でもいいんだが……ここは簡易契約にするか」


 確実に戦力を増やしたいということで、サクッと方針を決めると、簡易契約を発動させる。

 すると、三つの魔石はゴブリンと契約した時とは異なり、どこか暗い光を放つと、やがて三体のスケルトンが俺の前に立っていた。

 三体とも白色の骨に、眼孔には青い炎のようなものが揺らめいている。


【スケルトンLv:1】


「まさかのスキル無し!?」


 ゴブリンですら【棒術】スキルを持っていたのに、スケルトンは何のスキルも持っていなかった。これ、ゴブリンより弱くないか?


「なんで一階層がゴブリンで二階層はスケルトン何だろうか……スキルはないけど、なんか種族的に強かったりするのか?」


 思わず二階層での戦闘を思い返すが、特にそんな場面があったようには思えない。


「んー……スキルで魔物の生態をより詳しく調べられるものとかあるのかねぇ?」


 【鑑定】では調べた物の詳細やステータスは見ることができるが、その生物がどんな生物で、どんな特性を持っているのかは分からなかった。

 もしそれを調べるスキルがあるんなら、手に入れてもいいかもしれない。もしかしたら、俺の知らないゴブリンやスケルトンの弱点、または強みが見つかるかもしれないし。

 ふとそんなことを考えていると、メッセージが出現する。


『称号【不死者を従える者】を獲得しました』


「ま、また称号が……」


 すごいな。世界……というか、日本にダンジョンが出現して三か月経つのに、怒涛の勢いで称号を獲得していくじゃん、俺。

 むしろ、三か月ってまだまだ短い方なのか? ……分からん。

 少なくとも、まだまだ日本でダンジョンに関わってる人たちの中に称号を獲得できてる人は少ないのかもしれない。

 それは置いておいて、ひとまず称号の効果を確認した。


【不死者を従える者】……世界で初めてアンデッドと契約した者。

効果:職業『ネクロ・ロード』の解放。昼間や日の下であっても、契約したアンデッドが弱体化せずに使役可能。


「そんでもってまた職業かよ」


 称号に続いて職業まで手に入れてしまった。本当にどうなってんだ。

 まあ、称号を見る限りアンデッドと契約したことが切っ掛けみたいだが、普通に考えればアンデッドを仲間にしようなんて考えないだろうしな。

 それよりも気になるのが、アンデッドって活動に制限があったのか? 文面を見た感じ、昼間というか、太陽がダメっぽいが……。

 幸い称号の効果で昼間だろうが俺の契約したアンデッドは普通に活動できるっぽいし、気にしなくてもいいんだろうが。


「とはいえ、神聖魔法は普通に大ダメージ受けそうだよな」

「「「――――」」」


 俺の言葉に、スケルトン三体は何も言わず、ただ佇んでいる。あ、圧が……。

 何て言うか、ゴブリンたちは明確に自我のようなものが感じられたが、目の前のスケルトンからはそれが感じられない。ソウガたちと違って、こいつらは必要になったら召喚するくらいの気持ちでいいだろう。なんか落ち着かないし。

 そう決めると、俺はスケルトンたちを帰還させた。

 ひとまず、俺のステータスはこんな感じである。


名前:神代幸勝

年齢:22

種族:人間Lv:15

職業:召喚勇士Lv:10、トレジャー・マスターLv:2、ネクロ・ロードLv:1

MP:76(+25→40)

筋力:62

耐久:61

敏捷:65

器用:64

精神:77

BP:0

SP:15

【オリジンスキル】

≪鬼運≫≪不幸感知≫

【ユニークスキル】

≪システム≫≪スキルコンシェルジュ≫≪魔力支配Lv:4≫≪魔法創造≫≪危機脱出Lv:1≫≪高性能マップ≫

【スキル】

≪精神安定≫≪鑑定Lv:4≫≪気配遮断Lv:5≫≪契約≫≪罠解除Lv:5≫≪隠匿Lv:5≫≪夜目≫≪超回復・魔≫≪超回復・体≫

【武器】

≪棒術Lv:5≫≪投擲Lv:2≫

【魔法】

≪火属性魔法Lv:2≫≪水属性魔法Lv:3≫≪風属性魔法Lv:2≫≪土属性魔法Lv:3≫≪木属性魔法Lv:3≫≪雷属性魔法Lv:2≫≪神聖魔法Lv:2≫≪空間魔法Lv:3≫≪生活魔法≫≪召喚術≫

【称号】

≪先駆者≫≪未知との遭遇≫≪原初の超越者≫≪原初の魔術師≫≪魔と友誼を結ぶ者≫≪悪意を見抜く者≫≪制圧者≫≪孤高≫≪暴き見る者≫≪ザ・トレジャー≫≪着飾る者≫≪不死者を従える者≫


「うーん、称号の数がすごいなぁ」


 自分のことながら、つい遠い目をしてしまう。

 それよりも、明日はもう少し本腰を入れて攻略してみるかな。スケルトンのランクがEだって分かったし、二階層の適正レベルを俺たちは超えすぎたようだ。

 そんなことを考えながら、俺も風呂に入り、そのままぐっすりと眠るのだった。

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