第4話 告白の真実と切り離したモノ
「はぁ…」
「どしたの、美香」
大きな溜息を吐いた私に親友の彼氏、遥翔が声をかけてくれた。
告白した後も普通に話すことが出来てたし、たまにメッセージのやりとりだって個人んでしてたぐらいだ。でも、モヤモヤしていて、あの日の奏の横顔が頭から離れなくなっていた。
遥翔は同じクラス、だからか何かと声をかけてくれた。
「あれだろ、奏のことだろ、聞いたぞ。」
ぎくっ
鋭いな…外れてはいない、ん?聞いた?
不思議そうな私に、淡々と話始めた。
「告白したメッセージを送った日、みんな居たんだよ」
「はぁ!?」
「いや、あの日、みんなで瞬の家で勉強会をしていたんだよ。ま、ほとんどの奴が教科書開いたまんま、ゲームしたんだけど。そんでその時にあのメッセージだ。みんなびっくりしてたよ。まさかなって。」
なんと恥ずかしい。穴があったら、入りたい。
「まじか、誰がその時いたの。」
「んーっと、奏、琴菜、瞬、あ、功太もいたな」
「ほとんど、いつものメンツ揃ってる時じゃん…。だから最近、功太も瞬も私のとこ来ては最近どうですか?なんて、馬鹿にしてきたのね」
頭を抱えて、さらに、大きな溜息をついた私に、遥翔が付け足すように
「でも、そのメッセージを見た後、奏がいつになく真面目な顔して先に帰ってたんだ。多分、こんな事初めてだから、しかもまさかのお前だし、動揺とめちゃくちゃ考えたかったんだと思う。だから、今回の結果はプラスに考えればいいんじゃないかな。」
キーンコーンカーンコーン
昼休みの終わりのチャイムが鳴った。
「やべ、俺次移動教室だから。」
そう言ってかけ走っていた遥翔は教室を出て行った。
「なんだ、バレバレなんじゃん」
そう、私も呟いて、立ち上がった。
学校生活は、この後も順風満帆だった。
みんなにバレてたおかげで奏にも直接話しかけやすくなったし、みんなでいつも通り、カラオケに行ったり、ゲーセンに行ったり、映画に行ったり。私を知ってもらおうと努力した。そんなことしているうちに、打ち解けていった。いつしか、興味本位の恋のはずが、連絡が気になったり、目で追うほど、本気になっている自分が居た。
奏は、話しているうちに、どこか考えが似ている部分があり、もっと彼を知りたいと思っていた。
なのに、一つ問題が出てきたしまった。
ある日の放課後に十代田先生とこの間のテストの事や何気ない会話していて帰りが遅くなり、ジュースを奢ってもらった日があった。
テストの点があまりに悪かったのだ。学校が単位制だった事で次のテスト、頑張らなければ今後危ないと忠告を受けていたのだ。
愛想を振る舞うだけの私は、先生たちにも信頼があり、明るくて、愛想がよく、みんなと仲良くできる子として認識されていた。
でも、この放課後の行動が学校中に広まり、それを面白くない女子生徒から、ちょっと虐められるようになった。が、この程度の虐めは慣れている。中学の時に比べれば…。
「美香、これ片付けといて。」
「あ、うん。」
「美香~それ終わったら、購買行くっしょ?ミルクティー買ってきて。」
「え…。うん、わかった。」
なんで急に広まったのかというと、1つの噂が原因だった。
「二年生の四組の佐倉さん、十代田先生に告ったらしいよ。」
「先生にこの間、個別でよばれてたの、見たよ。」
「十代田先生、少しカッコいいからって、この前甘えてジュース奢ってもらってたよ。」
女子というのは本当に恐ろしい。
一人、二人が口を開けば瞬く間に広がって、学校中に広がる。
確かに十代田先生は、まだ若く、確か24歳。数学を教えていて、授業もわかりやすく、一部の女子からは人気があった。でも、私のタイプじゃない。
女子たちの批判を買った私は、情報屋どころでなく、自分が情報源になってしまったのだった。もちろん、ジュースを奢ってもらったのは、本当だが、後の他は全部デマだ。
そして、私が前に切り離した女子たちの仕業なのはすぐにわかっている。
学校もすぐにこの噂に気が付き、先生も否定し、私も呼び出されたが、もちろん否定した。後は、噂が静まるのを待つだけだったのだが…。
「収まらない。疲れた」
そう呟いた私に、手招きをしている。奏だ。
「こっち」
そう、ニヤニヤしながら、放課後に奏が手を引いてくれる。
内心ドキドキする、でも。
「離して」
今、こいつといる所を誰かに見られては、二股とか言って、また事が大きくなってしまう。
でも、そう言った私を見て、えーと言いながらしょんぼりしている。
こいつ、こんな顔もできるのか。
「なんで、ダメなの。」
「誰かに見られたら、事が大きくなるでしょ。これ以上大きくなれば、奏にも迷惑がかかる。」
奏の気持ちは嬉しかった。
でも、巻き込みたくなかったし、琴葉にも言われた。
(ほとぼりが冷めるまで、男子たちとあまり、関わらない方がいいよ。)
これが引いてみるってやつか。
基本、奏に話かけるのは私からだった。基本一匹オオカミのままの奏は応えるだけ。
奏には悪いが、これを機に少しだけ距離を置いてみよう。
「奏、巻き込みたくないから、用がある時はメッセージで」
そう言うと、
「気にする方が悪いのに、でも、分かった。」
そう言って、去っていった。
正直辛い、でも、これでよかったのだ、辛い思いをするのは私だけで。
その日の夜に一応メッセージを送ってみた。
<今日は、誘ってくれたのにごめんね>っと。
その日の夜、奏からの返信はなかった。
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