進展編
ねぇ、もしもさぁ
ツイッターを見ていると、仲の良い友達のツイートにどこか棘を感じた。
ツイート主
『地下鉄でデートしてるやつコロナればいいのに』08:55
リプ
『あのぶりっ子?』
リプ
『そーそ笑笑笑』
これって私のことだよね。
日付と時間見ればちょうど、私が例の車両にいた頃だ。
インスタには、仲の良いつもりだった4人組の、わたし以外の3人のプリが。
やっぱり……。なんとなく気づいてはいたけど、最近仲のよかった子たちにハブられるようになっていた。ハブられる、どころじゃなかった。
あーぁ、なんでだろう。去年の学祭は4人で回って、タピって、楽しかったのになぁ。
嫌われる理由は特に思い当たらないけど、友達を失ってしまったみたいだ。
誤解を解くとか仲直りとかというのはあんまり考えられなくて、学校が再開されてからどう生きようかと漠然とした不安が付き纏った。
となると私の頼れる友達って意外と少ないんだなぁ。
気がつくといつもの人にLINEをしていた。
「ねぇ、学祭やると思うー?」
今日はいつもと違って返信が早い。
「普通に考えて、やるわけないと思う」
臨時休業のあと、授業日数が足りていないし、その上学祭自体「密」でしかないのは分かっている。でも中止と決まったわけではないから淡い期待を描いてしまう。
ただ頭のいい彼がそう予測するのなら、やっぱりないのかなぁ。
「そっか、君にとってはラッキーだね!」
「なんで」
「え、だって学祭とか嫌いそう。暑いし、人混みだし」
「あー確かに嫌だな」「でもやりたいとは思うよ」
めっちゃくちゃ意外。
「そーなの?なんで!?」
「一度不参加してみると分かる」
あー、そっか。彼は去年、おばあちゃんが亡くなって忌引で来れなかったんだ。
去年は学祭めんどくさがってたし、そんなに気にしてないんだと思っていたけど。確かに、周りが思い出話をしたり写真を載せたりしているだけで、疎外感を感じるのかもしれない。今の私なら、なんとなく想像できる。
だからこそ、今年も無しなんて消極的な予想はいくらなんでも悲しすぎる!
それからは衝動的だった。
「ねぇ、もしもさぁ」
「ん?」
「学祭あったらね、?」
「うん」
「一緒に回ろうよ!!」
送信してからなんだか恥ずかしくなった。年に一度の、一生に三度の学祭。誰と回るかってすごく重要なのは女子だけじゃないはず。送信を取り消そうかと思ったときにはもう、既読がついて何秒も経っていた。
「あったらな」
冷たいけれど、シンプルな肯定の答え。それが聞けて私の心はほっこりした。
その瞬間、メールの通知音が鳴った。
スマホの画面上層部に出てきたバナーによると、送り主は学校。
件名: 2020年学校祭中止のお知らせ
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