ネイピア数って知ってるー?

今日は昼には起きた。そして母が置いてったカレーを温めたけど、物足りない感じがして目玉焼きを焼いた。弟の分まで。えらい。そうすると今日もLINEがある。昼間っからLINEを送ってくる奴といえばまぁ、相手は見ずともわかる。


「ねぇ」「ひまー?」

「そこそこ」

「円周率ってさ」「どこまで言える?」

唐突だな。

「3.14」

「え、」「それだけ?」

「小学校で習ったのそれだけだろー?」

「まぁそうだけど」「私60桁くらい言えるんだよね」

「へーすごいじゃん」

なんだそのマウントの取り方は。


「でさー、本題」「ネイピア数って知ってるー?」

「聞いたことはあるかも」

「それは話が早い!」「始業式の日までに何桁覚えられるか勝負ね!」

それのどこら辺が話が早いのか説明していただきたい。

「意味がわからない」


彼女曰く、ネイピア数とは円周率のようなどこまでも続く無限小数というものであり、あまりに暇なので意味のないものを意味もなく覚えたいらしく勝負してほしいとのこと。(無論、本人は暇だとか無駄だとかいう自覚はない)

円周率だと既に60桁暗唱した自分が有利になってしまうから、最近知ったネイピア数で勝負したいのだそうだ。公平な土俵で挑んでくるところだけは褒めたい。

そしてさっきから俺のLINE1つにつき必ず2つで返してくるのはわざとなんだろうか。変な規則性だ。


「じゃ、勝負は4月8日ね。紙に書いて競います。制限時間なし。」「ひとつの間違いにつきペナルティでマイナス10桁」

「なるほど」

「んよしっ!」「じゃあ頑張ろうね!」

「待った」


そんな片利共生みたいな挑戦をまともに受ける俺ではない。


「俺が勝ったら回転寿司奢りな」

「えー」「んー、はま寿司ならいいよ!」

負ける気あるのかよ。


「じゃあ私が勝ったら」


「書道同好会入って!」


え、今なんて。まぁLINEのトークは何度でも読み返せるけれど。

ノリで引き受けたけど負けられない勝負になってしまいそうだ。変な条件言うんじゃなかった。

そしてこの子、いつの間に書道同好会なんて入ってたのか、初耳。


ってか、似合わなっ。


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