第2話   共通


「とにかくあそこに財界人も来るんだよ、彼女には絶対会っておいた方がいいよ」


 それが俺が大枚をはたいた最大の理由だった。何なのだろう、とにかく俺は「金儲け」が好きなのだ。商売を始めた人の中には、元々

「誰かのために」やり始め成功した人もいるが俺はそうではない。

金を儲けて、一門の実力者になる。それが目標だった。だから「法律ギリギリ」も結構、人と同じことをしていて金儲けなど出来はしないのだ。


「せっかく成功し、もっと大きくなれるチャンスなのだから」

「はい、ありがとうございます」

「そうそう、君の教えてもらった寿司屋、本当に美味しかったよ。商談場所に使ったら最高だね、どうも有難う」


礼を言われた。

彼も俺と同じく、食欲、性欲、名誉欲、物欲が強いのだ。そう、そう言う人間がこの世の中の勝者となりうる、人に言われるがまま動く人間、その中でなんと動いているように見せている者がどうして勝者たり得よう。欲が無いのを美徳とするのは、本当の、それを目指し修行するほんの一部の聖職者しかいない。一般社会で暮らしている人間はあるのが当然なのだ。

そう社員に言うと、やる気が出る、そして金をやると、もっと思い通りに動くようになる。それが楽しいのだ。

その後も色々な話が聞けて俺にとっては良い時間だった。すべては今の所順調だ。



「会社も大きくなってきたから、誰かを財務の責任者にしておく必要もあるね。いざというときに、責任をとってもらう形で」


俺は占い師の言葉よりも、会計士の言葉を信じ、実行していた。




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